1月、七福神巡り
「あ、またあの観光バス」
「本当だ。私らよりやっぱ着くの早いね」
山門に入り本堂に向かう途中、夏希と湊は駐車場にある一台のバスを見る。この七福神巡りも、ツアーになる程人気があるらしい。
正月を過ぎた七草粥の日、夏希と湊の毎年恒例になりつつある七福神巡りに、2人は来ていた。
2人の共通の趣味である御朱印集め。付き合う前から一緒に行っていたので、かれこれ5年くらいか。
御朱印集めとは、元は写経をしてお寺に奉納した証としてもらっていた物だったのが、今は簡略化してお寺にお詣りして奉納料を払うともらえる御朱印を、専用の御朱印帳という物に集めていくコレクター要素がある趣味だ。
現在では神社でもやっていて、基本はお寺や神社の名前のハンコを押された物に、墨で書かれた御神体の名前というのが御朱印だが、昨今は綺麗な和紙にキラキラのイラストが描かれていたり、カラフルな色で模様や草花が描かれていたりと、豪華な御朱印もあったりする。
いま行っている七福神巡りは、毎年お正月に色んな地域で開催されており、御朱印仲間で密かにブーム到来。
七福神巡りというのは、各お寺や神社がその地域で協力して開催するもので、その地域の各寺社仏閣を巡ると、七福神のご利益を授かれるというもの。
私たちは沢山ある中から1年にひとつ選び、その神社やお寺までの道を写真付きで載せてくれているブログの人の、ナビを頼りに巡る。
「初めて行く地域でさ、右も左も分からないのに、目的地に辿り着けるってすごいよな」
スマホを片手に先頭を歩き、嬉しそうに話す湊に、
「湊は方向音痴だからね。地図見ても迷うし、こうやって写真付きだとありがたいよね」
少々呆れ笑いながら後に続く。
私の方が地図が読めるのだが、湊は私をエスコートしたいらしい。そーゆーとこ、子供だなと思う。
まだ1月で寒い時期だが、陽射しが暖かくここまで歩いて来たので、2人とも着ていたコートを既に脱いでいた。
本堂で静かに手を合わせてからまた外に出て、7つの小さなお地蔵様にもお参りする。
それから社務所の受付で、専用の御朱印帳に御朱印を頂きに行った。
「少々お時間がかかるので、どうぞ上がってお待ち下さい」
と、若い住職さんに案内され、畳敷きの一室に通して頂いた。
寒いからとストーブを付けてもらい、お茶と共にお菓子も出されて、退出された住職さん。
畳敷きに設置されたテーブルとそのイスに座り、
「すごいな、ここ。こんな待遇してくれるなんて。ちょうどお腹空いていたし、助かるわ」
私がお菓子を摘まんでいると、
「そうだね。オレが御朱印5体全部頼んじゃったから、時間かかるのかも」
迷惑だったかなと、何故かシュンとしている湊。
「いやいや湊くん。お寺の収益になるからいいんでない? 確かに忙しそうだけどさ、繁盛期という事で」
私が慰めると、
「そっか。そういう考えもあるか」
と、納得してもらえた。
なんというか、湊は色んな面で気にし過ぎる傾向がある。少々面倒臭いが、まあ、これも湊らしさの一部だしと私は捉えていた。
「本当だ。私らよりやっぱ着くの早いね」
山門に入り本堂に向かう途中、夏希と湊は駐車場にある一台のバスを見る。この七福神巡りも、ツアーになる程人気があるらしい。
正月を過ぎた七草粥の日、夏希と湊の毎年恒例になりつつある七福神巡りに、2人は来ていた。
2人の共通の趣味である御朱印集め。付き合う前から一緒に行っていたので、かれこれ5年くらいか。
御朱印集めとは、元は写経をしてお寺に奉納した証としてもらっていた物だったのが、今は簡略化してお寺にお詣りして奉納料を払うともらえる御朱印を、専用の御朱印帳という物に集めていくコレクター要素がある趣味だ。
現在では神社でもやっていて、基本はお寺や神社の名前のハンコを押された物に、墨で書かれた御神体の名前というのが御朱印だが、昨今は綺麗な和紙にキラキラのイラストが描かれていたり、カラフルな色で模様や草花が描かれていたりと、豪華な御朱印もあったりする。
いま行っている七福神巡りは、毎年お正月に色んな地域で開催されており、御朱印仲間で密かにブーム到来。
七福神巡りというのは、各お寺や神社がその地域で協力して開催するもので、その地域の各寺社仏閣を巡ると、七福神のご利益を授かれるというもの。
私たちは沢山ある中から1年にひとつ選び、その神社やお寺までの道を写真付きで載せてくれているブログの人の、ナビを頼りに巡る。
「初めて行く地域でさ、右も左も分からないのに、目的地に辿り着けるってすごいよな」
スマホを片手に先頭を歩き、嬉しそうに話す湊に、
「湊は方向音痴だからね。地図見ても迷うし、こうやって写真付きだとありがたいよね」
少々呆れ笑いながら後に続く。
私の方が地図が読めるのだが、湊は私をエスコートしたいらしい。そーゆーとこ、子供だなと思う。
まだ1月で寒い時期だが、陽射しが暖かくここまで歩いて来たので、2人とも着ていたコートを既に脱いでいた。
本堂で静かに手を合わせてからまた外に出て、7つの小さなお地蔵様にもお参りする。
それから社務所の受付で、専用の御朱印帳に御朱印を頂きに行った。
「少々お時間がかかるので、どうぞ上がってお待ち下さい」
と、若い住職さんに案内され、畳敷きの一室に通して頂いた。
寒いからとストーブを付けてもらい、お茶と共にお菓子も出されて、退出された住職さん。
畳敷きに設置されたテーブルとそのイスに座り、
「すごいな、ここ。こんな待遇してくれるなんて。ちょうどお腹空いていたし、助かるわ」
私がお菓子を摘まんでいると、
「そうだね。オレが御朱印5体全部頼んじゃったから、時間かかるのかも」
迷惑だったかなと、何故かシュンとしている湊。
「いやいや湊くん。お寺の収益になるからいいんでない? 確かに忙しそうだけどさ、繁盛期という事で」
私が慰めると、
「そっか。そういう考えもあるか」
と、納得してもらえた。
なんというか、湊は色んな面で気にし過ぎる傾向がある。少々面倒臭いが、まあ、これも湊らしさの一部だしと私は捉えていた。