hzbn短編
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この小説の夢小説設定公式情報でも回収されていない伏線や背景、
判明していない設定など不明瞭な情報が多いため、
しばらくは短編で更新していきます。
時系列はバラバラ。
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『…………え………?』
エマは目が覚めると知らない場所にいた。
空は赤く、街には人間ではない様々な姿をした生命体がそこらじゅうにいる。
つい先程まで戦闘機が空を飛んでいたはずだが、と見上げるもそんなものは見当たらない。
銃撃音は時折遠くで聞こえるが、エマが認識していたときの状況や銃撃音とはまるで違っていた。
『これが私……?夢じゃなさそうだし……え、足やば……』
「おいそこの姉ちゃん。ドラッグ分けてやるから一発オレとヤろーぜ」
『は……?』
ガラスに映る自身の姿に驚愕しているとガタイのいい男が声をかけてきた。
手には薬と思われる小袋が見える。
『体の慣らしへの協力どうも。この足、慣れればもっと使えそうだな………お、財布だ』
『…………って感じで町を見て歩いたり日銭稼いでたらこことあんたを見つけたわけ。人型に近い相手がいてよかったよ』
「それはそれは!大変だったんですねぇ」
しばらくしてここは地獄、そしてそこの住人たちは自身含め全員悪魔だということもエマは理解した。
そして情報収集といえば、ということでバーに入り、たまたまカウンターに座っていた真っ赤な装いのアラスターと名乗る悪魔に声をかけ、話を聞いてもらえることとなった。
笑顔は不気味だが、人に近い姿、1人、スーツや姿勢から紳士的ということで話しやすそうとふんだものの、周りはありえないとでも言いたげだ。
「よかった……!?あいつ正気かよ!?ラジオの放送知らねぇのか!?」
「薬でラリってんじゃない?」
『ラジオ?』
「ああ、あなたは今日地獄に来たばかりでしたね。私、ラジオ放送をしているんですよ」
『それでその声なんだ?地獄のこともっと教えてよ。ここは奢るから』
「お気持ちは結構。代わりにエマのことを教えてください」
『そう?』
アラスターの声はノイズエフェクトがかかったような声質をしており、時折効果音が響く。
エマはどういう仕組みなのかと考えつつ、ポツポツと生前のことを話した。
母親はおらず父親が頼りだったが暴力にまみれていたこと。それに耐えかねてころしたこと。
その後は頼る相手がいないまま食いつなぎ、戦○に巻き込まれ、気づけば今の姿になっていたことを話した。
アラスターはそれをウンウンと頷きながら聞いていた。
『前は運がなかったみたい』
「〇害方法はどのように?他にもころしを?」
『父親のときは空きビンで。他は数えるって考えがなかったから何度かってだけ…』
「〇人を数えきれないほど!ここでは誇られることですよ」
『そうはいっても地獄で普通の仕事って見つかるもんなのかな。アラスター、何かおすすめとかない?』
エマの話を聞いたアラスターは楽しそうに歓声の効果音を流しながら拍手した。
ただ次くらいは普通の生活を、と考えていたエマにはあまり喜ばしいエピソードではない。金が存在しているなら今後生きるのに収入が必要ということになる。
話を振られたアラスターは自身の顎を撫で考える素振りを見せた。
「ふむ……すぐ仕事が見つかるなら何でもします?」
『低賃金とエロ以外なら繋ぎでも何でもいいよ』
「それでは取引しましょう。私はエマの条件に沿った仕事を提供する。エマは私に振られた仕事をこなす。働かなければ魂の補償はできませんが、貴女はタヒぬまで食いぶちには困らず定期的に報酬が受けられる。あとはここにサインするだけ。シンプルでしょう?」
『ほんと?最初の友達がアラスターでよかった!よろしく……ん?この光は?』
「カカカ!盛り上げるための演出ですよ」
アラスターの提案にエマの声色が明るくなり、差し出された書類へのサインと握手を躊躇なく返した。
突如緑色の光がワッと瞬き店内を照らす。
「うわ、あいつ二つ返事で契約しちまったよ」
「本当に地獄も相手のことも知らないのか……いいカモだな」
「外野がうるさいですねぇ。あなたたちも契約したいのですか?」
「「ヒッ!なんでもありませぇん!」」
その様子を見ていた悪魔達は地獄に来たばかりのエマを哀れんだり小馬鹿にしたりと、各々思ったことを話していた。
当時者のエマは気にしていないのか、特にコメントすることなく今後のことを考えた。
『簡単に仕事を紹介できるなんて。君がラジオのDJならスタジオ関連の仕事かな…カメラマンとか?』
「それは追って説明します。ささ、今は楽しみましょう!ゲームでもします?隣の店なら酒の提供はもちろん、ダーツやトランプができますよ」
『じゃあ1ゲームごとに1杯飲んでどっちが先に潰れるか競わない?アラスター全然飲んでないみたいだから』
「それだと先に潰れるのはあなただと思いますが」
『平気平気。一緒に飲もうよ』
「あの新入りらしいやつ……ラジオデーモンと2軒目行ったぞ……」
とりあえず今は友人として楽しもうじゃないかとアラスターの提案から、 ゲームのできるもう一軒の店に移動することとなった。