犯罪都市グレグル

 全ての悪人を受け入れる町、グレグル。

 この町では今日も一人、また一人と人が殺されていく。

「またアイツの後始末か」

 掃除人アイビーは辺りのぐちゃぐちゃになった肉塊を見て、ため息をつく。

 アイツこと殺し屋のキキョウは、数ある掃除人の中から、必ず自分を指名してくる。

「ほとんどイヤガラセだな」

 ゴム手袋をしたビキニ姿のアイビーは、ゴミ袋に元は人であったモノを集めていく。

 集めた死体は、死体売りに使える部位を引き取ってもらい、残りは犬のエサだ。

 何回かに分けて持ち出したゴミ袋を、トラックの荷台に積んだ時、携帯が鳴る。

『仕事終わったかな? 次はB倉庫の死体、
よろしくー!』

 まるで終わるタイミングを狙ってしたかの
ようなメール。

 静かに怒りを醸し出しながら、アイビーが
メールの送信をした。

『次の仕事場は報酬三倍だ。それ以下は受け付けない』


 前の三件もキキョウの依頼でうんざりしていたのに、これで今日は五件目だ。

 いい加減、この血だまりの掃除はイヤになるものだ。

「バラバラに殺すしか能がないのか」

 それでもアイビーはキキョウから『報酬三倍、オーケイ!』の返事をもらい、次の仕事に出掛けるのだった。



 完

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