朽ちない日記~僕の眠り姫~
日記を読めば読むほど、あまり本音を言わない彼女の想いが伝わってきて、胸が疼いた。
もっと感情をぶつけてくれたらよかったのに……そんな事を思いながら、あの日の日記に辿り着いた。君とした最初で最後のケンカ……
──
────
11月22日 いい夫婦の日かぁ
今日も葵 くんは遅いのかな……。同棲して1年の記念日なんだけど、彼の事だし忘れているだろう。ま、いいけどさ。
仕事が忙しいのはわかるけど、淋しいよ。だってごはん作って待ってても帰って来なかったり、帰って来ても食べずに寝ちゃう事が多くて、会話も少ないし……。
残ったおかずを次の日に食べる、私の気持ちにもなってほしい。
11月28日は、絶対休み取ってもらわないと。プレゼントも用意したし、手紙も書いたし、準備万端!
……ん? あ、遥 くんだ!
「燦 チャン、コンバンハ!」
「こんばんはっ! なんだか、よく逢うね」
「そうだネ、運命カナ?」
遥くんが私に笑いかける。
「あははっ、冗談言って面白いなぁ遥くんは」
「本気なんだけどナァー」
遥くんはため息をつきながら、大げさに肩を落としてみせる。
「ダメだよー私の運命の人は、もういるから」
「知ってるヨ。葵クンだろう?」
遥くんに言われ、私は少し照れてしまう。
「うん」
「ラブラブそうだネ」
「うーん、そぉーだね」
最近はすれ違い生活でラブラブ……なのかな。
「違うの?」
遥くんが心配するので、私は首を振る。
「ううん、もぉーラブラブ!」
「そう? ならいいケド。また相談したいコトがあったら、言ってネ?」
優しい遥くんは、気遣ってくれた。
「うん、ありがと。あ、もう帰んなきゃ。またねっ」
「うん、また……ネ?」
9時からのドラマ、すっかり忘れてた!……けど本当、遥くんはいい人だなぁ。
初めて逢った時、公園でため息ついてたら、
「ため息ついたら、幸せ逃げちゃうヨ? ボクとお茶しない?」
なんて言ってきて、うわっナンパ男!
と思ったけど、話してみると案外、面白くて話しやすく、すぐ仲良くなった。
知り合ってまだ10日しか経ってないのに、プライベートの事や、葵くんとの事を相談したり(プレゼントのアドバイスももらった!)と、何でも話せる友達が出来て嬉しい!
……高校3年の時、この異世界に飛ばされてからずっと、人と馴染めなくて孤立してたからなぁ。
高校3年の2学期からってもう、グループ出来ちゃってるしね。
で、葵くんと付き合ってから、彼とずっと一緒にいたし、別に友達いらないかな。と思って。
これからも、遥くんと仲良く出来るといいなっ。
……あー、今日の日記、そーとー長くなってそう。自動書記で書いてるから、いくらでも書けちゃうんだよね。とにかく、今日はこれで終わり!(のつもり)
なんで? なんでなんでっ……遥くんと仲良くしちゃいけないの?
彼だけだったんだよ? 私の話、親身に聞いてくれたの、遥くんだけだった。
ねぇ、一人ぼっちの気持ち、あなたにわかる? この世界に私の本当の両親はいない、兄弟もいない、友達もいない……。
そう、この世界で私には葵くん、あなたしかいなかった。
でもあなたは仕事人間で、私との時間、作ってれなかった……!
朝目覚めても隣りにあなたはいなくて……ごはんは一人で食べて、やっと帰って来たと思えばベッドに直行で、ろくに私の顔を見ずに「おやすみ」って言う……。
私は今、ホテルにいる。葵くんとケンカ(初めてだな)して家を飛び出してきたから、9時からのドラマは見れなかった。
……あと1週間足らずで、彼の誕生日なのに。
──
────
気づけなくてごめんね……燦、燦……僕にチャンスをちょうだい。そしたら今度はたくさん口づけを交わそう……たくさんデートしてセックスもしよう……君の笑う顔が、もう一度見たい……。
もっと感情をぶつけてくれたらよかったのに……そんな事を思いながら、あの日の日記に辿り着いた。君とした最初で最後のケンカ……
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11月22日 いい夫婦の日かぁ
今日も
仕事が忙しいのはわかるけど、淋しいよ。だってごはん作って待ってても帰って来なかったり、帰って来ても食べずに寝ちゃう事が多くて、会話も少ないし……。
残ったおかずを次の日に食べる、私の気持ちにもなってほしい。
11月28日は、絶対休み取ってもらわないと。プレゼントも用意したし、手紙も書いたし、準備万端!
……ん? あ、
「
「こんばんはっ! なんだか、よく逢うね」
「そうだネ、運命カナ?」
遥くんが私に笑いかける。
「あははっ、冗談言って面白いなぁ遥くんは」
「本気なんだけどナァー」
遥くんはため息をつきながら、大げさに肩を落としてみせる。
「ダメだよー私の運命の人は、もういるから」
「知ってるヨ。葵クンだろう?」
遥くんに言われ、私は少し照れてしまう。
「うん」
「ラブラブそうだネ」
「うーん、そぉーだね」
最近はすれ違い生活でラブラブ……なのかな。
「違うの?」
遥くんが心配するので、私は首を振る。
「ううん、もぉーラブラブ!」
「そう? ならいいケド。また相談したいコトがあったら、言ってネ?」
優しい遥くんは、気遣ってくれた。
「うん、ありがと。あ、もう帰んなきゃ。またねっ」
「うん、また……ネ?」
9時からのドラマ、すっかり忘れてた!……けど本当、遥くんはいい人だなぁ。
初めて逢った時、公園でため息ついてたら、
「ため息ついたら、幸せ逃げちゃうヨ? ボクとお茶しない?」
なんて言ってきて、うわっナンパ男!
と思ったけど、話してみると案外、面白くて話しやすく、すぐ仲良くなった。
知り合ってまだ10日しか経ってないのに、プライベートの事や、葵くんとの事を相談したり(プレゼントのアドバイスももらった!)と、何でも話せる友達が出来て嬉しい!
……高校3年の時、この異世界に飛ばされてからずっと、人と馴染めなくて孤立してたからなぁ。
高校3年の2学期からってもう、グループ出来ちゃってるしね。
で、葵くんと付き合ってから、彼とずっと一緒にいたし、別に友達いらないかな。と思って。
これからも、遥くんと仲良く出来るといいなっ。
……あー、今日の日記、そーとー長くなってそう。自動書記で書いてるから、いくらでも書けちゃうんだよね。とにかく、今日はこれで終わり!(のつもり)
なんで? なんでなんでっ……遥くんと仲良くしちゃいけないの?
彼だけだったんだよ? 私の話、親身に聞いてくれたの、遥くんだけだった。
ねぇ、一人ぼっちの気持ち、あなたにわかる? この世界に私の本当の両親はいない、兄弟もいない、友達もいない……。
そう、この世界で私には葵くん、あなたしかいなかった。
でもあなたは仕事人間で、私との時間、作ってれなかった……!
朝目覚めても隣りにあなたはいなくて……ごはんは一人で食べて、やっと帰って来たと思えばベッドに直行で、ろくに私の顔を見ずに「おやすみ」って言う……。
私は今、ホテルにいる。葵くんとケンカ(初めてだな)して家を飛び出してきたから、9時からのドラマは見れなかった。
……あと1週間足らずで、彼の誕生日なのに。
──
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気づけなくてごめんね……燦、燦……僕にチャンスをちょうだい。そしたら今度はたくさん口づけを交わそう……たくさんデートしてセックスもしよう……君の笑う顔が、もう一度見たい……。