5月、ゴールデンウィーク
5月の大型連休といえば、ゴールデンウィーク。私の職場はスーパーで、大抵主婦が働いている事が多い。なので、子供のいる主婦の多くが今月、休み希望を出していて、いつもより人数が少ない中で働かなければいけない。
「あー、もう忙しいー!!」
夏希はバタバタと品出しをしながら、お客様に呼びかけられたらご案内をして、また品出しをして……を、繰り返していた。
「夏希ちゃん、頑張りましょうね」
同じ食品品出し係の鈴木さんが、声をかけてくれる。
「そうですね、頑張ります!」
とにかく物を品出しして減らさなければ、冷蔵庫に全部しまいきれない。出すべし! 出すべし! で、ひたすら動いて1日が終わった。
「はぁー、疲れたー」
仕事終わりに買い物をして、今日の晩御飯を考える。夏希より湊の方が大抵残業をしてきて帰りが遅いので、彼女が晩御飯を作る係だ。
「あ、柏餅……」
お菓子コーナーを見れば、5月の風物詩の柏餅が並んでいる。
「みそあん、買って行こうかな……」
夏希も湊も粒あん、こしあん、と好きだが、みそあんは柏餅でしか食べられない味なので、柏餅を買う時はみそあんで決まっていた。
「さて、晩御飯はうーん……最近、餃子食べてないな、よし餃子でいいか」
材料をカゴに入れて、会計を済ましてスーパーを出た。
────
────────
「はあ、疲れた」
家に着いた夏希は、玄関のドアを開けて、部屋の電気を点けていく。湊はまだ帰ってはいない。たまに早く帰る事もあるけど、大抵は夜の10時半や11時に帰ってくる。
工場は人手が足りず、今じゃ外国の人がその仕事を支えてくれている。まあ日本は少子化で、どこも人手不足な事が多いんだけど。
「じゃあ、作りますかー」
手も洗い、部屋着に着替えた所で夏希は、晩御飯の準備をする。
今夜の晩御飯は、餃子。
材料は挽肉、ニラ、卵、もち粉の入った大判の皮。このもち粉の皮が美味しくて、気に入っている。挽肉とみじん切りにしたニラと卵、片栗粉を入れて、手で混ぜこねる。そうして、ひたすらに皮で包んでいき、たくさんの包まれた餃子が出来上がっていく。
「うーん、結構大変だわ」
湊がよく食べるので、大体50個位作り、なかなかの大変な作業だ。そして餃子が晩御飯の日は、餃子のみがおかずなので、たくさん作るのだ。
「よし、焼きますか」
湊の分は後で焼くとして、先に自分の分を焼く。私の餃子は両面焼きで、こんがり焼き目をつけるのが美味しさの秘密になっている。
自分の分の10個を焼いて、ご飯は昨日多めに炊いたから冷蔵庫からチンして食卓に並べる。
「いただきまーす」
うん、相変わらず美味しいわ、と自画自賛。熱々の内にはふはふと食べて、お腹を満たした。
「ごちそうさま」
湊の帰りを待つ間、お気に入りの猫動画を見て過ごす。
「ただいまー」
そうこうしている内に、湊が帰って来た。
「今日、人手不足で時間かかったー」
「大変だったね、お疲れ様」
スマホを閉じて、餃子を焼く準備をする。
「やっぱり、ゴールデンウィークは人手不足になるよねー。わかるわー」
餃子を焼きながら、湊と話をする。
「なに、今日は餃子? やった、うまそう!」
湊が買ってきたビールを出して、先に飲み出す。
「そういえば、柏餅買ったよ。先に食べたら?」
「本当? ありがとう」
湊がスマホのメールチェックをしながら、柏餅を食べる。
「みそあん、やっぱりうまいな」
「だよね。柏餅はやっぱりみそあんだよね」
たわいない話をしながら、出来上がった餃子をお皿に乗せて、湊に渡す。
「はい、第一弾出来上がりっ!」
「待ってました!」
一気には焼けないので、第一弾、第二弾、第三弾と焼き続けていく。
「夏希の餃子はうまいっ! 皮はパリパリでもちもちだし、最高ー」
「あはは、ありがとう」
相変わらずのいい食べっぷりで、湊は餃子を美味しそうに消化していく。
「はあー食べた食べた。お腹いっぱい」
ぺろりと40個食べて、湊は満腹笑顔で、ごちそうさまをした。
「湊は美味しそうに食べてくれるから、毎回作り甲斐があるわ」
「や、だって美味しいのは事実だし。夏希が料理うまいからだよ」
素直だなー、湊くんは。
「ありがとう」
「こちらこそ、いつもありがとう」
いつもの日常、いつもの生活。
そんな変わりない毎日が楽しくて、湊とならずっとこの生活を楽しめそうだと、夏希は思う。
仕事頑張って、美味しいご飯を食べて、たまに遊んで。
そんな普通で当たり前の毎日を日々送れている事に感謝して、リビングに席に着いて、今日の出来事を夏希は話すのだった。
完
「あー、もう忙しいー!!」
夏希はバタバタと品出しをしながら、お客様に呼びかけられたらご案内をして、また品出しをして……を、繰り返していた。
「夏希ちゃん、頑張りましょうね」
同じ食品品出し係の鈴木さんが、声をかけてくれる。
「そうですね、頑張ります!」
とにかく物を品出しして減らさなければ、冷蔵庫に全部しまいきれない。出すべし! 出すべし! で、ひたすら動いて1日が終わった。
「はぁー、疲れたー」
仕事終わりに買い物をして、今日の晩御飯を考える。夏希より湊の方が大抵残業をしてきて帰りが遅いので、彼女が晩御飯を作る係だ。
「あ、柏餅……」
お菓子コーナーを見れば、5月の風物詩の柏餅が並んでいる。
「みそあん、買って行こうかな……」
夏希も湊も粒あん、こしあん、と好きだが、みそあんは柏餅でしか食べられない味なので、柏餅を買う時はみそあんで決まっていた。
「さて、晩御飯はうーん……最近、餃子食べてないな、よし餃子でいいか」
材料をカゴに入れて、会計を済ましてスーパーを出た。
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「はあ、疲れた」
家に着いた夏希は、玄関のドアを開けて、部屋の電気を点けていく。湊はまだ帰ってはいない。たまに早く帰る事もあるけど、大抵は夜の10時半や11時に帰ってくる。
工場は人手が足りず、今じゃ外国の人がその仕事を支えてくれている。まあ日本は少子化で、どこも人手不足な事が多いんだけど。
「じゃあ、作りますかー」
手も洗い、部屋着に着替えた所で夏希は、晩御飯の準備をする。
今夜の晩御飯は、餃子。
材料は挽肉、ニラ、卵、もち粉の入った大判の皮。このもち粉の皮が美味しくて、気に入っている。挽肉とみじん切りにしたニラと卵、片栗粉を入れて、手で混ぜこねる。そうして、ひたすらに皮で包んでいき、たくさんの包まれた餃子が出来上がっていく。
「うーん、結構大変だわ」
湊がよく食べるので、大体50個位作り、なかなかの大変な作業だ。そして餃子が晩御飯の日は、餃子のみがおかずなので、たくさん作るのだ。
「よし、焼きますか」
湊の分は後で焼くとして、先に自分の分を焼く。私の餃子は両面焼きで、こんがり焼き目をつけるのが美味しさの秘密になっている。
自分の分の10個を焼いて、ご飯は昨日多めに炊いたから冷蔵庫からチンして食卓に並べる。
「いただきまーす」
うん、相変わらず美味しいわ、と自画自賛。熱々の内にはふはふと食べて、お腹を満たした。
「ごちそうさま」
湊の帰りを待つ間、お気に入りの猫動画を見て過ごす。
「ただいまー」
そうこうしている内に、湊が帰って来た。
「今日、人手不足で時間かかったー」
「大変だったね、お疲れ様」
スマホを閉じて、餃子を焼く準備をする。
「やっぱり、ゴールデンウィークは人手不足になるよねー。わかるわー」
餃子を焼きながら、湊と話をする。
「なに、今日は餃子? やった、うまそう!」
湊が買ってきたビールを出して、先に飲み出す。
「そういえば、柏餅買ったよ。先に食べたら?」
「本当? ありがとう」
湊がスマホのメールチェックをしながら、柏餅を食べる。
「みそあん、やっぱりうまいな」
「だよね。柏餅はやっぱりみそあんだよね」
たわいない話をしながら、出来上がった餃子をお皿に乗せて、湊に渡す。
「はい、第一弾出来上がりっ!」
「待ってました!」
一気には焼けないので、第一弾、第二弾、第三弾と焼き続けていく。
「夏希の餃子はうまいっ! 皮はパリパリでもちもちだし、最高ー」
「あはは、ありがとう」
相変わらずのいい食べっぷりで、湊は餃子を美味しそうに消化していく。
「はあー食べた食べた。お腹いっぱい」
ぺろりと40個食べて、湊は満腹笑顔で、ごちそうさまをした。
「湊は美味しそうに食べてくれるから、毎回作り甲斐があるわ」
「や、だって美味しいのは事実だし。夏希が料理うまいからだよ」
素直だなー、湊くんは。
「ありがとう」
「こちらこそ、いつもありがとう」
いつもの日常、いつもの生活。
そんな変わりない毎日が楽しくて、湊とならずっとこの生活を楽しめそうだと、夏希は思う。
仕事頑張って、美味しいご飯を食べて、たまに遊んで。
そんな普通で当たり前の毎日を日々送れている事に感謝して、リビングに席に着いて、今日の出来事を夏希は話すのだった。
完