交わらない想いは、いつか交差する

「そろそろ昼休み、終わっちゃうね」

 ごめんね、こんな長い話……。

 そう言って神山真菜は謝った。

「いや、いいって。俺が聞きたかったからさ。こっちこそ、わりぃな」

 謝り返す蒼空を見て、

「ふふ、なんか噂には聞いていたけど、広江くんっていい人なんだね」

 見た目は不良なのにね、と真菜はおかしそうに言った。

「別に不良って訳じゃねーって。ただ、おしゃれが好きなだけっ」

 シルバーの指輪をつけた手で、ピアスが光る耳を触る。

「広江くんは、なんだか美咲ちゃんのこと、気にしてくれてるみたいだから……美咲ちゃんのこと、よろしくねっ」

 一緒に座り込んで話していた真菜は立ち上がり、制服についた埃を払う。

「じゃあね、ばいばい」

 真菜は別れを告げて、蒼空の元から去って行った。


「さてと」

 ひとり残された蒼空はある決意をした。

 美咲と真菜の仲をなんとかしよう、と。

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