壱ノ巻
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顔が怖いお兄さん達に連れられ、私は大きな建物へと入っていく。地面に足を付かせてもらった時ちょっと涙が出たのは内緒だ。
それにしても、益々このセットはよく出来ているなぁ、なんて観察する。まるで本当の建築物のようなクオリティだ。
もしかして、何処ぞのテーマパークを改良して使ったりしてるのだろうか。いやしかしこんなよく出来たテーマパークなら私は絶対に見つけているし行っている。
私が悶々と色んな想像をしている内に、気が付いたら顔の怖いお兄さんと私だけ廊下を歩いていた。気配もなく居なくなるなんて、まるで忍者みたいだ。
『ところで顔の怖いお兄さん。』
「何だ。」
『これも何かの縁ですし、お名前教えて貰えませんか?顔の怖いお兄さんなんて呼び続けるのはちょっと……』
「…………イビキだ。森乃イビキ。」
『じゃあイビキの兄さん。此処は何処ですか?』
「…………火影邸だ。」
『ほかげ。』
ほかげが一体何なのか分からないが、これだけ大きな御屋敷?だ。きっとめちゃくちゃ偉い人が住んでたりしてる設定なのだろう。
イビキの兄さんは私からの質問に答えてスタスタと足早に歩いて行ってしまうので、私は必死に駆け足で追い掛ける。屋根走ってる時も思ったけど、イビキの兄さんはどデカくておまけに足が速い。こちらの息が上がるのも仕方ないというものだ。
「着いたぞ。いいか、俺が許可するまで喋るな。」
『ハイ。』
「三代目、失礼します。」
コンコン、というノックの音に「入れ」という低い声が返ってくる。声質的には老人と思われる。やっぱりめちゃくちゃ偉い人設定の人が居るぞこれは。
私は非日常的な物語を追体験するような気持ちで、イビキの兄さんが開いた扉の先を見る。
そこには大きな筆で達筆になんか難しい字を書いている、優しそうなおじいちゃんがいた。
「イビキか…………随分と可愛い娘っ子を連れて来たな。」
『えー!それ程でもー!』
「馬鹿!喋るなと言っただろう!」
『そりゃ無理ですよーイビキの兄さん。私というモデル兼女優は、自分に浴びせられる名声には笑顔で返すのがモットーなのです!』
「ホッホッ、いや実に明快で愛らしいお嬢さんだ。」
『てへへー。』
「三代目……!!」
三代目かほかげ様かどっちの名前で呼べばいいのか分からないけど、目の前の気さくなおじいちゃんは怖い人じゃなさそうだ。
イビキの兄さんはため息をついてキャッキャッとはしゃぐ私とほかげ様に咳払いを1つしてその場を収めさせる。ごめんね怒らないで。
「この少女が先程、大通りに突如現れたチャクラ反応の正体です。」
「ふむ…………確かに大きなチャクラ……そして特異な物を秘めておるのう。」
「口寄せの術かとも思いましたが、まず無いでしょう。術が発動したという報告はありません。従って時空間忍術での移動も考えられない。」
「それではイビキ……お主はこの少女が忍術を使用せず【唐突に現れた】とでも申すのか。荒唐無稽にも程があろうて。」
「しかし三代目……!それしか考えられません!」
何でだろう。きちんと話を聞いているというのに、二人の会話が全くと言って良いほど理解出来ない。
私は退屈を持て余すのが嫌だったので、ほかげ様の部屋(だと思われる。)の本棚に手を伸ばす。
読んだことの無い字がぐちゃぐちゃに書かれている…………というのに、何故か理解が出来る。勿論文は読めない。ただ、書いてあるものが頭の中に直接叩き込まれていく。
【分身の術】【変化の術】――【忍の心得】、【忍とは何か】、【忍び耐える者】、【忍】、【忍】、【忍】――――
一気に入ってくる情報と、バチン!という大きな破裂音。台本数十本を一気に覚えたかのような、現実というものを胸に突き刺されたかのような、とにかく頭が焼けるように熱い。
「オイ!どうした!」
「これは……チャクラが暴れておる……!いかん……!」
『いや…………いやだ…………此処は、ココは…………【私の世界】じゃない……!』
薄々気付いてた。でも、目を瞑るのは得意だったんだもの。本当の自分に嘘を着くのは、得意だったんだもの。私も皆のように、カメラのレンズ越しに物事を見れたんだもの。
目の前で弾けるフラッシュと、イビキの兄さんとほかげ様の焦った声。
バタバタと騒がしい足音と。
冷たい床の感触と。
「――――あら。これ、なんの騒ぎですかね。」
ヤケに耳に残った、誰かの声。
顔が怖いお兄さん達に連れられ、私は大きな建物へと入っていく。地面に足を付かせてもらった時ちょっと涙が出たのは内緒だ。
それにしても、益々このセットはよく出来ているなぁ、なんて観察する。まるで本当の建築物のようなクオリティだ。
もしかして、何処ぞのテーマパークを改良して使ったりしてるのだろうか。いやしかしこんなよく出来たテーマパークなら私は絶対に見つけているし行っている。
私が悶々と色んな想像をしている内に、気が付いたら顔の怖いお兄さんと私だけ廊下を歩いていた。気配もなく居なくなるなんて、まるで忍者みたいだ。
『ところで顔の怖いお兄さん。』
「何だ。」
『これも何かの縁ですし、お名前教えて貰えませんか?顔の怖いお兄さんなんて呼び続けるのはちょっと……』
「…………イビキだ。森乃イビキ。」
『じゃあイビキの兄さん。此処は何処ですか?』
「…………火影邸だ。」
『ほかげ。』
ほかげが一体何なのか分からないが、これだけ大きな御屋敷?だ。きっとめちゃくちゃ偉い人が住んでたりしてる設定なのだろう。
イビキの兄さんは私からの質問に答えてスタスタと足早に歩いて行ってしまうので、私は必死に駆け足で追い掛ける。屋根走ってる時も思ったけど、イビキの兄さんはどデカくておまけに足が速い。こちらの息が上がるのも仕方ないというものだ。
「着いたぞ。いいか、俺が許可するまで喋るな。」
『ハイ。』
「三代目、失礼します。」
コンコン、というノックの音に「入れ」という低い声が返ってくる。声質的には老人と思われる。やっぱりめちゃくちゃ偉い人設定の人が居るぞこれは。
私は非日常的な物語を追体験するような気持ちで、イビキの兄さんが開いた扉の先を見る。
そこには大きな筆で達筆になんか難しい字を書いている、優しそうなおじいちゃんがいた。
「イビキか…………随分と可愛い娘っ子を連れて来たな。」
『えー!それ程でもー!』
「馬鹿!喋るなと言っただろう!」
『そりゃ無理ですよーイビキの兄さん。私というモデル兼女優は、自分に浴びせられる名声には笑顔で返すのがモットーなのです!』
「ホッホッ、いや実に明快で愛らしいお嬢さんだ。」
『てへへー。』
「三代目……!!」
三代目かほかげ様かどっちの名前で呼べばいいのか分からないけど、目の前の気さくなおじいちゃんは怖い人じゃなさそうだ。
イビキの兄さんはため息をついてキャッキャッとはしゃぐ私とほかげ様に咳払いを1つしてその場を収めさせる。ごめんね怒らないで。
「この少女が先程、大通りに突如現れたチャクラ反応の正体です。」
「ふむ…………確かに大きなチャクラ……そして特異な物を秘めておるのう。」
「口寄せの術かとも思いましたが、まず無いでしょう。術が発動したという報告はありません。従って時空間忍術での移動も考えられない。」
「それではイビキ……お主はこの少女が忍術を使用せず【唐突に現れた】とでも申すのか。荒唐無稽にも程があろうて。」
「しかし三代目……!それしか考えられません!」
何でだろう。きちんと話を聞いているというのに、二人の会話が全くと言って良いほど理解出来ない。
私は退屈を持て余すのが嫌だったので、ほかげ様の部屋(だと思われる。)の本棚に手を伸ばす。
読んだことの無い字がぐちゃぐちゃに書かれている…………というのに、何故か理解が出来る。勿論文は読めない。ただ、書いてあるものが頭の中に直接叩き込まれていく。
【分身の術】【変化の術】――【忍の心得】、【忍とは何か】、【忍び耐える者】、【忍】、【忍】、【忍】――――
一気に入ってくる情報と、バチン!という大きな破裂音。台本数十本を一気に覚えたかのような、現実というものを胸に突き刺されたかのような、とにかく頭が焼けるように熱い。
「オイ!どうした!」
「これは……チャクラが暴れておる……!いかん……!」
『いや…………いやだ…………此処は、ココは…………【私の世界】じゃない……!』
薄々気付いてた。でも、目を瞑るのは得意だったんだもの。本当の自分に嘘を着くのは、得意だったんだもの。私も皆のように、カメラのレンズ越しに物事を見れたんだもの。
目の前で弾けるフラッシュと、イビキの兄さんとほかげ様の焦った声。
バタバタと騒がしい足音と。
冷たい床の感触と。
「――――あら。これ、なんの騒ぎですかね。」
ヤケに耳に残った、誰かの声。