異世界トリップ葵編
子供たちが帰って来て燦を心配していたが、彼女は子供たちの母親をちゃんと演じてくれた。
「はい、今日はピーマンの肉詰めです!」
「太陽、ピーマンきらい」
「ダメだよ、太陽。ピーマンも食べてね」
4人で仲良く食卓を囲み、賑やかないつもと変わらないような雰囲気で食べた。けど、違う。燦は僕の燦ではないことを、やはり感じてしまう。
────
────────
ご飯を食べてお風呂に入り、子供たちも寝てしまった。
僕が日本酒で晩酌をしていると、お風呂掃除を終えた燦が来て、リビングのテーブルの隣りのイスに座る。
「なんか、すごく楽しかったよ今日1日」
「そう。それはよかった」
僕が笑いかけると、燦も笑う。
「こんな、こんな未来があったんだって、そう思って。2人の子供に恵まれて、葵くんと暮らして。私がわがままを言わなかったら、あったんだなって……」
「燦……」
燦が淋しそうな悲しそうな表情で、肩を震わせるから、僕は彼女にキスをした。
「燦。君は悪くないよ。全部僕が悪いんだ。ずっとずっと君が我慢していたのに気付かずに放っておいたんだから。だから、ごめんね燦。淋しい思いや辛い思いをさせて」
「うっ……うん、ごめんね葵くん。ごめんね……」
燦は泣き出してしまって、僕はただ彼女が泣き止むまでその背中をさすり続けた。
────
────────
「明日、元に戻ってるといいね」
夫婦の寝室で、燦がベッドに横になりながら、話をする。
「そうだね、燦もあの男が心配だろ?」
「うん」
僕もベッドに入って横になる。
「私、嬉しかった。葵くんが幸せになっている姿が見られて。幸せだったよ」
「燦は、いつも人の幸せを願うよね。少しは自分の幸せも願いなよ……いや、君の幸せは僕が願ってあげるよ」
燦が泣かなくて済むように、辛い思いをしなくて済むように、願い続けるよ。
「綿アメ頭にあったら言っておいて。君を泣かせたらタダじゃ済まさないからねって」
「ふふ、わかりました。伝えておきます。お休みなさい、葵くん」
「お休み、燦」
そうして2人、瞳を閉じた。
────
────────
朝方の4時。
「やったぁー、戻って来られた!」
そんな燦の声で目を覚ました。
「燦?」
慌てて僕がベッドから身を起こすと、燦は「葵くん、ごめんね起こしちゃったね」と謝る。
「本当に僕の燦?」
「うん! けど、ということは、あっちの世界の私もこっちの世界にいたんだね」
「そうだよ。本当、あの男と一緒になってるなんて、びっくりしたよ」
「私もびっくりしたよー」
ふふっと笑う燦に、僕は思う。
燦、努力しなくちゃいけなかったのは、僕の方だ。ずっと君を放っておいてごめんね。でももう、僕はそんなことしないよ。君を大切にしていくから。
もしかしたら別れてしまっていたかもしれない世界。それを見せられたら余計に、いまの奇跡を大切に思わずにはいられない。
「燦、愛してるよ」
「あん、葵くん。朝からやるの?」
「そう、まだ起きる時間じゃないからね」
「遅刻しても知らないよ?」
「大丈夫、今日はもう寝ないから。時間ぎりぎりまでするよ」
「ええー! 私死んじゃうんですけどって、葵くんっ」
燦の身体の愛撫を始めれば反応する彼女が可愛くて、僕は止まらなくなっていく。
「あん、はあん、葵くん、きもちいいっ」
燦との1日1日を大切に、僕はもう後悔をしたりしない。絶対に燦を悲しませないと心に誓ったから。
だからね、燦。ずっと僕の傍で笑っていてね。
完
「はい、今日はピーマンの肉詰めです!」
「太陽、ピーマンきらい」
「ダメだよ、太陽。ピーマンも食べてね」
4人で仲良く食卓を囲み、賑やかないつもと変わらないような雰囲気で食べた。けど、違う。燦は僕の燦ではないことを、やはり感じてしまう。
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ご飯を食べてお風呂に入り、子供たちも寝てしまった。
僕が日本酒で晩酌をしていると、お風呂掃除を終えた燦が来て、リビングのテーブルの隣りのイスに座る。
「なんか、すごく楽しかったよ今日1日」
「そう。それはよかった」
僕が笑いかけると、燦も笑う。
「こんな、こんな未来があったんだって、そう思って。2人の子供に恵まれて、葵くんと暮らして。私がわがままを言わなかったら、あったんだなって……」
「燦……」
燦が淋しそうな悲しそうな表情で、肩を震わせるから、僕は彼女にキスをした。
「燦。君は悪くないよ。全部僕が悪いんだ。ずっとずっと君が我慢していたのに気付かずに放っておいたんだから。だから、ごめんね燦。淋しい思いや辛い思いをさせて」
「うっ……うん、ごめんね葵くん。ごめんね……」
燦は泣き出してしまって、僕はただ彼女が泣き止むまでその背中をさすり続けた。
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「明日、元に戻ってるといいね」
夫婦の寝室で、燦がベッドに横になりながら、話をする。
「そうだね、燦もあの男が心配だろ?」
「うん」
僕もベッドに入って横になる。
「私、嬉しかった。葵くんが幸せになっている姿が見られて。幸せだったよ」
「燦は、いつも人の幸せを願うよね。少しは自分の幸せも願いなよ……いや、君の幸せは僕が願ってあげるよ」
燦が泣かなくて済むように、辛い思いをしなくて済むように、願い続けるよ。
「綿アメ頭にあったら言っておいて。君を泣かせたらタダじゃ済まさないからねって」
「ふふ、わかりました。伝えておきます。お休みなさい、葵くん」
「お休み、燦」
そうして2人、瞳を閉じた。
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朝方の4時。
「やったぁー、戻って来られた!」
そんな燦の声で目を覚ました。
「燦?」
慌てて僕がベッドから身を起こすと、燦は「葵くん、ごめんね起こしちゃったね」と謝る。
「本当に僕の燦?」
「うん! けど、ということは、あっちの世界の私もこっちの世界にいたんだね」
「そうだよ。本当、あの男と一緒になってるなんて、びっくりしたよ」
「私もびっくりしたよー」
ふふっと笑う燦に、僕は思う。
燦、努力しなくちゃいけなかったのは、僕の方だ。ずっと君を放っておいてごめんね。でももう、僕はそんなことしないよ。君を大切にしていくから。
もしかしたら別れてしまっていたかもしれない世界。それを見せられたら余計に、いまの奇跡を大切に思わずにはいられない。
「燦、愛してるよ」
「あん、葵くん。朝からやるの?」
「そう、まだ起きる時間じゃないからね」
「遅刻しても知らないよ?」
「大丈夫、今日はもう寝ないから。時間ぎりぎりまでするよ」
「ええー! 私死んじゃうんですけどって、葵くんっ」
燦の身体の愛撫を始めれば反応する彼女が可愛くて、僕は止まらなくなっていく。
「あん、はあん、葵くん、きもちいいっ」
燦との1日1日を大切に、僕はもう後悔をしたりしない。絶対に燦を悲しませないと心に誓ったから。
だからね、燦。ずっと僕の傍で笑っていてね。
完