交わらない想いは、いつか交差する

 また、だ。またわたし、人を傷つけた……。

 それに、と美咲は思う。

『正義気取りで、邪魔して……自分が気持ちよかっただけじゃないっ!』

 あの日に真菜に言われて傷ついた言葉を、今度は自分が蒼空にぶつけた。

 さいあくだ……わたし最悪。

 ふらふらと美咲は顔を俯かせて歩き出そうとする。

 そんな彼女に彼は、

「……くにえだっ、俺、おまえのこと傷つけちゃったけど……でも、いまみたいにさ、もう一度、神山さんにぶつかってみろよ!」

 自分の想いを言葉に乗せて、声を張り上げる。

「待ってると思うから、絶対。おまえとしゃべる機会、欲しいって思ってるから!!」

 立ち去っていく美咲に届くように、大きな声で強く。

「絶対、やり直せるからっ!!」

 美咲は蒼空を一度も振り向かず、帰って行った。

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