朽ちない日記~僕の眠り姫~
それから2日。ニュースでは、あの男の山奥の別荘が、謎の出火と伝えていた。ネタがないのか、昨日からずっと色んなチャンネルで放送されている。
……あの時、燦 を家に連れて帰る前に、研究員を皆殺しにして(燦の身体を弄んだからね)火を放った。
……あの研究所に燦がいた事実はバレていない……あの男は、研究員以外の誰にも見られないように、彼女を閉じ込めていたんだろう……。
だから警察が燦から僕に辿り着く事はない。
ああそうだ、警察に捜索願い、取り下げに行かなきゃな……。
今はずっと燦と家にいる。あれからも父は、電話をかけてきたり、玄関の扉を叩いたり。
昨日なんて、マンションの管理人にマスターキーを借りて、鍵を開けてきた。チェーンをしていなかったら、中に入られるところだった。
もし僕がいない時に、父が部屋に入ったら……父が彼女の特殊な状態に気付いたら……そう思うとゾッとする……!
父は彼女を病院に運んで、それこそ研究対象として、身体をいじくり回すだろう……燦の身体をメスで切り裂き血を採って……そんな事、絶対にさせない……っ。
大学を辞めて、父から離れよう……この町から引っ越そう……。
そして彼女と言えば、相変わらずで……。夏じゃないにしろ、普通ドライアイスや冷房を使わなくては、死体は腐っていく。
なのに彼女の身体は、ちっとも腐敗しなかった。
僕は彼女の死体を焼こうとは思わない。……さすがに腐乱死体になったら、焼かなくちゃいけないけど、でも願わくばどうか彼女とこのまずっと、いられたら……そう思う。
「燦、愛してるよ」
──
────
半年後の夏。
「燦、おはよう。今日も暑くなりそうだね」
僕は彼女の唇にキスをし、そのままセックスする。それが毎朝起きた時の日課。
行為が終わったら彼女に服を着せ、自分も服を着て、彼女をソファーに座らせる(すぐ傾くけどね)。
それから自分の朝ごはんを作る。この半年でやっと、チャーハンや野菜炒めが作れるようになった。
燦の手料理が恋しい……今更、遅いけど。
燦の隣りでごはんを食べたら、歯を磨き、顔を洗う。顔を洗うちょっとの時間でも、彼女から目を離すのが不安で、手早く済ます。
ノートパソコンを取り、燦を抱っこしながら仕事をする。
半年前、大学を辞めて父の勤める病院を手伝うのも辞めた。
父に見つからないように引っ越して、この一軒家を借りた。仕事はいつでも燦の傍にいられるように、在宅の仕事をしている。
医療関係の本を執筆し、データをパソコンで編集部に送信すればいいだけ。
あとは趣味で株をしてるぐらいで、あとの時間は全て、燦のためだけに使う。
2度と燦が淋しくならないよう、悲しまないように。
「燦、もう君を置いて、どこにも行かないからね……」
午後3時。もうこんな時間か……
「燦、買い物に行こうか」
パソコンを閉じ、彼女に出かける準備をさせる。濡れタオルで彼女の顔を拭き取り、口紅を引き、日焼けしないように帽子を被せた。それからレースの手袋をつけて、車椅子に乗せる。
僕も外着に着替え、出発。外に出たら、太陽が燦々と輝いていた。
ヒソヒソヒソヒソ……
ああ、また近所の主婦たちが、僕らを見て噂話している。世間がどう見ようと、僕らにとってどうでもいい事だけどね。
……あの時、
……あの研究所に燦がいた事実はバレていない……あの男は、研究員以外の誰にも見られないように、彼女を閉じ込めていたんだろう……。
だから警察が燦から僕に辿り着く事はない。
ああそうだ、警察に捜索願い、取り下げに行かなきゃな……。
今はずっと燦と家にいる。あれからも父は、電話をかけてきたり、玄関の扉を叩いたり。
昨日なんて、マンションの管理人にマスターキーを借りて、鍵を開けてきた。チェーンをしていなかったら、中に入られるところだった。
もし僕がいない時に、父が部屋に入ったら……父が彼女の特殊な状態に気付いたら……そう思うとゾッとする……!
父は彼女を病院に運んで、それこそ研究対象として、身体をいじくり回すだろう……燦の身体をメスで切り裂き血を採って……そんな事、絶対にさせない……っ。
大学を辞めて、父から離れよう……この町から引っ越そう……。
そして彼女と言えば、相変わらずで……。夏じゃないにしろ、普通ドライアイスや冷房を使わなくては、死体は腐っていく。
なのに彼女の身体は、ちっとも腐敗しなかった。
僕は彼女の死体を焼こうとは思わない。……さすがに腐乱死体になったら、焼かなくちゃいけないけど、でも願わくばどうか彼女とこのまずっと、いられたら……そう思う。
「燦、愛してるよ」
──
────
半年後の夏。
「燦、おはよう。今日も暑くなりそうだね」
僕は彼女の唇にキスをし、そのままセックスする。それが毎朝起きた時の日課。
行為が終わったら彼女に服を着せ、自分も服を着て、彼女をソファーに座らせる(すぐ傾くけどね)。
それから自分の朝ごはんを作る。この半年でやっと、チャーハンや野菜炒めが作れるようになった。
燦の手料理が恋しい……今更、遅いけど。
燦の隣りでごはんを食べたら、歯を磨き、顔を洗う。顔を洗うちょっとの時間でも、彼女から目を離すのが不安で、手早く済ます。
ノートパソコンを取り、燦を抱っこしながら仕事をする。
半年前、大学を辞めて父の勤める病院を手伝うのも辞めた。
父に見つからないように引っ越して、この一軒家を借りた。仕事はいつでも燦の傍にいられるように、在宅の仕事をしている。
医療関係の本を執筆し、データをパソコンで編集部に送信すればいいだけ。
あとは趣味で株をしてるぐらいで、あとの時間は全て、燦のためだけに使う。
2度と燦が淋しくならないよう、悲しまないように。
「燦、もう君を置いて、どこにも行かないからね……」
午後3時。もうこんな時間か……
「燦、買い物に行こうか」
パソコンを閉じ、彼女に出かける準備をさせる。濡れタオルで彼女の顔を拭き取り、口紅を引き、日焼けしないように帽子を被せた。それからレースの手袋をつけて、車椅子に乗せる。
僕も外着に着替え、出発。外に出たら、太陽が燦々と輝いていた。
ヒソヒソヒソヒソ……
ああ、また近所の主婦たちが、僕らを見て噂話している。世間がどう見ようと、僕らにとってどうでもいい事だけどね。