交わらない想いは、いつか交差する

『美咲ちゃん……』

 記憶の奥深くに仕舞われていた感情、言葉、出来事。それらがまざまざと脳裏に甦る。

「……っ、」

 ぼろぼろと、止まらず落ちていく涙。さっき散々泣いて、枯れたと思っていた感情が、胸を締め付ける。

「っ……」

 声を出さないように、静かに。空の一点を見つめ泣く姿は、一生懸命に悲しみに耐えようとしているかのよう。

 そんな美咲が痛々しくて、自分が泣かせてしまった事実が苦しくて。

 蒼空は彼女から顔を背けてそっと謝る。

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