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海軍元帥、センゴクの部屋での一悶着は、瞬く間に海兵の間に駆け巡った






あの【サカズキ】を言い負かしてしまう少女が現れた―、と







『えへへ！はじめまして！ラナンキュラスです！まだまだ技術も知識も……足りないかもですけど！やれることは料理人としてしっかりとこなしてみせますので！！』






よろしくお願いします！！と海軍の食堂の厨房に集まっていた海兵に、海軍マークが刺しゅうされたエプロンを身に着けた年端もいかぬ少女に、料理人でも何でもない海兵達は混乱する






『えっと、私年下なのに……【総料理長】とか、すみません……でも、きっとお役に立ちますよ！！』






「え、で、でも、その……俺達、料理人ではなくて……」






「そ、それに……【総料理長】って……つまり……」






……【総料理長】。その役職は五十年ほどまえからぱったりと姿を消してしまったが、海軍の中では実は位の高い役職であり、中将や大将達の長期遠征に同行したり、海軍本部の食堂の全権利があるのは勿論のこと、海軍本部の総料理長は―
支部に存在する食堂の料理長や料理人達のトップである







それ故に、与えられる権利は【海軍大将】のソレと変わらない






現に彼女の傍らには今【ゴールデン電伝虫】と【海軍将校のコート】が置かれている






『さ！じゃあ仕込みに入りましょう！私の指示通りに！』






「は、はい！」






『えへ！頼もしいですね！流石は海兵さん！』






「え！？あ、いやぁ……それほどでも……」






あからさまに照れる数人の海兵達に、くすり、と可憐んに微笑む少女は、まるで―その魅力を醸し出した、美しい色とりどりの花―






「花畑のようだ……」






『え？』






「いえ、その……これからよろしくお願いします、ラナンキュラス【総料理長】」






『ッ！……はい！頑張って、皆で届けましょう！料理は人を笑顔にできる魔法ですから！！』






そう言ってえへへ！！と明るく朗らかに笑う彼女に






今までやる気のなかった海兵達も―一気にやる気を見せ






今夜、今夜からこの海軍本部の食堂には―







【アイドル】が誕生することとなる