交わらない想いは、いつか交差する

「あの、さ。それでちょっと、国枝に話したいことがあるんだけどさ」

 沢山の学校に人たちに、別れの挨拶を返していた蒼空は、やっとその波が収まり話し出した。

「なに?」

「その、昼休みにさ、俺国枝の友達と話したんだ」

「!!」

 真菜の話を切り出した途端、美咲は警戒の色を出す。

「だから?」

「全部、聞いた。おまえと友達にあったこと」

「なにそれっ……! 信じられないっ!」

 蒼空が自分と真菜にあったことを聞いた。美咲にとって思い出したくもなければ、誰にも知られたくないことを、蒼空は聞いた。

「広江、デリカシーないんじゃないの……っ」

 沸々と沸く怒りに身を任せそうな自分を、必死に抑えつけながら彼に言葉の棘をぶつける。

「ごめん、わるかった。……俺、国枝にも楽しそうにして欲しくてさ、だから」

「だから、なに? だから広江は人の知られたくない過去を聞いたの? わたしのためを思って?」

 辛そうな蒼空の顔を見て、いま自分の表情がどんな風なのかがわかる。

「うん、ごめん。けど話を聞いてたらさ、神山さんはおまえを傷つけたこと、辛そうだった」

 まるで自分のことのように話す蒼空。

「いま、国枝がしてる表情みたいに。神山さんはおまえと仲直り、したがってるよ」

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