一日目!
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――
赤犬視点
ぼこり、と自身の腕が泡立つ音に、意識を覚醒させる
「チィ……!またかい……!!」
いつもなら苛立っていたとしても能力を暴走させるなんて事は一度もなかったはずだというのに……
どれもこれも、あの小娘のせいじゃァ……
ワシに生意気な口を叩いたあの小娘――言うちょることはガキにしちゃァ殊勝な心構えだったが、大人への物の言い方がなっとらん
「……チィ。イラつくのう……」
気分転換に、と与えられた専用の執務室から出て、海軍本部を適当に歩くことにする
すると、部屋を出たすぐ目の前で、同僚二人とばったり鉢合わせになる。
「おォ~~ゥ……サカズキィ~~……お前も騒がしくて出てきたのかァい?」
「あァ……?………確かに、騒がしいのう……何の騒ぎじゃァ」
「いやー、俺も昼寝……じゃなかった。仕事できねぇから出てきたのよ」
「クザン……おどれ後で覚えちょれよ……!!」
クザンをシメるんは後でもできるが、何やら食堂の方が騒がしくて敵わん。
ワシら三人で何事か、と騒ぎの原点である食堂を覗くと――
『はい!できあがりました~~!【海獣のとろとろミートパイ】です!えへへ。焼き立てですよー!』
「うひゃ~~!美味そう!!」
「よっ!待ってました!ラナンキュラスちゃん最高!!」
「うぉおおおおお美味いィッ!!いくらでも食べられるーーーッ!!」
『えへへ!!まだまだたーくさんッ!ありますから!全部食べて……お仕事頑張ってくださいね♡』
「「「「「「「は~~~~~~い♡」」」」」」」」
「「「……」」」
食堂を見なければよかった、とすっかりあの少女に目をハートにしている海兵達を見て頭に手を置く。これでは海軍の面目丸つぶれもいいところ。
しかし、食堂から香る料理の香りは確かに――
ぐぅううううう~~~……
『ん?』
「ッ!!!」
しまった、と思う時にはもう遅く、ワシの腹の虫はその騒ぎを掻き消す程大きな音で鳴った
『………さっきの。おっきい人』
「うっ……」
つかつかとあの小さく、細いガキが寄ってくる
思わず後ずさりをしようとするが、何故かその迫力に足が一歩も動かん
『……お腹、凄い音でした。』
「わ、ワシじゃない」
「いやァ~~、サカズキ~~……その言い訳はねェだろゥ~」
「じゃかァしぃ!!」
『………さっきの、謝ってもらってないですけど……』
「…………」
何故か、このガキにじ、と見つめられると――
怒りのままに叱ってやりたいが、知らない自分がつまみあげられるような、そんな感覚に陥って、上手く口が開かんくなる。
『私は料理人です。えへへ、お腹空いてるならどうぞ!私と、食堂の海兵さんで一緒に作ったご飯……食べてください!』
そう言って、小さな手にぎゅ、と手を握られ、狼狽える
思わず感じた体温に酷く焦る
同僚二人に目線をやるが、どこか微笑ましそうな表情でガキに引っ張られたワシを見るだけで、助けようともせん。クザンに至っては「面白ェもん見た」と上機嫌な始末。後で殴る。
『さ、席について。手を合わせてください!』
「あァ?何で手ェなんか……」
『食べる前には、まず食材の命に感謝して、それから、その食材を作ってくれた人、取ってきてくれた人、運んでくれた人……全てに感謝して、【いただきます】って言うんです!』
「何でワシがそがぁなこと……」
『いいから!!しなさいッ!!』
「ぐ、う、ッ………い、【いただきます】」
『はい!よくできました!召し上がれ♡』
そう言ってワシの目の前には見たことのないような料理が並び、同僚二人もワシに続いて手を合わせ、いただきますと口にする
何故、こんなガキの言う事聞いとるんじゃァわしゃぁ……。行きどころのない怒りをどうすればいいかも分からず、ワシは目の前の見たことの無い料理に目をやる。
「えーと、ラナンキュラスちゃん、コレはなんていう食べ物なの?」
『はい!これは私の故郷……南の海で取れる【サウスキャンサー】っていう蟹をクリームで和えた……【サウスキャンサーのクリームパスタ】です!蟹特有の香りを引き立たせるように無駄に香草を使わず仕上げてます!』
「ん~~、じゃァこっちはァ?」
『これは【ニコ鳥】っていう、珍しい鳥の肉をレモンに漬けて揚げた【ニコ鳥のレモン揚げ】です!タンパク質豊富!普通の鳥さんより柔らかくジューシーで食べやすいんですよ!』
ガキから聞き馴れん言葉ばかり聞こえ、見たことの無い料理に目を向けるが――不思議と、全くマズそうには見えん
『まぁ、なにはともあれ、ご賞味下さい!えへへ、腕によりをかけました~~』
とぼけた笑顔で胸を張り、本当に自信満々といった雰囲気で
目の前のガキの言葉に無意識に従い、なんちゃらパスタとかいうのを口にいれる
「ッ………何じゃいコレは……」
「ヒぃッ!?」
『……』
「………美味い」
食える程度の味ならば、食になんのこだわりが無かったワシが、初めて心の底から、美味いと思った。
このパスタに絡むソースが滑らかで、蟹自体の味がようきいちょって、太めのパスタによう合う
「うわ、何コレ美味しい」
「おォ~~~、本当だねェ~~~」
「……」
自然と笑顔になる二人の同僚を見て、自分の頬も、いや、体全体か、余計な力が抜き出るような感じがする
――初めて、飯を食ってリラックスできちょる
『フフ、笑った!』
「むぐッ!?……笑った?ワシがか……!?」
『うん、笑った!えへへ、【料理は人を笑顔にできる魔法】なの。オジサンも笑ってくれて、私とっても嬉しい!』
美味しい?と無邪気な笑顔をこのワシにさえ屈託なく向ける、ガキ
周りの雰囲気も、このガキに吸い込まれていくようにほわり、と春の陽気のような温かいものになっていく
「…………さっきは」
『ん?』
「………すまんかった。」
『あ、やっと謝ってくれた!えへ、私もごめんなさい。』
仲直りね!!と差し出される小さな手に、ワシはまた狼狽える
怖がられるのには慣れているが、こうして笑顔を向けられるのは、全く慣れちょらん
壊れないように、焼かないように、と慎重に伸ばされた手を弱く握る
目の前の、ガキが笑うたび、らしくない自分が引き出され、
何だか、胸の所が浮き上がるような感覚を覚えた
――
一日目、無事仲直りも出来て終了。
赤犬視点
ぼこり、と自身の腕が泡立つ音に、意識を覚醒させる
「チィ……!またかい……!!」
いつもなら苛立っていたとしても能力を暴走させるなんて事は一度もなかったはずだというのに……
どれもこれも、あの小娘のせいじゃァ……
ワシに生意気な口を叩いたあの小娘――言うちょることはガキにしちゃァ殊勝な心構えだったが、大人への物の言い方がなっとらん
「……チィ。イラつくのう……」
気分転換に、と与えられた専用の執務室から出て、海軍本部を適当に歩くことにする
すると、部屋を出たすぐ目の前で、同僚二人とばったり鉢合わせになる。
「おォ~~ゥ……サカズキィ~~……お前も騒がしくて出てきたのかァい?」
「あァ……?………確かに、騒がしいのう……何の騒ぎじゃァ」
「いやー、俺も昼寝……じゃなかった。仕事できねぇから出てきたのよ」
「クザン……おどれ後で覚えちょれよ……!!」
クザンをシメるんは後でもできるが、何やら食堂の方が騒がしくて敵わん。
ワシら三人で何事か、と騒ぎの原点である食堂を覗くと――
『はい!できあがりました~~!【海獣のとろとろミートパイ】です!えへへ。焼き立てですよー!』
「うひゃ~~!美味そう!!」
「よっ!待ってました!ラナンキュラスちゃん最高!!」
「うぉおおおおお美味いィッ!!いくらでも食べられるーーーッ!!」
『えへへ!!まだまだたーくさんッ!ありますから!全部食べて……お仕事頑張ってくださいね♡』
「「「「「「「は~~~~~~い♡」」」」」」」」
「「「……」」」
食堂を見なければよかった、とすっかりあの少女に目をハートにしている海兵達を見て頭に手を置く。これでは海軍の面目丸つぶれもいいところ。
しかし、食堂から香る料理の香りは確かに――
ぐぅううううう~~~……
『ん?』
「ッ!!!」
しまった、と思う時にはもう遅く、ワシの腹の虫はその騒ぎを掻き消す程大きな音で鳴った
『………さっきの。おっきい人』
「うっ……」
つかつかとあの小さく、細いガキが寄ってくる
思わず後ずさりをしようとするが、何故かその迫力に足が一歩も動かん
『……お腹、凄い音でした。』
「わ、ワシじゃない」
「いやァ~~、サカズキ~~……その言い訳はねェだろゥ~」
「じゃかァしぃ!!」
『………さっきの、謝ってもらってないですけど……』
「…………」
何故か、このガキにじ、と見つめられると――
怒りのままに叱ってやりたいが、知らない自分がつまみあげられるような、そんな感覚に陥って、上手く口が開かんくなる。
『私は料理人です。えへへ、お腹空いてるならどうぞ!私と、食堂の海兵さんで一緒に作ったご飯……食べてください!』
そう言って、小さな手にぎゅ、と手を握られ、狼狽える
思わず感じた体温に酷く焦る
同僚二人に目線をやるが、どこか微笑ましそうな表情でガキに引っ張られたワシを見るだけで、助けようともせん。クザンに至っては「面白ェもん見た」と上機嫌な始末。後で殴る。
『さ、席について。手を合わせてください!』
「あァ?何で手ェなんか……」
『食べる前には、まず食材の命に感謝して、それから、その食材を作ってくれた人、取ってきてくれた人、運んでくれた人……全てに感謝して、【いただきます】って言うんです!』
「何でワシがそがぁなこと……」
『いいから!!しなさいッ!!』
「ぐ、う、ッ………い、【いただきます】」
『はい!よくできました!召し上がれ♡』
そう言ってワシの目の前には見たことのないような料理が並び、同僚二人もワシに続いて手を合わせ、いただきますと口にする
何故、こんなガキの言う事聞いとるんじゃァわしゃぁ……。行きどころのない怒りをどうすればいいかも分からず、ワシは目の前の見たことの無い料理に目をやる。
「えーと、ラナンキュラスちゃん、コレはなんていう食べ物なの?」
『はい!これは私の故郷……南の海で取れる【サウスキャンサー】っていう蟹をクリームで和えた……【サウスキャンサーのクリームパスタ】です!蟹特有の香りを引き立たせるように無駄に香草を使わず仕上げてます!』
「ん~~、じゃァこっちはァ?」
『これは【ニコ鳥】っていう、珍しい鳥の肉をレモンに漬けて揚げた【ニコ鳥のレモン揚げ】です!タンパク質豊富!普通の鳥さんより柔らかくジューシーで食べやすいんですよ!』
ガキから聞き馴れん言葉ばかり聞こえ、見たことの無い料理に目を向けるが――不思議と、全くマズそうには見えん
『まぁ、なにはともあれ、ご賞味下さい!えへへ、腕によりをかけました~~』
とぼけた笑顔で胸を張り、本当に自信満々といった雰囲気で
目の前のガキの言葉に無意識に従い、なんちゃらパスタとかいうのを口にいれる
「ッ………何じゃいコレは……」
「ヒぃッ!?」
『……』
「………美味い」
食える程度の味ならば、食になんのこだわりが無かったワシが、初めて心の底から、美味いと思った。
このパスタに絡むソースが滑らかで、蟹自体の味がようきいちょって、太めのパスタによう合う
「うわ、何コレ美味しい」
「おォ~~~、本当だねェ~~~」
「……」
自然と笑顔になる二人の同僚を見て、自分の頬も、いや、体全体か、余計な力が抜き出るような感じがする
――初めて、飯を食ってリラックスできちょる
『フフ、笑った!』
「むぐッ!?……笑った?ワシがか……!?」
『うん、笑った!えへへ、【料理は人を笑顔にできる魔法】なの。オジサンも笑ってくれて、私とっても嬉しい!』
美味しい?と無邪気な笑顔をこのワシにさえ屈託なく向ける、ガキ
周りの雰囲気も、このガキに吸い込まれていくようにほわり、と春の陽気のような温かいものになっていく
「…………さっきは」
『ん?』
「………すまんかった。」
『あ、やっと謝ってくれた!えへ、私もごめんなさい。』
仲直りね!!と差し出される小さな手に、ワシはまた狼狽える
怖がられるのには慣れているが、こうして笑顔を向けられるのは、全く慣れちょらん
壊れないように、焼かないように、と慎重に伸ばされた手を弱く握る
目の前の、ガキが笑うたび、らしくない自分が引き出され、
何だか、胸の所が浮き上がるような感覚を覚えた
――
一日目、無事仲直りも出来て終了。