プロローグ
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――――――
聞き慣れたシャッター音
太陽のように眩しいストロボ
親の顔より見てきたカメラレンズを、私は挑発的に睨み付ける。
その瞬間だけは世界中の誰よりも、【私】という存在を主張するように。
思うに、【存在】というのは不確定要素なのだと思う。私は常に人の目を受けやすい立場ではあるのに、皆【私】を見ちゃいないのだ。
ならば何を見られているのか。簡単な話、私が物心着く前から私は【両親の娘】で、【天才子役】で、皆カメラ越しにしか私を見てはくれないのだ。
そりゃ天才だ美人だなんて囃し立てられたらチョロい私は浮き足立ってしまうのだけど、結局レンズ越しの私への歓声でしかない訳で、そのまま私という存在はどこかへ飛んでしまいそうなのだ。ふわふわ。ふわふわと。
「――――ハイ!OKです!撮影終了ー!」
『ありがとうございましたー!』
「いやー、流石は玲音ちゃん!今日もミス1つも無くスムーズだったよ!」
『いやいや〜。皆さん真剣に撮って下さるんですもん。私も本気でちゃうってもんですよ!』
ワッ、と明るくなる現場に、私は1つ笑顔を落とし、お疲れ様でした。という言葉と共に一礼。踵を返して次の現場へ。
次は、確か滝のある森でのCM撮影だったな。なんて思いながら、用意されたお弁当を食べる。味気無い。忙しない。
芸能界が楽しくない訳ではない。決して。むしろ恵まれているとすら思う。本当に。
でも。
でも。
『私は…………』
「どうしたの?玲音ちゃん。」
『え、あ。滝だ?あ、着いてたんですね、ごめんなさい。ぼーっとしてました。』
私がそう言うと、最近お仕事キチキチだったもんねー、と笑顔を浮かべるマネージャーさん。母や父の顔より、多分見ている。
私は、欲張りな人間なのだ。望んだもの全てが欲しい欲深い人間なんだ。
母や父と居たい。芸能のお仕事もしたい。皆に好かれようとは思わないけど、【誰か】に好かれたいとは思う。
ふぅ、と溜め込んだ息を吐いて、代わりにマイナスイオンを沢山吸い込んでおく。
此処の綺麗な空気で満たされたら、難しい事を考えなくともいい気がするのだ。
今日の撮影現場は初めての場所だ。滝といっても、小さなもので。けれど水は澄み切っていて、時折見える魚影に何とも心揺さぶられる。
試しに滝に手を伸ばしてみる。とても冷たくて、気持ちいい。少し火照った身体から熱を吸い取ってくれるようだ。
あんまりにも心地いいものだから、私は全身ずぶ濡れになるつもりで浴びてしまおうと、滝へと頭を傾け――――
『…………あれっ。滝って水とか急に止まったりする?』
水が来ない。あの冷たくて気持ちのいい水が。蛇口と同じように、滝も水を流したり止めたりできる設備的なものがあったりするのだろうか。
残念だなぁ、と思い私は滝に向けていた頭を上げて……
上げて…………
『…………アレッ?』
「何者だ、貴様。」
「急に現れたぞ!」
「民間人を避難させろ!結界に感知されない程の【猛者】だ!」
『アレ、ちょっと……待って………………凝ったセットだなぁ…………?』
「取り押さえろ!!!」
『んな訳無いですよねぇ!?すみませーーーーん!!』
頭を上げたら、何か変な大人に取り囲まれてました。
今日、学んだ事は1つ。
『自然の気まぐれ半端なさ過ぎだって!!』
――――
聞き慣れたシャッター音
太陽のように眩しいストロボ
親の顔より見てきたカメラレンズを、私は挑発的に睨み付ける。
その瞬間だけは世界中の誰よりも、【私】という存在を主張するように。
思うに、【存在】というのは不確定要素なのだと思う。私は常に人の目を受けやすい立場ではあるのに、皆【私】を見ちゃいないのだ。
ならば何を見られているのか。簡単な話、私が物心着く前から私は【両親の娘】で、【天才子役】で、皆カメラ越しにしか私を見てはくれないのだ。
そりゃ天才だ美人だなんて囃し立てられたらチョロい私は浮き足立ってしまうのだけど、結局レンズ越しの私への歓声でしかない訳で、そのまま私という存在はどこかへ飛んでしまいそうなのだ。ふわふわ。ふわふわと。
「――――ハイ!OKです!撮影終了ー!」
『ありがとうございましたー!』
「いやー、流石は玲音ちゃん!今日もミス1つも無くスムーズだったよ!」
『いやいや〜。皆さん真剣に撮って下さるんですもん。私も本気でちゃうってもんですよ!』
ワッ、と明るくなる現場に、私は1つ笑顔を落とし、お疲れ様でした。という言葉と共に一礼。踵を返して次の現場へ。
次は、確か滝のある森でのCM撮影だったな。なんて思いながら、用意されたお弁当を食べる。味気無い。忙しない。
芸能界が楽しくない訳ではない。決して。むしろ恵まれているとすら思う。本当に。
でも。
でも。
『私は…………』
「どうしたの?玲音ちゃん。」
『え、あ。滝だ?あ、着いてたんですね、ごめんなさい。ぼーっとしてました。』
私がそう言うと、最近お仕事キチキチだったもんねー、と笑顔を浮かべるマネージャーさん。母や父の顔より、多分見ている。
私は、欲張りな人間なのだ。望んだもの全てが欲しい欲深い人間なんだ。
母や父と居たい。芸能のお仕事もしたい。皆に好かれようとは思わないけど、【誰か】に好かれたいとは思う。
ふぅ、と溜め込んだ息を吐いて、代わりにマイナスイオンを沢山吸い込んでおく。
此処の綺麗な空気で満たされたら、難しい事を考えなくともいい気がするのだ。
今日の撮影現場は初めての場所だ。滝といっても、小さなもので。けれど水は澄み切っていて、時折見える魚影に何とも心揺さぶられる。
試しに滝に手を伸ばしてみる。とても冷たくて、気持ちいい。少し火照った身体から熱を吸い取ってくれるようだ。
あんまりにも心地いいものだから、私は全身ずぶ濡れになるつもりで浴びてしまおうと、滝へと頭を傾け――――
『…………あれっ。滝って水とか急に止まったりする?』
水が来ない。あの冷たくて気持ちのいい水が。蛇口と同じように、滝も水を流したり止めたりできる設備的なものがあったりするのだろうか。
残念だなぁ、と思い私は滝に向けていた頭を上げて……
上げて…………
『…………アレッ?』
「何者だ、貴様。」
「急に現れたぞ!」
「民間人を避難させろ!結界に感知されない程の【猛者】だ!」
『アレ、ちょっと……待って………………凝ったセットだなぁ…………?』
「取り押さえろ!!!」
『んな訳無いですよねぇ!?すみませーーーーん!!』
頭を上げたら、何か変な大人に取り囲まれてました。
今日、学んだ事は1つ。
『自然の気まぐれ半端なさ過ぎだって!!』
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