朽ちない日記~こぼれ話~

 背中にうっすらと残る傷跡を鏡越しに見る彼は、目を細めると同時に、口元に笑みを作った。

「さすがに1週間も経てば治っちゃうかぁ」

 愛しい人につけられた愛傷。その傷を眺め呟く。

「まぁ、いいか。またつけてもらえば」

 行為中、泣き喘ぎながらも彼女は唯一出来る抵抗と、彼の背中に爪を立てる。

 くっきりと血が滲むほどに、強く。

「元気にしてるかなぁ……燦チャン」

 想い人の顔を思い浮かべ、彼は笑った。

 ボクを見て怯えるだろうか……

 それとも、罵るだろうか……

 クスクス……

「待っててネ、今行くカラ」

 手早く服を着て、彼は愛しい人の元へと部屋を出て行った。




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