朽ちない日記~こぼれ話~

 さん……スキダヨ……愛してる。いつの間にこんなスキになったんだろうネ……ホント、困っちゃうナァー。

 だってサ、ボクがキミに近付いたのは、キミが九堂葵くどうあおいの愛する恋人だったカラ……。

 九堂楓くどうかえでの息子……ボクを医学会カラ追放したあの男の息子を、殺すための道具にしようと思ってたんダ。

 それなのにキミは、ボクが意図的に逢うよう待ち伏せしてたなんて知らずに、ボクに逢うと嬉しそうにシッポを振って来たネ。何も疑わずにホント、バカで……可愛かったヨ。

「つっ……」

「わっ、ちょ、大丈夫! はるかくんっ」

 あれはボクがキミと外でお茶会するために持ってきたケーキを、ナイフで切ろうとして指を切った時……

「手当てしなきゃ」

 そう言ってバッグから消毒液とコットンと絆創膏を出して、手当てしてくれたネ……。

「準備イイネ。いつも持ってるのカイ?」

「うん。昔よく葵くんケンカしててね、しょっちゅうケガするから持ち歩くようにしたの。今はないけど、念のためね」

「フゥーン(葵クンのためネェ……)」

 その時ボクはカレに嫉妬していたんダ……カレから燦を奪ってボクのモノにしよう、ボクの性欲を処理する愛玩動物に……そう思った。

 最初はカノジョを使い、カレを呼び出して殺し、それが終わったら燦も殺すつもりだったのにナ。燦を監禁し、セックスするようになって、だんだんと1日でも長く、カレにココの場所がバレなければイイと思うようにナッタ……。

 ボクに刃向かったり、逃げようとするカノジョを薬漬けにして、心を壊していっタ。それでも時々、ボクに反抗してきて……そういう時は燦を縛り上げたり、傷つけたりして、お仕置きをした。

……キミの苦しむカオや泣きガオなんて見たくナイケド、ちゃんと躾とかナイト、キミはボクを拒絶するカラ……「大っ嫌い!」って言うカラ……。

 燦、キミがボクを憎み嫌ってるコトは知ってるヨ……でも嘘でもイイカラ「愛してる」と言ってほしかった……ダカラ言わせたんダ。

12月24日クリスマスイヴ……「燦、ケーキ食べさせてアゲルヨ」

 ボクは買ってきたケーキのクリームを指に取って、カノジョに舐めさせた。

「どう? オイシイ?」
 そう聞けばキミは「おいしい」と、虚ろな目をして笑ったネ。……もうあの頃のような眩しい笑顔は見れなかったケド……。

 最後にくれたキミカラの初めてのプレゼント……ホントに嬉しかったんダヨ? 例えボクを殺すためのプレゼントだったとしても、愛する燦カラのプレゼントダカラ……。

 燦、ボクは何回この言葉を言ったダロウ……それでももう一度、最後に言わせて……



「愛してるヨ、燦……」




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