交わらない想いは、いつか交差する

「緑子の将来がなくなっちゃうのに、なんで先生方に本当のことを言ったの!!」

「緑子ちゃんは苦しんでたよ。美咲ちゃん、あのね、庇うことがその人のためになるとは、限らないんだよ」

「そんなこと、ないっ! 真菜が告げ口したせいで、緑子の将来が台無しになった!」

 自分が万引きの罪を背負っていたら……と、嘆く美咲にさすがに腹が立ってきた真菜。

 パアンッ!!

 美咲の頬を思いっきり叩いたらしい。
 驚いて、叩かれた頬を撫でる美咲に、

「ねえ、美咲ちゃんっ。なんで自分のことは大事にしないの!」

 理解しようとしない美咲に、涙を流しながら納得させようとしたらしい。

「緑子ちゃんのことが大切なのは、あたしも一緒。だって小学校の頃からずっと仲良しだったんだもん」

 真菜は一生懸命、美咲に訴え掛けた。

「だから、庇いたい気持ちはわかるよ。わかるけど、それは緑子ちゃんのためじゃないって、あたしは思う」

「違う。緑子のこと、真菜はどうでもいいからそんなことが言える」

 呆れた真菜は美咲に、厳しいことを言った。

「緑子ちゃんは、自分の罪、ちゃんと背負いたかったんだよ。それを正義気取りで、邪魔して……自分が気持ちよかっただけじゃないっ!」

 この言葉が決定打になってしまったらしい。

「真菜、最悪。ひどいよ、なにそれ。もういい。もういいよ! わかってくれないなら、もういらないっ!」

 真菜なんていらないっ!

 その言葉を最後に、美咲と真菜は離れてしまったらしい。

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