朽ちない日記~あたしの初恋と2ヶ月間~

 つぎの日のあさ。いつもよりちょっとはやく家を出て、学校行く前にお兄さんの家によった。

 お兄さんの名前、なくなってる……。ドアはカギがかかってたので、ベランダにまわる。そとからへやの中を見ると、カーテンもテレビもソファーも……ぜんぶなくなっていた。

「お兄さん、もういないんだ……」




3日後、お兄さんのお父さんがあたしの家にきた。あたしとお兄さんがなかよかったこと、知ってるみたいで、いろいろきいてきた。

……きっとまた、近所のおばさんたちがバラしたんだろう……あー、むかつくっ!

 お兄さんのお父さんは、お兄さんがどこに行ったのか、いっしょにいたお姉さんはたいおんがあったのか、しんぞうは動いていたか、とか他にもたくさんきかれたけど、ぜんぶ知らないことだったから、「知りません」とこたえた。

……あたしがききたいくらいだよ。なんで、お兄さんはちっとも動かないお姉さんといるのかとか、なんでお兄さんはあたしのこと、太陽ってよんだのかとか、知らないことばかり。

 お兄さん、今どうしてるのかな……どうかお兄さんが、お父さんに見つかりませんように……。

 お兄さんからもらっただいじなしゃしん……1日なんかいも見る……やっぱりカッコイイなお兄さん。これで、大きくなっても思い出せるね……あたしのはつこいの、お兄さんのカオを……


 あたしはそっと、たからばこにしゃしんを、しまいこんだ……。





7/7ページ
スキ