交わらない想いは、いつか交差する

「え、そんないいよ。そんなつもりで言ったんじゃないから」

「俺があげたいんだって」

 ふたりが譲り合いをしていると、

「あれ? 美咲ちゃん?」

 こちらに向かって来ていた違うクラスの女子が、彼女の名前を呼ぶ。

「……っ、ごめん広江。わたし、戻る」

 その女子を見た途端、美咲は広げていたお弁当をしまう。

「あ、おい国枝っ」

 しまったお弁当を片手に蒼空の制止も聞かずに、走り去って行く。

「美咲ちゃん……」

 彼女の後ろ姿を見つめて、悲しそうに名前を呼ぶ女子に、蒼空は話し掛ける。

「もしかし……なくても、国枝の友達?」

「えっ?」

 彼に声を掛けられて、不思議そうに首を傾げる女子に、美咲のことを聞き出すことにした。

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