hzbn短編
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この小説の夢小説設定公式情報でも回収されていない伏線や背景、
判明していない設定など不明瞭な情報が多いため、
しばらくは短編で更新していきます。
時系列はバラバラ。
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『さて、寝泊まりはどこにするか……って、うわ、え……!?』
エマの服の新調、コーヒーの買い出しが完了し、アラスターと解散したところで寝床探しをしようとしたエマだったが、街を歩いていると突如周囲の景色が変わってしまった。
慌てて周囲を見渡すとどうやら屋内にいるらしいことはわかった。
なにやら高そうな調度品や、これまた古くて貴重そうな本が棚に並んでいる。
エマがポカンとしているともはや聞き馴染みとなった声が聞こえた。
「ああ、エマ。そこのゴミを外に出しておいてください」
『…は?アラスター?なんで?ここどこ?』
「私の住居です」
『は!?』
「いいリアクションですねぇ。私が手伝い係の貴女を呼んだんですよ」
『なんでもありかよ………ゴミはこれでいいデスカー』
つい先ほど別れたばかりのアラスターが再び目の前に姿を現したことでエマはまた混乱した。が、この現象も彼が原因だったようだ。
雑用をさせるためだけに呼ばれたエマは不服ではあったが、契約上断るわけにもいかず、最終目的のために仕方なく指示に従った。
ゴミ出しを完了させるとあっけなくアラスターによって元の場所に戻って来た。
『うわっ……また!?』
「エマ、玄関の掃除しておいてもらえます?埃っぽくて」
『次は掃除?』
改めて寝床探しを始めてからそう時間がかからないうちに再び景色が突然変わった。
そこは先ほど見たアラスターの家だった。
コーヒーを飲み寛いでいたアラスターは当たり前のようにエマに指示する。
そして玄関掃除が終わればまた元の場所に戻された。
これがその後も何度か繰り返されるのだった。
「エマ、電球の交換をお願いしますね」
『もうしつこい!』
「ビビ?」
『何度も呼ばれるからぜんっぜん居住地探せないんだけど!私が今日地獄に来たこと覚えてる?色々ありすぎて疲れてるし!服のことは感謝してるけど、もう今日は閉店!』
「まだ浮浪者してたんですか」
我慢の限界を迎えたエマはアラスターにクレームをつけた。
突然捲し立てられたアラスターは目をぱちくりさせる。邪魔するために何度も呼んでいたわけではないようだが、それもそれでタチが悪いし純粋に人使いが素で荒い。
『というか今後もこのペースで仕事振るつもりならいっそ居候させてよ。こんなお高そうな家なら余ってる部屋あるんじゃないの?』
「大きく出ましたねぇ。さすがに今日知り合った相手に部屋を貸すほどお人よしじゃないですよ」
『今日知り合った相手の魂を取り上げたヤツに言われたくねーよ。それなら頻度を下げて』
「……いいでしょう。客室用の部屋があるのでそこを使いなさい」
『わかったならさっさと戻して…………え?』
貸すわけがないと言っていた直後に真逆の内容を耳にしたエマは固まった。
この人物は記憶障害か多重人格でも患っているのだろうかとさえ考えた。
しかしエマが聞き返すも、アラスターの返答は変わらず客室を使えというものだった。
『言ってたことと真逆なんだけど……?ほんとに居候していいの?』
「本来異性を住まわせること自体望ましくないのですが……まぁ、貴女は気にしなさそうですし、いちいち呼ばなくて済みますし、その方がもう1つの目的が達成できそうなので」
『もう1つの目的?まだ何か関わること隠してるの?』
どうやらアラスターは今もさっきも意識は正常で、彼なりにも住まわせたほうがいいと判断する理由があるらしい。
最後にあげられた理由を聞いたエマは復唱しながら首をかしげた。
「私、笑顔が好きなんです。状況を支配するのにいい武器にもなる。何よりお洒落!しかし貴女の笑顔ときたら、ハッ、ヘッタクソ!そもそも他の表情もどうにも固いんですよ。自覚ありました?声色しか変化なくてなかなか不気味ですよ」
『え、そ、そうなの?自分の顔なんて四六時中見てるわけじゃないから……』
「つまらないの域は出ませんが、怒ってるときはいくらかましでしたね」
『怒ってたのを褒められても良い気しないんだけど』
アラスターから出た言葉にエマは小さく驚いた。まさかこんなときに人の表情管理の話になるなんて誰が思うか。
いまいち掴み切れていないエマを前にアラスターは「つまり」と続け、エマの頬を物理的に引き上げた。
「貴女のそのタヒんだ表情筋を蘇らせてみたいと好奇心が沸いたんです。もっと言えばマナーもどうにかしたいですね。そちらについてはまだまだボロが出てきそうだ」
『……ひおひお ひわえうほほが ふえうっえ ほほ……?(色々言われることが増えるってこと……?)』
「何言ってるかわかりませんが、そういうことなので使ってもらう客室まで案内しますね」
『だから!』
エマはアラスターに頬を引き上げられながらだったため、質問内容が伝わらず後を追いながら再度投げかけた。
しかしアラスターは「それはエマ次第じゃないですか?」とあっさり返してしまう。正論をモロに受けたエマはぐうの音も出なくなってしまった。
さすがラジオスター。力勝負だけでなく言葉での応酬にも慣れているようだ。
ここでまた1つアラスターに敵わない情報を得てしまったエマだった。