8月、ママが来た
「夏希ちゃん、湊くん、ご飯出来たわよー」
次の日の朝、ママが私と湊を起こしてくれる。ママが泊まりに来てくれる日は、ママがご飯を作ってくれるので、大助かりである。
「わあー、いいね。朝食って感じ」
「うまそー。夏希ママも料理上手いもんなー」
「あら、湊くんありがとうー」
真っ白ほかほかご飯、皮がこんがり焼けたしゃけの切り身、具だくさん味噌汁、だし巻き玉子にワカメときゅうりの酢の物、そして納豆。ザ・日本人の朝食だ。
「いただきまーす」
「いただきまーす」
「はい、召し上がれー」
湊と共に箸を取り食べ始める。
「うん、ママの味噌汁はちょうどいい味なんだよねー。薄すぎず濃すぎず。私が作ると味薄いんだよねー」
「夏希ママの味噌汁美味しいよな。でも俺、夏希の味噌汁も好きだよ」
「え、あ、ありがとう」
「うふふ、仲のいいことねー」
そうしてママのご飯を食べて仕事へと向かう。
「じゃあいってきます」
「夏希ママ、いってきます」
「2人共、いってらっしゃい」
ママが笑顔で見送ってくれた。
────
────────
「いらっしゃいませー」
夏希は声掛けをしながら店内に出て、お菓子コーナーの品出しをする。
新しい商品を出す時は『前出し』と言って、古い日付を手に取ってもらうように、新しい日付を後ろにして品出しをする。なので、棚に詰め込まれた品物を一端全部取り出して、新しい日付を棚に入れてから古い日付の商品をまた詰め直していく。入りきらなかった新しい日付の商品は、1番上のスペースに置く。
「お姉ちゃん、エラいね。おしごと、がんばって~」
急に声を掛けられて見れば、小さな男の子がオモチャを片手に持って手を振ってくれている。
「あはは、ありがとうー」
夏希がお礼を言うと、男の子は恥ずかしがって走り去ってしまう。
可愛い……5歳くらいかな。あんな素直そうな子供だったら、欲しいかな……なんてね。
そんなことを考えて、仕事をテキパキこなす夏希だった。
────
────────
「ただいまー、お腹空いたー」
「お帰りなさい、夏希ちゃん。ご飯、出来てるわよ~」
「ママ、ありがとうー」
ママが来てくれる日は、晩御飯も作ってくれるので、すごいありがたい。
仕事から帰って晩御飯作るのって正直、大変だからね。
「今日、なにー?」
「ふふ、すき焼きよー」
「やった、すき焼き! 久しぶりだわ」
さっそく手を洗い服を部屋着に着替えて、席に着く。
「じゃあ夏希ちゃんの分、やりましょうね~」
カセットコンロの火を点けて、まずは牛脂を鍋に満遍なく行き渡らせる。そしたら次は長ネギを入れて、お肉を焼く。
「ママ、奮発して高い牛肉買っちゃったから、おいしいわよ~」
「きゃー、嬉しいー」
そうしてお肉の焼けるいい匂いがしてきたら、割り下を入れて椎茸、豆腐、白菜、白滝、えのきを入れて、ぐつぐつ煮る。その間に卵を割って、掻き混ぜておく。
「そういえば今日さ、小さな男の子に『おしごと、がんばって~』って、言われちゃったよ。なんか可愛くて、こんな子なら欲しいかな、なんて思ったりしたわ」
「あらあら、夏希ちゃん夫妻の所も、子供誕生かしら? ママ楽しみ~」
「いや、まだ結婚してないけどね。それに共働きだから大変だし、難しいけど……1人、2人いてもいいかなってちょっと考えちゃった」
「まだあなたたちは若いんだし、いっぱい悩みなさい。ママとしては、夏希ちゃんの子供見たいけど、夏希ちゃんの考えが1番だからね」
「ありがとう、ママ」
そうして煮えたすき焼きをママと一緒に食べて、お腹を満たしていく。うん、高い牛肉だけあって、おいしい!
「ママ、お肉おいしい!」
「ふふ、よかったわ~」
くたくたに煮えた長ネギと白菜に、割り下がよく絡まった白滝、熱々なのでふうふうして食べるお豆腐。すき焼きを考えた人、エラい!
ママと2人、すき焼きを食べ終わった頃に、湊も帰って来た。
「夏希、夏希ママ、ただいまー」
「お帰り、湊」
「湊くん、お帰りなさい~。いま、すき焼きの支度、するわね~」
そうして湊がすき焼きを食べ終わった後は、溶き卵とお餅を入れておじやを食べる。
「すき焼きは2段階楽しめるからいいよな」
「うん、おじや好きー」
「ママも好きだわ~」
はふはふして、3人のお腹に消えていくおじや。鍋は全て、空になった。
「ママ、ごちそうさまでした」
「夏希ママ、ごちそうさまでした」
「はぁい。おいしく食べてくれてよかったわ~」
食後はママと歓談してからお風呂に入り、少しテレビを観る。ママと同じドラマを観ながら、また話をして、そんな風に夜は更けていった。
次の日の朝、ママが私と湊を起こしてくれる。ママが泊まりに来てくれる日は、ママがご飯を作ってくれるので、大助かりである。
「わあー、いいね。朝食って感じ」
「うまそー。夏希ママも料理上手いもんなー」
「あら、湊くんありがとうー」
真っ白ほかほかご飯、皮がこんがり焼けたしゃけの切り身、具だくさん味噌汁、だし巻き玉子にワカメときゅうりの酢の物、そして納豆。ザ・日本人の朝食だ。
「いただきまーす」
「いただきまーす」
「はい、召し上がれー」
湊と共に箸を取り食べ始める。
「うん、ママの味噌汁はちょうどいい味なんだよねー。薄すぎず濃すぎず。私が作ると味薄いんだよねー」
「夏希ママの味噌汁美味しいよな。でも俺、夏希の味噌汁も好きだよ」
「え、あ、ありがとう」
「うふふ、仲のいいことねー」
そうしてママのご飯を食べて仕事へと向かう。
「じゃあいってきます」
「夏希ママ、いってきます」
「2人共、いってらっしゃい」
ママが笑顔で見送ってくれた。
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「いらっしゃいませー」
夏希は声掛けをしながら店内に出て、お菓子コーナーの品出しをする。
新しい商品を出す時は『前出し』と言って、古い日付を手に取ってもらうように、新しい日付を後ろにして品出しをする。なので、棚に詰め込まれた品物を一端全部取り出して、新しい日付を棚に入れてから古い日付の商品をまた詰め直していく。入りきらなかった新しい日付の商品は、1番上のスペースに置く。
「お姉ちゃん、エラいね。おしごと、がんばって~」
急に声を掛けられて見れば、小さな男の子がオモチャを片手に持って手を振ってくれている。
「あはは、ありがとうー」
夏希がお礼を言うと、男の子は恥ずかしがって走り去ってしまう。
可愛い……5歳くらいかな。あんな素直そうな子供だったら、欲しいかな……なんてね。
そんなことを考えて、仕事をテキパキこなす夏希だった。
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「ただいまー、お腹空いたー」
「お帰りなさい、夏希ちゃん。ご飯、出来てるわよ~」
「ママ、ありがとうー」
ママが来てくれる日は、晩御飯も作ってくれるので、すごいありがたい。
仕事から帰って晩御飯作るのって正直、大変だからね。
「今日、なにー?」
「ふふ、すき焼きよー」
「やった、すき焼き! 久しぶりだわ」
さっそく手を洗い服を部屋着に着替えて、席に着く。
「じゃあ夏希ちゃんの分、やりましょうね~」
カセットコンロの火を点けて、まずは牛脂を鍋に満遍なく行き渡らせる。そしたら次は長ネギを入れて、お肉を焼く。
「ママ、奮発して高い牛肉買っちゃったから、おいしいわよ~」
「きゃー、嬉しいー」
そうしてお肉の焼けるいい匂いがしてきたら、割り下を入れて椎茸、豆腐、白菜、白滝、えのきを入れて、ぐつぐつ煮る。その間に卵を割って、掻き混ぜておく。
「そういえば今日さ、小さな男の子に『おしごと、がんばって~』って、言われちゃったよ。なんか可愛くて、こんな子なら欲しいかな、なんて思ったりしたわ」
「あらあら、夏希ちゃん夫妻の所も、子供誕生かしら? ママ楽しみ~」
「いや、まだ結婚してないけどね。それに共働きだから大変だし、難しいけど……1人、2人いてもいいかなってちょっと考えちゃった」
「まだあなたたちは若いんだし、いっぱい悩みなさい。ママとしては、夏希ちゃんの子供見たいけど、夏希ちゃんの考えが1番だからね」
「ありがとう、ママ」
そうして煮えたすき焼きをママと一緒に食べて、お腹を満たしていく。うん、高い牛肉だけあって、おいしい!
「ママ、お肉おいしい!」
「ふふ、よかったわ~」
くたくたに煮えた長ネギと白菜に、割り下がよく絡まった白滝、熱々なのでふうふうして食べるお豆腐。すき焼きを考えた人、エラい!
ママと2人、すき焼きを食べ終わった頃に、湊も帰って来た。
「夏希、夏希ママ、ただいまー」
「お帰り、湊」
「湊くん、お帰りなさい~。いま、すき焼きの支度、するわね~」
そうして湊がすき焼きを食べ終わった後は、溶き卵とお餅を入れておじやを食べる。
「すき焼きは2段階楽しめるからいいよな」
「うん、おじや好きー」
「ママも好きだわ~」
はふはふして、3人のお腹に消えていくおじや。鍋は全て、空になった。
「ママ、ごちそうさまでした」
「夏希ママ、ごちそうさまでした」
「はぁい。おいしく食べてくれてよかったわ~」
食後はママと歓談してからお風呂に入り、少しテレビを観る。ママと同じドラマを観ながら、また話をして、そんな風に夜は更けていった。