交わらない想いは、いつか交差する

 真菜と緑子と別れてから美咲は、ずっとひとりぼっちだった。

 中学で3人で一緒にいた時も、他の男子や女子のグループとは話していなかった。

 美咲は寄り道をせず家に真っ直ぐ帰る真面目な優等生。だから、普通の高校生より色々なことを知らず、遅れていた。

「美咲ちゃん、これなんかいいんじゃない?」

 真菜が美咲に差し出したのは、ぺたりんの形をしたボールペン。

 そう、友達と仲直りの仕方も、自分を気に掛けてくれたクラスメイトにお礼の品を選ぶのも、全部が初めての出来事だった。

「う、うん」

「気に入らない?」

 そういってボールペンを元に戻す。




 いま、真菜とふたりで来ているのは、家から近くにある大型スーパー。地下2階から地上8階まであるこのスーパーは、毎日のように親子連れやお年寄り、仕事帰りの人たちと賑わっていた。

 その中のセナリアのキャラクターコーナーに、真菜とふたりで蒼空へのお礼を選んでいるとこだった。

 今日の美咲は、ワンピースにいつものポニーテールといった、清楚で柔らかなイメージの服装。

 反対に真菜は髪を下ろし、レースのついた可愛らしいトップスにキュロット姿の動きやすい服装で、ふたり遊びに来ていた。

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