朽ちない日記~僕の眠り姫~

 ?月?日

 もうあおいくんと逢いたいと思わない……むしろ逢いたくない。こんな汚れてしまった私を、見て欲しくない。

 もしまだ探しているのなら、もう探さないで。私はもう、あなたの知ってる私じゃないの……。

 今の私を見て傷つくあなたを、見たくない。いっそ、嫌いになってくれたらいい、忘れてくれたらいい……。

 自動書記で書いたあの日記を見て、憎んでくれたらいい。もしかしたら今、日記の鍵を壊して見てるかもね。

 そうならどうかもう、私の事は放っておいて。

 葵くん、さようなら……。

──

────

 さん、ごめん……ごめんね。君がこんな風になる前に助け出せなくて。償えるものなら、償いたいよ……。

 僕があの男の所有する山奥の別荘を見つけたのは、君がいなくなった3ヶ月後で……中に侵入して研究員全て殴って気絶させ、奥の部屋の扉を開けば……君とあの男がいた。

──

────

 ?月?日

 珍しくあの人が夕方に帰って来て、研究員とセックス中だった私は、慌てて部屋に戻った。

 彼とアフターヌーンティーを飲む。どうやら気付いてないみたい。

 その時、大きな扉を開く音がしたから、そちらをみた。

 あ……うそ……。

「あおい……くん」

「燦っ!!」

 ああ、懐かしい……あなたの声。

 思わず、葵くんの元に行こうとしたら、腕を引っ張られ、あの人に後ろから抱きかかえられる。

 そうだ、私……汚れちゃったんだった。

「ハジメマシテ。キミが葵クン?」

「燦を離せっ」

「ハイ、ワカリマシタ。なんて、離すと思う?」

 そう言いクスクス笑うあの人。葵くんが近づこうとしたら、

「ストップ! コレが見えナイの?」

 いつの間にか、テーブルにあったナイフを、私の首に突きつけていた。

「つっ!」

 あの人がナイフを、私の首に突きつけたまま席を立ち、私を連れてゆっくりと後ろ向きのままベッドへ向かう…

 ベッドにつくと、

「葵クン、そこのイスに座って」

 さっき私たちが座っていた椅子を指す。

 あの人を睨みながら、葵くんは指示に従って座る。

「さあて、楽しいショーの始まり、始まりー。燦、今からボクとキミが愛し合ってるトコロ、カレに見てもらおうネ!」

 そう言い、ナイフで私のシャツを引き裂いた。

「やっ、いやあっ!」

 とっさに手で身体を隠そうとしたら、

「ダメダヨ。ちゃんとカレに見てもらわナイト」

 ネクタイで私の両手を縛る。スカートも脱がれて、私は裸にされた。

「燦っ燦っ。やめろ、燦に触るなっ」

 葵くん、葵くん。

「お願い、葵くんの前でするのは……許して」

「クククっ、ダーメっ。カレにわかってもらわなくっちゃネ」

 あの人はクスクス笑いながら、私の身体をもてあそぶ。

「葵くん、見ないで。お願い、だから……」

「燦、燦っ──!!」

 私たちは彼の声に、そちらを見る。

「燦、燦、燦っっ!!」

 お願い、私の名前を呼ばないで……

「僕のせいでっ……燦、燦っ、ああごめんよっ……燦っ!!」


 違うよ、謝らないで……悪いのは私。

「燦、ほらいつものように言ってごらん? 教えてあげたデショ?」

 あの人が小さく、私の耳元で言った。

「ネエ、燦。枕の下にね、ピストルがあるんダ。ちゃんと言わナイト、葵クン殺すヨ?」

 葵くん……。

 私はあの人の言うとおり、いやらしい言葉と嘘の愛を吐いた。

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