長編(メインストーリー沿い)番外編
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この小説の夢小説設定twstメインストーリーの番外編なので、学園での呼称が多いです。
一応設定方法も長編と同じ表示にしてるので、同じように入れていただくと同じような感じで読めるかと。。
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「オレ、あれも乗りたい!」
「ええと……今からだと1時間ほど待つことになりますね」
「えええーーー!!」
次にフロイドが指さしたのは、縦長の建物だった。
その建物からは度々先ほどのアトラクションと同じような叫び声が響いている。いや、あの高さであのボリュームならそれ以上だろう。
同じような絶叫系だと確信したフロイドは、それも乗ってみたいと目を輝かせて言うのだ。
「あくまでも視察で来たんですよ。他にもパレードや絶叫系以外のアトラクションもあるようですし、僕としては幅広く見たい。優先チケットは売られていれば購入して構いませんから、行きたい人だけ行ってください」
「アズール…………もしかしてこえーの?」
「は?」
『ふふふ』
アズールは本来の目的を忘れたわけではないようで、偏ったジャンルばかり乗ることに異議を申し立てた。
[#da=1#]は内心、案内など放棄して各々好きにまわれば効率的じゃないかと考えていたが、フロイドの一言に噴き出した。
「そうですね。各々が分担してアトラクションを回った方が様々な種類のアトラクションの情報が得られますが、1つのアトラクションを複数人で体験したほうが得られる情報の質が上がります。今回故郷にはない未知の世界に足を踏み入れているんですから、後者の方がよろしいのでは?」
「そうそう。この人の多さじゃ合流するのも面倒そうだし?それなのに逃げるんだ?」
「誰が怖いから逃げるだなんて言いましたか。まったく……そうですね、せっかく案内役も用意しましたし、僕も乗りましょう。[#da=1#]さん、あのアトラクションは搭乗経験ありますか?」
『はい。なので体験談も交えて説明できます』
こうして次に乗るアトラクションが決まった。
専用アプリではアトラクションの待機時間だけでなく、優先チケットの売り切れ状況の確認も可能である。
「先ほどまでは人の多さなどで余裕がありませんでしたが、改めて見渡すと様々なお店がありますね。フロイドが寄り道したがりそうです」
『そうなると混んでいなくても集合まで時間はかかりそうですね…』
「では、待っている間に写真を撮ってもよろしいですか?」
『写真?』
優先チケットは無事購入できたものの、アズールとフロイドはトイレに行ってくると言い[#da=1#]とジェイドの2人が残された。
ジェイドの提案に[#da=1#]は首を傾ける。パークの写真なんて、人魚の3人は入場する前の外観の段階から写真も動画も撮っていたのだ。
『さっきから各々好きに撮ってたじゃないですか。今さら改まって言わず、この近辺なら先輩を見つけられるんで撮って来ていいですよ』
「おや、よろしいのですか?では…」
『……?なぜスマホをこちらに向けてるんです?』
「わざわざ改まって言わなくていいということでしたので。どうぞ、お好きにポーズをとってください」
”写真を撮る”というのがパーク内の雰囲気のことだと考えていた[#da=1#]は、自身の方角にまっすぐスマホを向けられたことで違和感を持った。
どうやらジェイドの言う”写真を撮る”とは[#da=1#]を撮るということらしい。
『えっちょっと待ってください。写真はちょっと……身バレを防ぐために映ることを控えているの知ってますよね?』
「そちらについてはご安心を。僕個人が楽しむためですから。今の困ったように僕を見上げる様子、わりと好きですよ。あまりそういった姿を見せていただけないのが残念です」
『ジェイド先輩個人が楽しむって、それもそれで不安なんですが。それに勝手に残念がらないでください。またどこまで冗談かわかりずらいことを言って…』
「全て本当なんですけどねぇ。僕ってそこまでわかりずらいでしょうか?」
[#da=1#]は実家の秘匿性を守るためにSNSの利用は控えていた。現在はそれに加え、ミドルスクールまでの同級生たちに万が一見つからないためにも、他人のSNSの写真に自身の姿が映ることすら警戒している。
しかし[#da=1#]の事情を知っているジェイドはもちろんそんなことも認知しており、ただ純粋に個人用で撮ると言い出した。
無情にもシャッター音や動画の撮影完了の音が軽やかに鳴る。
『本来の状態と大きくかけ離れてはいないとはいえ、今は認識を阻害してるんですよ。自分で言うのもなんですけどそんなに可愛げあるんですか?』
「ええ。僕にとっては一生懸命に演じている様子が十分可愛らしくておもしろいですよ。早く本来の姿のあなたを拝んでみたいものです」
『おもしろいって言っちゃってるじゃないですか……』
ジェイドはたびたび[#da=1#]に冗談めいたことをふっかける。
一応2人のときくらいでしかそういったことはしないが、リアクションに困るため基本ジェイドとは2人きりにならないよう避けるようにしているのだ。
もはや事情を知っているジェイドにとっては、周りに悟られまいと振る舞う[#da=1#]の言動がおもしろくて仕方ないらしい。
「ふふ。普段とは違う装いと場所がより非現実感があって素敵ですね。一方的に撮られるのが嫌なら僕と一緒に撮りましょうか?」
『いや、それより写真や動画を削除してくれたほうが嬉しいです』
「これでも相手との約束は守る男なんですよ」
『最近フロイド先輩が、まかないにキノコを入れない約束したのにまた入れられたと嘆いてましたけど?』
「フロイドもアズールも時折ああ言いますが、あれはそういうものですね」
『どういうものですか……』
ジェイドは撮影した写真を眺めてほほ笑んでいる。
[#da=1#]はその写真らをどうにかしたかったが、このままでは埒があかない。
溜め息をついた[#da=1#]は自身のスマホを取り出した。
「………?」
『これで手を打ちます。もし万が一僕の写真を漏洩や不利になるような使い方をしたら、僕もこの先輩の写真を悪用させてもらいますので』
「ああ、そういうことですか。それではせっかくですので、そこの外観と一緒に撮ってもらえませんか?」
スマホを取り出した[#da=1#]はカメラを起動し、目の前のジェイドを撮影した。
ジェイドは目をぱちくりさせたが、[#da=1#]の話を聞くと場所を指定し再度撮影するよう提案を持ち掛けた。
なぜちゃんとした場所とポーズでまともな写真を撮影させられているのか謎だが、[#da=1#]にとっては材料が増えるだけなのでとりあえず応じる。