交わらない想いは、いつか交差する

 違うクラスの女子は、神山真菜といった。黒髪を耳の後ろでふたつ結びをした、いかにも真面目な生徒といった雰囲気がある。

 話を聞けば真菜と美咲は小学校からの付き合いで、親友だったらしい。

『だった』というのは、いまは仲違いしてしまったから。

「多分、美咲ちゃんはまだあの日のことを、気にしているんだと思う」

「あの日って?」

「あたし、生理が重くてね」

「せ、生理……お、おう」

 話が重たくなりそうな雰囲気の中、急に出た女子のあの日のこと。
 しかもオブラートで包み隠さず、ストレートに言葉にした真菜に、蒼空は面食らった。

 ちょっと変わった子なんだな……。

 心で呟きつつ、話の腰を折らないように促す。

「あたしはね、気にしてないしね、また美咲ちゃんと仲良くなりたいんだけど……」

 彼女の話し方に多少、もどかしさを感じながら、蒼空は聞き役に徹した。

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