壱ノ巻
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遠くの方で、楽しそうな子供の声と、穏やかな男女の笑い声がする。
私が瞳を開くと、遠くの方にぼんやりと明かりが見える。
私はひたすら暗い道を歩いて、声のする方へ、明るい方へ歩いて行く。
この先に、私が求めていた【答え】があるような気がして――――
「……あの、大丈夫……?」
『…………え。』
「急に飛び起きたかと思えば…………大胆な子だなぁ。」
すごく近くに、すごいイケメンマスクがいる。私よりやや低めの体温が、服越しに私に伝わって、朦朧とした意識が――――
『 ここは誰!?!?/font>』
「うんちょっと落ち着こうかぁ。」
『あっ、す、すみません、ど、退きます。』
失態だ。撮影現場でもした事の無い大失態。私は寝惚けて、私の傍で座って本を読んでいたイケメンマスクに何故か掴みかかるような、縋るような形で引っ付いていた。
意識が覚醒していなかったとはいえ、どうしてあんな事をしてしまったのだろうか。
「ん。気がついて良かったよ。体調はどう?」
『………えぇと…………し、心拍数が大変なことになってます……?』
「…………初だねぇ。抱き着くのは初めて?」
『本当にすいません勘弁してください。』
絶対私をからかってその反応を楽しんでいるであろうイケメンマスクもといドSマスクさんが、くっくっと喉を鳴らして肩を揺らす。ちょっと顔がいいのでその笑顔やめてもらっていいでしょうか。
とにかく私は上がった心拍数を抑えるように深呼吸を繰り返し、ちら、と辺りを見渡す。
間違いなく病院の個室で、窓の外には、意識を失う前に居たセット――いや、【木ノ葉隠れの里】が見える。
優しそうなおじいちゃんの部屋に置いてあった本に、そう書かれていた。
この世界には【忍者】……【忍】というおおよそ人智の限界を越えた【忍術】というものを扱って闘う人達がいる世界だということ。
その人達が――一体どういう役割をしているのかを。
『あの、貴方は……?』
「俺?俺ははたけカカシってゆーの。君は?」
『玲音…………多田玲音と言います。』
「単刀直入に聞くよ。俺の目をちゃんと見て答えてね。」
『はい。』
「君は【敵】?」
『…………分かりません。敵か、味方か、判断できない立場……だと思います。』
「……そう。何か特殊な事情があるみたいだ。」
話せるかな。と、優しく聞いてくれるはたけカカシさん。この人なら、信じてくれるのかな。
おずおずと私は、自分が日本という国から来たこと、私の世界には忍者なんて空想上の人物でしかないこと、多分私はこことは違う世界から来た人間だということを話す。
はたけカカシさんは私の荒唐無稽な話を真剣に聞いてくれる。じ、と私の目を見て、何だか私の【中身】まで見られているような、そんなちょっと気恥しさを感じる程に。
「……うん。大体分かったよ。」
『え……って、事は、信じてくれるんですか?』
「実は全く前例がないという訳でも無いんだな、コレが。」
『ッ、わた、私以外に居たんですか!?』
「遠い昔の、古いおとぎ話だけどね。聞きたい?」
私は肯定の意を示すため、首を縦に振りまくる。頭がグラグラするくらい振ったのでカカシさんが止めてくれたけど。
「その昔、この世界は戦争に明け暮れてた。自分の里を守るため、大事な人を守る為。忍達が戦って、戦って…………そんな世界は、皆間違ってると思いながら。」
「けど、ある日、一瞬だけど争いが止まったんだ。ある1人の少女の【英雄譚】だよ。」
「その少女は、蜃気楼みたいな存在だったんだって。色んな人の目の前に現れては、皆が呆れるほどこの世界の平和を謳っていて、皆が笑える程明るい子だった。色んな人がその少女を好きになった。でも」
『…………でも?』
「少女の声は、戦乱の世を止めるにはあまりにも無力だった。だから少女は力を振り絞って、この世界に特別な【幻術】をかけたんだ。」
「少女はその術を使用して死んでしまって、後に残ったのは、少女がこの世界の全ての人間にかけた、【幸せな世界】の欠片だった。」
その時だけ、この世界に争いが無くなったんだよ。とカカシさんはそう言って目を細めて、優しく笑う。
『え、でも、それっておとぎ話……なんですよね?』
「そうだね」
『……私、そんなに……凄いのじゃなくて、普通の……』
「君には不思議なチャクラが流れてるよ。俺も、あんまりおとぎ話は信じないけど……」
もしかしたら、君もそういう存在になるかもね。と、カカシさんは笑いながらそう言う。
そんな馬鹿な、と私は思うけど。
けれど
『……私、変な事に巻き込まれただなんて思いたくないな。』
「ん?」
『その、おとぎ話の女の子みたいな存在じゃなくても…………何か意味があって私がここに来たって事に、したいなぁって……思って。』
烏滸がましいだろうか、笑われるだろうか。ああ、私はどうも、他人の評価を気にしがちだ、と嫌気がさす。
でも
「君が来たのは、無意味ではないと思うよ。ほら、俺今楽しいし。」
『…………そ、そうですか?』
「ホントホント。」
『……ッ!!カカシさん!私、私、味方になりたいな!!これからよろしくお願いしますってことじゃ駄目かな!?』
「ンー…………ま、俺がなんとかしちゃう。」
『しちゃう!?』
「任せといて。」
『頼もしい!!』
よろしくお願いします!と差し出した手に、カカシさんはまんまるく目を見開いたあと、頭をポリポリかきながらゆっくりと私と握手をする。
悲観してちゃダメだ。これは経験だ。こんな経験すること無いよ!宝くじ当たるより希少だよ!
私はすっかり元の前向きさを取り戻し、私という【存在】も、戻ってきた気がした。
遠くの方で、楽しそうな子供の声と、穏やかな男女の笑い声がする。
私が瞳を開くと、遠くの方にぼんやりと明かりが見える。
私はひたすら暗い道を歩いて、声のする方へ、明るい方へ歩いて行く。
この先に、私が求めていた【答え】があるような気がして――――
「……あの、大丈夫……?」
『…………え。』
「急に飛び起きたかと思えば…………大胆な子だなぁ。」
すごく近くに、すごいイケメンマスクがいる。私よりやや低めの体温が、服越しに私に伝わって、朦朧とした意識が――――
『 ここは誰!?!?/font>』
「うんちょっと落ち着こうかぁ。」
『あっ、す、すみません、ど、退きます。』
失態だ。撮影現場でもした事の無い大失態。私は寝惚けて、私の傍で座って本を読んでいたイケメンマスクに何故か掴みかかるような、縋るような形で引っ付いていた。
意識が覚醒していなかったとはいえ、どうしてあんな事をしてしまったのだろうか。
「ん。気がついて良かったよ。体調はどう?」
『………えぇと…………し、心拍数が大変なことになってます……?』
「…………初だねぇ。抱き着くのは初めて?」
『本当にすいません勘弁してください。』
絶対私をからかってその反応を楽しんでいるであろうイケメンマスクもといドSマスクさんが、くっくっと喉を鳴らして肩を揺らす。ちょっと顔がいいのでその笑顔やめてもらっていいでしょうか。
とにかく私は上がった心拍数を抑えるように深呼吸を繰り返し、ちら、と辺りを見渡す。
間違いなく病院の個室で、窓の外には、意識を失う前に居たセット――いや、【木ノ葉隠れの里】が見える。
優しそうなおじいちゃんの部屋に置いてあった本に、そう書かれていた。
この世界には【忍者】……【忍】というおおよそ人智の限界を越えた【忍術】というものを扱って闘う人達がいる世界だということ。
その人達が――一体どういう役割をしているのかを。
『あの、貴方は……?』
「俺?俺ははたけカカシってゆーの。君は?」
『玲音…………多田玲音と言います。』
「単刀直入に聞くよ。俺の目をちゃんと見て答えてね。」
『はい。』
「君は【敵】?」
『…………分かりません。敵か、味方か、判断できない立場……だと思います。』
「……そう。何か特殊な事情があるみたいだ。」
話せるかな。と、優しく聞いてくれるはたけカカシさん。この人なら、信じてくれるのかな。
おずおずと私は、自分が日本という国から来たこと、私の世界には忍者なんて空想上の人物でしかないこと、多分私はこことは違う世界から来た人間だということを話す。
はたけカカシさんは私の荒唐無稽な話を真剣に聞いてくれる。じ、と私の目を見て、何だか私の【中身】まで見られているような、そんなちょっと気恥しさを感じる程に。
「……うん。大体分かったよ。」
『え……って、事は、信じてくれるんですか?』
「実は全く前例がないという訳でも無いんだな、コレが。」
『ッ、わた、私以外に居たんですか!?』
「遠い昔の、古いおとぎ話だけどね。聞きたい?」
私は肯定の意を示すため、首を縦に振りまくる。頭がグラグラするくらい振ったのでカカシさんが止めてくれたけど。
「その昔、この世界は戦争に明け暮れてた。自分の里を守るため、大事な人を守る為。忍達が戦って、戦って…………そんな世界は、皆間違ってると思いながら。」
「けど、ある日、一瞬だけど争いが止まったんだ。ある1人の少女の【英雄譚】だよ。」
「その少女は、蜃気楼みたいな存在だったんだって。色んな人の目の前に現れては、皆が呆れるほどこの世界の平和を謳っていて、皆が笑える程明るい子だった。色んな人がその少女を好きになった。でも」
『…………でも?』
「少女の声は、戦乱の世を止めるにはあまりにも無力だった。だから少女は力を振り絞って、この世界に特別な【幻術】をかけたんだ。」
「少女はその術を使用して死んでしまって、後に残ったのは、少女がこの世界の全ての人間にかけた、【幸せな世界】の欠片だった。」
その時だけ、この世界に争いが無くなったんだよ。とカカシさんはそう言って目を細めて、優しく笑う。
『え、でも、それっておとぎ話……なんですよね?』
「そうだね」
『……私、そんなに……凄いのじゃなくて、普通の……』
「君には不思議なチャクラが流れてるよ。俺も、あんまりおとぎ話は信じないけど……」
もしかしたら、君もそういう存在になるかもね。と、カカシさんは笑いながらそう言う。
そんな馬鹿な、と私は思うけど。
けれど
『……私、変な事に巻き込まれただなんて思いたくないな。』
「ん?」
『その、おとぎ話の女の子みたいな存在じゃなくても…………何か意味があって私がここに来たって事に、したいなぁって……思って。』
烏滸がましいだろうか、笑われるだろうか。ああ、私はどうも、他人の評価を気にしがちだ、と嫌気がさす。
でも
「君が来たのは、無意味ではないと思うよ。ほら、俺今楽しいし。」
『…………そ、そうですか?』
「ホントホント。」
『……ッ!!カカシさん!私、私、味方になりたいな!!これからよろしくお願いしますってことじゃ駄目かな!?』
「ンー…………ま、俺がなんとかしちゃう。」
『しちゃう!?』
「任せといて。」
『頼もしい!!』
よろしくお願いします!と差し出した手に、カカシさんはまんまるく目を見開いたあと、頭をポリポリかきながらゆっくりと私と握手をする。
悲観してちゃダメだ。これは経験だ。こんな経験すること無いよ!宝くじ当たるより希少だよ!
私はすっかり元の前向きさを取り戻し、私という【存在】も、戻ってきた気がした。
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