犯罪都市グレグル

 グレグルの町にある高級ホテルにて、ボディーガードのミメイは娼婦のミリアと一緒にいた。

「ああ、そこそこ。気持ちいいや」

「……ちょっと、いつまで私にこんな事させるのよ」

 うつ伏せになったミメイの腰に乗り、マッサージをするミリアは、文句を垂らす。

「あー、うまいなやっぱり。お前、娼婦辞めて整体師になれば?」

「うるさいなぁ」

 的確にミメイのツボを押し当て、身体をほぐしていく。

「ナハト様がいるから、辞めるつもりはないの」

 ナハト様とは、ミリアの働く女王様プレイが出来る娼婦館の主だ。

「べた惚れだなーナハト様に」

「いいでしょ、別に。それより、そっちこそ
どうなのよ。最近、抱いてくれないじゃない」

 セフレである二人は、こうしてホテルで抱き合っていたものだが、ミメイは最近ミリアを抱かなくなっていた。

「気になる子でも出来たの?」

「まっさかー。いるわけないだろ」

 ミリアの問いに否定を返して、ミメイは機嫌を悪くする。

「とかなんとか言って。この女たらしがねぇーへぇー」

 笑うミリアにミメイがため息をつく。

「あんなじゃじゃ馬、俺の好みじゃない」

「はいはい、そうなのねぇー。そっかそっか、じゃあお互いに愛が実るように、頑張りましょうー」

 ミリアがマッサージを終えて、部屋を出て行こうとする。

「もう帰るのか?」

「このあと今日のナンバーワンが決まるのよ」

「そうか。頑張れよー」

 ミリアはミメイに手を振って、部屋を出て行った。

「もうひと眠りするかー」

 今日の占い師マザーの護衛は、緊張状態が続きっぱなしで大変だったのだ。

 ミリアがナンバーワンになれる事を軽く願い、ミメイは夢の中へと落ちていった。



 完

18/22ページ
スキ