交わらない想いは、いつか交差する

「目的の物は買えたし、次はどこに行こうか」

「そうだね、どこがいいかな」

 美咲と真菜、ふたり仲良く並んで歩く。

 あとは、広江に渡すだけ……本当に渡せるかな。

 不安に思い、ちらりと真菜を見つめれば、

「大丈夫、絶対に大丈夫。あたしが保証するよっ」

 力強く言ってくれた友人の言葉に、勇気をもらった。

 そうしてスーパーを後にし、街中を歩くふたりの前方から、

「んだよっ! マジ笑えねー!」

「とか言って笑ってんの、お前じゃんっ」

「ふたりともうるさい」

 賑やかな男女10人くらいの集団が、こちらに向かって来ていた。

「あ」

「広江くんじゃない、あれ」

 その中に、周りの男子よりも小さな彼の姿があった。

 やはりその見た目は、街中でも取り分け目立ち、すぐに蒼空だと分かる。

 私服の彼は、やはりオシャレに気を使っていて、カジュアルな服装の中にセンスの光る小物を取り入れていた。

「……国枝?」

「どーした、蒼空? 立ち止まって」

「蒼空?……国枝さん?」

 その中には、蒼空の幼なじみ、結美華の姿もあった。


29/32ページ
スキ