交わらない想いは、いつか交差する

 真菜によればそれは、中学生の時に起こったらしい。

『真菜なんてしらないっ。もういい』

『待って、美咲ちゃん。いてて、今日痛み止めの薬、飲み忘れた』

 その日、美咲と真菜は『あること』で言い争いになっていたという。

『わたし、『あのこと』は言わないでって、言ったよね!』

『うん、言った。でもね、美咲ちゃん。あれはね、絶対にね、言わなきゃだめだよ』

 真菜は美咲にそう説得しようとした。

『あること』というのは、美咲と真菜の親友、緑子のしたことを庇ったことだった。
 小学校の時から美咲と真菜と緑子、3人は親友同士。3人は常に一緒で、遊んだり笑い合ったり、楽しい日々を送っていた。

「でもね、それはね、ずっとは続かなかったんだ」

 真菜は昔を思い出すように語る。

 ある日、緑子が万引きをしたのだ。

「緑子ちゃんの家は厳しくてね、将来は弁護士になることを決められていてね、きっとね、しんどかったと思う」

 ストレスからの万引きだったんだろうね……。

 真菜は続ける。

 緑子が万引きをしようとした時、店員に見つかったらしい。なんとか逃げ切れたものの、制服から学校がバレてしまった。

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