交わらない想いは、いつか交差する

「蒼空ーっ! 何してんだー!」

「はやくカラオケ行こーっ」

「もう、おいていくぞーこらっ」

 後ろでクラスメイトたちが、蒼空に声をかける。

「じゃあ、それだけだから。本当、ありがとう」

「ん! 国枝が楽しそうで俺も嬉しいやっ! また、学校でな~っ」

 美咲に手を振ったあと蒼空は、わりぃわりぃ! とみんなに向き直って、駆けていく。

 ハンカチもらった! と、嬉しそうに話す蒼空の声が聞こえる。

「よかったね、美咲ちゃん! 渡せたじゃんっ」

「うん、嬉しい……」

 真菜と一緒に喜んで、美咲は幸せいっぱいだった。

「じゃあ、そろそろお腹空いちゃったし、どこかでお昼にしよう」


 真菜の言葉に頷き、美咲は笑う。

 彼女の心はどこまでも澄み渡り、優しく吹く風はこれからの未来を祝福しているようだった。



 完


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