犯罪都市グレグル

 ゾンビ島。

 ここは違法な科学実験を繰り返した末に感染症を起こし、生きた屍が大量に発生した島。

 今では見捨てられた島であるが、当時の貴重資料があるため、それを持ち帰る仕事を請け負った三人。

 何でも屋、殺し屋、案内屋はやっと、研究所の中へとたどり着く事が出来た。

「この辺りの資料でいいのか?」

「ええ。そうだと思います」

 何でも屋のリツは資料をパラパラとめくり、大量にある資料を案内屋のメイジと回収する。

「あははっ、あはっ!」

 二人が話している間にも、ゾンビが襲って来るので、殺し屋のキキョウがナイフでミンチにしていく。

「よし、帰るぞ」

 リツが一度だけ使える魔法陣の書かれた布を広げ、三人で帰ろうとした時だった。

「いだーーっ!」

 案内屋のメイジが、ゾンビに噛まれてしまった。

「あの、私、私……」

 涙ぐむメイジは、あと数時間でゾンビの仲間入りとなるだろう。

「バイバイだね!」

 キキョウのナイフが、メイジを狙い切り裂いた。





「お疲れ様でした……おや? 案内屋さんは?」

 依頼主のレイが聞くと、リツとキキョウが顔を合わせる。

「もしかして、ゾンビのお仲間に?」

「あーはい」

「あっ、僕がトドメを刺したから、死んだけど」

 二人の答えを聞いてレイが「残念です」と言う。

 案内屋メイジ、享年十八歳。

 新人の仕事人は、命を落とす確率が五十パーセントである。そう、半分が命を落とすのだ。

「では、報酬はまた各自の口座に」

「わかった」

「了解!」

 そうして何事もなかったかのように、一同は解散した。

 このグレグルの町で力無き者もまた、闇へと散っていくのだった。



 完



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