商店街でお買い物
今年は厳冬というのだろうか、去年までの暖冬と比べて12月から寒さが増して来て、10℃以下の日々が続いている。
「ママーさむいー」
くちゅんっとくしゃみをした太陽にマフラーと手袋をさせて、光にもマフラーと手袋をさせる。
「外寒いからね、温かくして出ようね」
「はーい」
「はい、ママ」
2人は元気よく返事をしてくれて、私は「じゃあ出発~」と声をかけて3人で玄関の外へ。
ビュービューと風が吹き付けてきて、冬の厳しさを感じる。
今日は日曜日で幼稚園も小学校もお休みなので、3人で商店街までお出かけ。私の街の商店街は賑わっており、八百屋さん、お肉屋さん、和菓子屋さんから電気屋さんにお花屋さん、駄菓子屋さんに魚屋さんにお豆腐屋さんなど他にも色々と揃っていてなかなかの充実ぶりで、よく訪れる。
「ママ、おだんご食べたい」
「だめだよ。今日はお兄ちゃんの遠足のお菓子を買いに、駄菓子屋さん寄るでしょ?」
光は来週、小学校で遠足があるので、駄菓子屋さんにお菓子を買う予定なのだ。
「むぅ~、わかった」
不満に思いながらも太陽がわかってくれたので、ホッとする。
「よし、じゃあ今日はすき焼きだし、お肉屋さんでいいお肉を買おう!」
「わあい、おにくー」
「やった、お肉だ」
2人ともお肉大好きなので、はしゃぎだす。
「すみませーん、牛肉の薄切り、500グラム下さい」
「あら九堂さん、あらあら3人でお買い物? 可愛いわねー。こんにちは、光くん、太陽ちゃん」
「おばさんこんにちは」
「こんにちはー」
ここのお肉屋さんでよく、コロッケやメンチカツ、唐揚げを買ったりするので顔馴染みになっている。
「今日はすき焼き? いつもありがとうね。おまけ、しとくからね」
「あ、ありがとうございます。いつもここのお肉はおいしいねって、旦那と話してます」
「あら嬉しい! 今後もご贔屓に」
「はい」
お肉を買い、3人で手を振りながら、次のお店を目指す。
「次は八百屋さんね。行くよ」
お肉を持っていたら光が「僕がもつよ」と持ってくれる。
「ありがとう、光」
光はお兄ちゃんらしく、こうやって物を持ってくれたり、お手伝いをしてくれたりして助かっている。
「え~と、すき焼きには長ネギ、白滝、しいたけ、春菊、白菜、豆腐かな?」
「いらっしゃい!」
威勢のいい八百屋さんのおじさんが、「何が欲しいんだい?」と聞いてくれたので、すき焼きの材料の野菜を話す。
「きゃー」
「あ、太陽ダメだよ」
太陽がいきなり走り出したので、慌てて止めようとしたら、光が「僕が行くから、大丈夫」と言って、太陽を捕まえてくれた。
「おにいちゃん、はなしてー」
「ダメ。太陽、大人しくしてないと、おかしはなしだよ?」
「んーんー、それはやだー」
「じゃあいい子にしようね?」
「うん」
光はすっかりお兄ちゃんが板について、太陽の面倒をよく見てくれる。
優しい子に育ってくれてよかった。
そうして光のおかげで八百屋さんで買い物が出来た。
「うちの長ネギは甘いからね、おいしいよ!」
「ありがとうございます!」
代金を払い品物を受け取って、お辞儀をして八百屋さんを後にする。
最後にお豆腐屋さんに寄り、豆腐を買って駄菓子屋さんへ。
「じゃあ2人共、300円までね」
「わあい」
「やったー」
光が駄菓子を見る間、お肉は預かることにする。
ここの駄菓子屋さんは高齢のおばあさんから、若い女性にバトンタッチして、経営をしている。その若い女性は30代くらいだろうか、いつもうたた寝をしていてこの街に住む人々からは、『うたたねさん』の愛称で呼ばれている。
「これください」
「ください」
2人がカゴいっぱいに入れた商品を差し出すと、うたたねさんが「んあ」と言って起き出した。
「あ~お客さん。はいはい、預かります~」
白いセーターにジーンズといったシンプルな出で立ちながらも、スタイル抜群でその凹凸が羨ましい。顔には眼鏡をかけていて、童顔で可愛らしい感じだ。
「はい、300円と250円ですね」
私が支払いを済ますと、「またよろしくお願いします~」と言ってまたうたた寝を始めてしまった。
「よし、今日のお買い物終了~」
「終了~」
「しゅーりょー」
親子3人、手を繫いで、沈む夕日を背に家路へと歩いて行った。伸びる3つの影が仲良く重なっていく。
この小さな幸せな日々が私の日常。
この幸せを明日も明後日もずっとずっと続けていけるように、私は今日も心の中で神様に祈るのだった。
完
「ママーさむいー」
くちゅんっとくしゃみをした太陽にマフラーと手袋をさせて、光にもマフラーと手袋をさせる。
「外寒いからね、温かくして出ようね」
「はーい」
「はい、ママ」
2人は元気よく返事をしてくれて、私は「じゃあ出発~」と声をかけて3人で玄関の外へ。
ビュービューと風が吹き付けてきて、冬の厳しさを感じる。
今日は日曜日で幼稚園も小学校もお休みなので、3人で商店街までお出かけ。私の街の商店街は賑わっており、八百屋さん、お肉屋さん、和菓子屋さんから電気屋さんにお花屋さん、駄菓子屋さんに魚屋さんにお豆腐屋さんなど他にも色々と揃っていてなかなかの充実ぶりで、よく訪れる。
「ママ、おだんご食べたい」
「だめだよ。今日はお兄ちゃんの遠足のお菓子を買いに、駄菓子屋さん寄るでしょ?」
光は来週、小学校で遠足があるので、駄菓子屋さんにお菓子を買う予定なのだ。
「むぅ~、わかった」
不満に思いながらも太陽がわかってくれたので、ホッとする。
「よし、じゃあ今日はすき焼きだし、お肉屋さんでいいお肉を買おう!」
「わあい、おにくー」
「やった、お肉だ」
2人ともお肉大好きなので、はしゃぎだす。
「すみませーん、牛肉の薄切り、500グラム下さい」
「あら九堂さん、あらあら3人でお買い物? 可愛いわねー。こんにちは、光くん、太陽ちゃん」
「おばさんこんにちは」
「こんにちはー」
ここのお肉屋さんでよく、コロッケやメンチカツ、唐揚げを買ったりするので顔馴染みになっている。
「今日はすき焼き? いつもありがとうね。おまけ、しとくからね」
「あ、ありがとうございます。いつもここのお肉はおいしいねって、旦那と話してます」
「あら嬉しい! 今後もご贔屓に」
「はい」
お肉を買い、3人で手を振りながら、次のお店を目指す。
「次は八百屋さんね。行くよ」
お肉を持っていたら光が「僕がもつよ」と持ってくれる。
「ありがとう、光」
光はお兄ちゃんらしく、こうやって物を持ってくれたり、お手伝いをしてくれたりして助かっている。
「え~と、すき焼きには長ネギ、白滝、しいたけ、春菊、白菜、豆腐かな?」
「いらっしゃい!」
威勢のいい八百屋さんのおじさんが、「何が欲しいんだい?」と聞いてくれたので、すき焼きの材料の野菜を話す。
「きゃー」
「あ、太陽ダメだよ」
太陽がいきなり走り出したので、慌てて止めようとしたら、光が「僕が行くから、大丈夫」と言って、太陽を捕まえてくれた。
「おにいちゃん、はなしてー」
「ダメ。太陽、大人しくしてないと、おかしはなしだよ?」
「んーんー、それはやだー」
「じゃあいい子にしようね?」
「うん」
光はすっかりお兄ちゃんが板について、太陽の面倒をよく見てくれる。
優しい子に育ってくれてよかった。
そうして光のおかげで八百屋さんで買い物が出来た。
「うちの長ネギは甘いからね、おいしいよ!」
「ありがとうございます!」
代金を払い品物を受け取って、お辞儀をして八百屋さんを後にする。
最後にお豆腐屋さんに寄り、豆腐を買って駄菓子屋さんへ。
「じゃあ2人共、300円までね」
「わあい」
「やったー」
光が駄菓子を見る間、お肉は預かることにする。
ここの駄菓子屋さんは高齢のおばあさんから、若い女性にバトンタッチして、経営をしている。その若い女性は30代くらいだろうか、いつもうたた寝をしていてこの街に住む人々からは、『うたたねさん』の愛称で呼ばれている。
「これください」
「ください」
2人がカゴいっぱいに入れた商品を差し出すと、うたたねさんが「んあ」と言って起き出した。
「あ~お客さん。はいはい、預かります~」
白いセーターにジーンズといったシンプルな出で立ちながらも、スタイル抜群でその凹凸が羨ましい。顔には眼鏡をかけていて、童顔で可愛らしい感じだ。
「はい、300円と250円ですね」
私が支払いを済ますと、「またよろしくお願いします~」と言ってまたうたた寝を始めてしまった。
「よし、今日のお買い物終了~」
「終了~」
「しゅーりょー」
親子3人、手を繫いで、沈む夕日を背に家路へと歩いて行った。伸びる3つの影が仲良く重なっていく。
この小さな幸せな日々が私の日常。
この幸せを明日も明後日もずっとずっと続けていけるように、私は今日も心の中で神様に祈るのだった。
完