交わらない想いは、いつか交差する
「ごめん、本当にごめん……泣かせて、ごめん」
ひとつひとつ、区切るように言葉を紡ぎ出す蒼空は、そのまま彼の苦しさを表していた。
「……広江は、さ。わから、ないんだよ……わたし、みたいな人間の、気持ち。全員が全員、自分と同じ考えを持ってるって、そう思ってる、でしょ」
泣いてしゃくりをあげながら、確実に言葉に怒りを滲ませて、彼女は告げる。
「それは……」
この間、結美華に言われた言葉を思い出す。
『みんなが自分と同じ考えって思わない方がいい』
「そうか、ごめん……」
胸を刺す痛みに耐えながら、でも……と蒼空は続ける。
「確かにそれは、当たってるかも、しれない。ごめん」
苦しそうにひとつひとつの言葉を話す。
「でも俺は、そうして人に忖度し過ぎて何もしないより、ぶつかっていってみたい。例えお節介でも、国枝にも笑って毎日、過ごして欲しいから」
彼女の顔を見られずに、蒼空は自分の想いを伝える。
サアァーっと、草木を揺らしてふたりの間を風が通った。
「それ、ただの自分勝手だから。わたし、広江に頼んだ? ひとりが辛いから、真菜と仲直り出来るように、手伝ってって、頼んだ? ねえ?」
美咲の中で警報が鳴る。
これ以上言葉にしては駄目だ、引き返せなくなる……頭ではわかっているのに、口は言葉を形にすることを止めなかった。
「……人の苦しい過去、勝手に覗き込んで、それを正義気取りで介入してッ……広江は、広江はさ、自分が気持ちよかっただけなんだよっ!」
蒼空を睨みつければ、彼はいままで見たことのない、ひどく傷ついたような顔をしていた。あのいつも明るい広江蒼空が。こちらの心を締め付ける、壊れそうな表情をしていた。
ひとつひとつ、区切るように言葉を紡ぎ出す蒼空は、そのまま彼の苦しさを表していた。
「……広江は、さ。わから、ないんだよ……わたし、みたいな人間の、気持ち。全員が全員、自分と同じ考えを持ってるって、そう思ってる、でしょ」
泣いてしゃくりをあげながら、確実に言葉に怒りを滲ませて、彼女は告げる。
「それは……」
この間、結美華に言われた言葉を思い出す。
『みんなが自分と同じ考えって思わない方がいい』
「そうか、ごめん……」
胸を刺す痛みに耐えながら、でも……と蒼空は続ける。
「確かにそれは、当たってるかも、しれない。ごめん」
苦しそうにひとつひとつの言葉を話す。
「でも俺は、そうして人に忖度し過ぎて何もしないより、ぶつかっていってみたい。例えお節介でも、国枝にも笑って毎日、過ごして欲しいから」
彼女の顔を見られずに、蒼空は自分の想いを伝える。
サアァーっと、草木を揺らしてふたりの間を風が通った。
「それ、ただの自分勝手だから。わたし、広江に頼んだ? ひとりが辛いから、真菜と仲直り出来るように、手伝ってって、頼んだ? ねえ?」
美咲の中で警報が鳴る。
これ以上言葉にしては駄目だ、引き返せなくなる……頭ではわかっているのに、口は言葉を形にすることを止めなかった。
「……人の苦しい過去、勝手に覗き込んで、それを正義気取りで介入してッ……広江は、広江はさ、自分が気持ちよかっただけなんだよっ!」
蒼空を睨みつければ、彼はいままで見たことのない、ひどく傷ついたような顔をしていた。あのいつも明るい広江蒼空が。こちらの心を締め付ける、壊れそうな表情をしていた。