第2話 バイト仲間

「これよくない? パッケージも可愛いしさ、匂いもいいよ」

「あ、じゃあ私も買って行こうかな」

 3人で柏木の出してくれたアイスコーヒーを飲み終わり、お買い物タイムになっていた。

「こちらの花粉症用の鼻スプレー、良く効きますよ」

「マジっすか? じゃあ買っていこーかな」

 秀人は柏木に勧められて、花粉症グッズを買っていた。

──

────

「ありがとうございました。これから閉店後に何か商品を買うのでしたら、私に声をかけて下さい。レジを開けますので」

 3人は柏木から買った商品を持ち、制服を着替えてから、柏木と別れた。

「夜道にお気をつけて」

 柏木が微笑んで見送ってくれる。

 3人とも家が近いこともあり、話をしながら帰ることにした。

「なんか、いい店じゃん。給料高いし、まかないつきだし。今日買った商品が肌に合ったら、これからあそこの店で化粧品買おうかなー」

「あ、私レモンの石鹸リピートしてるよ。肌がしっとりするの。泡立ちもいいし」

「そうなんだー。なら買えばよかったなー」

 買った商品についてワイワイと話していると、秀人が美波の話題を振る。

「けど、美波って子はダメだったなー。今日で辞めるって言ってたけど」

「あーゆー子は、忙しい店無理だよ。あの子、ぼーと突っ立ってるだけだったからね」

 2人は困ったように話をした。

「慣れたらまた違ってきたと思うんだけど……」

 雫は美波について、残念に思っていた。

「まあ、店長もいい人そうだし、よかったよ。バイトに誘ってくれて、ありがとうね」

「そーだな。店長優しいし。それにこの3人ならうまく回せるだろうし、心配ないな」

「そうだね。2人ともありがとう」

 そうして、それぞれの家に帰って行った。



 それから一週間。

 秀人と茜はすぐに慣れていって戦力になり、お客さんの相手をこなしていった。

 こうして『アロマ喫茶せせらぎ』は、新たな頼もしいバイト仲間を2人得て、やっと夜の8時に閉店出来るようになったのだった。

 ちなみに後日美波が来て、ちゃっかりとお給料をもらいに来たのには、3人とも呆れた。そしてお客さんとして平然と来るようになったのには、3人とも驚いた。

「神経図太いわー」

 そう言って呆れる茜に、雫は苦笑いするのだった。



 完

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