第3話 土曜出勤
雫が『アロマ喫茶せせらぎ』で働いて1ヶ月が過ぎた。5日間の仕事を終えて、家でのんびりとしていた土曜日のこと。
柏木から突然、電話がかかってきた。
『お休み中にすみません。雫さん、今日、お時間ありますか? 良ければ仕事を手伝って欲しいのですが……もちろん、お給料は出ますので』
柏木の頼みに雫は「支度があるので、1時間後なら」と答えて電話を切った。
せっかくの休みであったが、柏木と逢えることを思うと心が躍り、雫はすぐに支度に取りかかった。なにより柏木の役に立つことが嬉しかったのだ。
30分後。
雫は支度を終えて、柏木にいまから向かうことを電話で伝えた。
『わかりました。お待ちしています。本当にありがとうございます』
柏木の声を耳元で聴いて、少しドキドキとしたが、雫は「それじゃああとで」と言って電話を切った。
そうして15分後に『アロマ喫茶せせらぎ』についてドアを開ければ、柏木が出迎えてくれた。
「本当に今日はありがとうございます。予定とかは、大丈夫でしたか?」
「はい、大丈夫です。特に何もせずに、家にいただけなので」
柏木の心配に大丈夫だと返事をして、雫は店内に入って行く。
柏木について行き、喫茶店の方へと向かうと、テーブル席にパソコンが1台となにやら伝票みたいな物がある。
「実は、お店を閉めている土曜日と日曜日に、ネット販売の方の配送を準備していまして。それの手伝いをお願いしたいのです」
店が閉まっている日でも、柏木は働いていたらしい。雫は柏木の体調が心配になった。
「そんな働いて、柏木さん身体は大丈夫なんですか?」
「ええ。これでも身体は丈夫な方ですから」
その身体の線の細さにあまり説得力を感じなかったが、「そうですか」と雫は返した。
「では雫さん。雫さんには、この伝票を見ながら商品を雑貨店の店内からカゴに入れて集めてもらい、梱包して欲しいのです。梱包の仕方はお教えします」
柏木の言葉に返事をしながら、雫は聞く。
「あの、今日はお客さんいないですし、私服で働いてもいいですか?」
「そうですね。では私服のままでお願いします」
雫は内心、パンツを履いてきてよかったーと思う。あのメイド服の制服だと、常に下着が見えないか心配で、バタバタと動けなかったからだ。
「じゃあ、この伝票をお預かりします」
「はい、お願いします」
テーブル席に置いてあった伝票を受け取り、雫は仕事を始めた。
まず伝票に書いてある品物をカゴに集めていく。全て集めてからもう一度、品物が合ってるか確認をして、梱包作業に移る。
「ダンボールに詰める時、どうしても隙間が出来てしまうので、その場合はこのクッション材をお使い下さい」
よくある無色透明の空気が入ったビニールのクッション材に、プチプチがついた品物への衝撃を和らげる梱包材を丁寧に包む。
そうして作業に没頭している間に、昼休みになった。
「お疲れ様です、雫さん」
喫茶店のカウンター席に雫は座り、カウンター越しに柏木が料理の乗ったお皿とグラスを出してくれた。
今日のランチはハヤシライスとアイスティー。
「いただきます」
雫はいつものように手を合わせてから
、食べ始めた。
「ですが雫さんが来て下さったおかげで、作業が半分ほど終わりました」
そう言って微笑む柏木に、雫は作業をしていて思ったことを話す。
「よかったです。でも、あの量を1人でって
無理がありますよ。……それに、ちょっと思ったんですけど、大手の店がやっているみたいに、ハンディを導入してみたら、どうですか?」
雫の言葉に「ハンディ……ですか?」と柏木が不思議そうに話す。
「はい。パソコンとデータを繋いで、お客さんのデータを取り込んで、商品のバーコードをハンディで読み取るんです。そしたら、注文の品物を入れ忘れることもないし、お客さん間違いもないと思うんです」
「なるほど……頼もしいですね、そのハンディというのは。導入を検討してみます」
柏木は雫の話に興味を持ったようで、ハンディ導入に前向きなようだ。
「よかったです。きっと効率がもっとよくなりますから」
雫も自分の提案に乗ってくれそうな柏木に、話をしてみてよかったと思う。
そうしてハヤシライスを「美味しいです」と言いながら食べる雫を微笑んで見て、柏木は言った。
「……頬張って食べる貴女は、まるでハムスターさんみたいですね」
その言葉に雫は、真っ赤になり、ご飯を飲み込んでから返す。
「もう、からかわないで下さいよっ」
いつものからかいに、慌てて言うも柏木に笑われてしまう。
柏木から突然、電話がかかってきた。
『お休み中にすみません。雫さん、今日、お時間ありますか? 良ければ仕事を手伝って欲しいのですが……もちろん、お給料は出ますので』
柏木の頼みに雫は「支度があるので、1時間後なら」と答えて電話を切った。
せっかくの休みであったが、柏木と逢えることを思うと心が躍り、雫はすぐに支度に取りかかった。なにより柏木の役に立つことが嬉しかったのだ。
30分後。
雫は支度を終えて、柏木にいまから向かうことを電話で伝えた。
『わかりました。お待ちしています。本当にありがとうございます』
柏木の声を耳元で聴いて、少しドキドキとしたが、雫は「それじゃああとで」と言って電話を切った。
そうして15分後に『アロマ喫茶せせらぎ』についてドアを開ければ、柏木が出迎えてくれた。
「本当に今日はありがとうございます。予定とかは、大丈夫でしたか?」
「はい、大丈夫です。特に何もせずに、家にいただけなので」
柏木の心配に大丈夫だと返事をして、雫は店内に入って行く。
柏木について行き、喫茶店の方へと向かうと、テーブル席にパソコンが1台となにやら伝票みたいな物がある。
「実は、お店を閉めている土曜日と日曜日に、ネット販売の方の配送を準備していまして。それの手伝いをお願いしたいのです」
店が閉まっている日でも、柏木は働いていたらしい。雫は柏木の体調が心配になった。
「そんな働いて、柏木さん身体は大丈夫なんですか?」
「ええ。これでも身体は丈夫な方ですから」
その身体の線の細さにあまり説得力を感じなかったが、「そうですか」と雫は返した。
「では雫さん。雫さんには、この伝票を見ながら商品を雑貨店の店内からカゴに入れて集めてもらい、梱包して欲しいのです。梱包の仕方はお教えします」
柏木の言葉に返事をしながら、雫は聞く。
「あの、今日はお客さんいないですし、私服で働いてもいいですか?」
「そうですね。では私服のままでお願いします」
雫は内心、パンツを履いてきてよかったーと思う。あのメイド服の制服だと、常に下着が見えないか心配で、バタバタと動けなかったからだ。
「じゃあ、この伝票をお預かりします」
「はい、お願いします」
テーブル席に置いてあった伝票を受け取り、雫は仕事を始めた。
まず伝票に書いてある品物をカゴに集めていく。全て集めてからもう一度、品物が合ってるか確認をして、梱包作業に移る。
「ダンボールに詰める時、どうしても隙間が出来てしまうので、その場合はこのクッション材をお使い下さい」
よくある無色透明の空気が入ったビニールのクッション材に、プチプチがついた品物への衝撃を和らげる梱包材を丁寧に包む。
そうして作業に没頭している間に、昼休みになった。
「お疲れ様です、雫さん」
喫茶店のカウンター席に雫は座り、カウンター越しに柏木が料理の乗ったお皿とグラスを出してくれた。
今日のランチはハヤシライスとアイスティー。
「いただきます」
雫はいつものように手を合わせてから
、食べ始めた。
「ですが雫さんが来て下さったおかげで、作業が半分ほど終わりました」
そう言って微笑む柏木に、雫は作業をしていて思ったことを話す。
「よかったです。でも、あの量を1人でって
無理がありますよ。……それに、ちょっと思ったんですけど、大手の店がやっているみたいに、ハンディを導入してみたら、どうですか?」
雫の言葉に「ハンディ……ですか?」と柏木が不思議そうに話す。
「はい。パソコンとデータを繋いで、お客さんのデータを取り込んで、商品のバーコードをハンディで読み取るんです。そしたら、注文の品物を入れ忘れることもないし、お客さん間違いもないと思うんです」
「なるほど……頼もしいですね、そのハンディというのは。導入を検討してみます」
柏木は雫の話に興味を持ったようで、ハンディ導入に前向きなようだ。
「よかったです。きっと効率がもっとよくなりますから」
雫も自分の提案に乗ってくれそうな柏木に、話をしてみてよかったと思う。
そうしてハヤシライスを「美味しいです」と言いながら食べる雫を微笑んで見て、柏木は言った。
「……頬張って食べる貴女は、まるでハムスターさんみたいですね」
その言葉に雫は、真っ赤になり、ご飯を飲み込んでから返す。
「もう、からかわないで下さいよっ」
いつものからかいに、慌てて言うも柏木に笑われてしまう。