異種族エンカウント!(ジェイド/中編)
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『今回も変わらずか……』
それから姿を見せない日もあったが、たびたびあの人物はマリシアの前に顔だけ出すか、人の気配がすれば水面に消えるかを繰り返していた。
熱心な役者にしてはやはり他の撮影陣もいないのがおかしい。
いい加減見慣れたマリシアは特に何かをされるわけでも無いのでほっといてはいるが、もしかして本当に人ではないのだろうかと思い始めたころ、ちょっとした事件が起きた。
ある日の放課後のことだった。
「どうすればOKをくれるんだ?俺は金持ちで、スポーツも勉強もできるのは知ってるだろ?あとは何があればいいんだ?何を買ってほしい?」
『お金があるのは親のおかげでしょう』
いつもの場所に立ち寄ろうと海岸に来たマリシアの前に、以前告白をしてきた同学年の男子生徒に引き留められていた。
体躯や環境に恵まれ、学年の中心人物である彼には性別問わず人が群がる。
1つ望めば2つ3つと叶うほどで、欲しいものが手に入らないことは生まれてから経験したことがないのだろう。
そんな自信が、彼からは滲み出ていた。マリシアはそんな傲慢な態度が嫌いだった。
「実際に付き合ってみないと分からない部分もあると思うし、お試しで1カ月さ…ね?」
『だから嫌なんだって』
「……どうしてだよ!」
相手はなかなか引き下がらない。むしろ徐々にマリシアとの距離を詰めてくる。
何度断っても折れないあたりマリシアの想定は当たっているのだろう。
身の危険を感じ始め身構える。しかしそのときだった。
「みんな俺にはいい顔するのにどうしてそんな反応なんだよ?こんなに必死に伝えてるのに……まぁ周りと違ってそのなびかないところに惹かれたんだけどさ……でももういいだろ、一生贅沢させてやるよ」
『あいにくこっちも裕福だし迷惑してる………ってちょっと!!』
「…!う、うわぁぁぁ!!?」
マリシアが言い分をぶつけようとすると突然目の前の相手のズボンが地面にずり落ち、下着が露わになったのだ。
いつも偉そうなボンボンの彼には似つかわしくない、可愛らしい猫の刺繍が目を引く。
「ちっ違う!俺じゃない!急にスボンが落ちたんだ!!しっかりベルトしていたのに!!本当だって!!」
『近寄るな変態!!』
「う"っ!」
慌てて外れたベルトとズボンを持ち上げながら接近してきたことに不快感と危機感を感じ、マリシアの渾身の蹴りが相手の顎に命中した。
慌てふためいていた相手は受け身も何も取れずにみっともなく背中から倒れる。
マリシアは護身術を身に着けていて本当によかったと思った。
「……なに、して……今の、録画の音……?」
『証拠ですよ。次話しかけてきたらばら撒きます』
「ヒッ…!それだけは!」
『嫌なら今すぐ帰って』
マリシアは今後の護身のためにすぐさまスマホを取り出し撮影した。念のため写真と動画の両方で。
さきほどの蹴りといい撮影といい、ようやく懲りたようで顎とズボンを抑えながら逃げるように去って行ったのを見送る。
パチパチパチパチ
「クスクス」
『……あ』
拍手と笑い声がしてマリシアはハッとする。音のした方へ視線を向ければ例の役者だった。
いつものように水面にいるが、今日は拍手をしていることで手先や顔全体も見えた。
鋭く尖った爪も精巧な作りをしているのが近距離でなくてもよくわかる。
それから姿を見せない日もあったが、たびたびあの人物はマリシアの前に顔だけ出すか、人の気配がすれば水面に消えるかを繰り返していた。
熱心な役者にしてはやはり他の撮影陣もいないのがおかしい。
いい加減見慣れたマリシアは特に何かをされるわけでも無いのでほっといてはいるが、もしかして本当に人ではないのだろうかと思い始めたころ、ちょっとした事件が起きた。
ある日の放課後のことだった。
「どうすればOKをくれるんだ?俺は金持ちで、スポーツも勉強もできるのは知ってるだろ?あとは何があればいいんだ?何を買ってほしい?」
『お金があるのは親のおかげでしょう』
いつもの場所に立ち寄ろうと海岸に来たマリシアの前に、以前告白をしてきた同学年の男子生徒に引き留められていた。
体躯や環境に恵まれ、学年の中心人物である彼には性別問わず人が群がる。
1つ望めば2つ3つと叶うほどで、欲しいものが手に入らないことは生まれてから経験したことがないのだろう。
そんな自信が、彼からは滲み出ていた。マリシアはそんな傲慢な態度が嫌いだった。
「実際に付き合ってみないと分からない部分もあると思うし、お試しで1カ月さ…ね?」
『だから嫌なんだって』
「……どうしてだよ!」
相手はなかなか引き下がらない。むしろ徐々にマリシアとの距離を詰めてくる。
何度断っても折れないあたりマリシアの想定は当たっているのだろう。
身の危険を感じ始め身構える。しかしそのときだった。
「みんな俺にはいい顔するのにどうしてそんな反応なんだよ?こんなに必死に伝えてるのに……まぁ周りと違ってそのなびかないところに惹かれたんだけどさ……でももういいだろ、一生贅沢させてやるよ」
『あいにくこっちも裕福だし迷惑してる………ってちょっと!!』
「…!う、うわぁぁぁ!!?」
マリシアが言い分をぶつけようとすると突然目の前の相手のズボンが地面にずり落ち、下着が露わになったのだ。
いつも偉そうなボンボンの彼には似つかわしくない、可愛らしい猫の刺繍が目を引く。
「ちっ違う!俺じゃない!急にスボンが落ちたんだ!!しっかりベルトしていたのに!!本当だって!!」
『近寄るな変態!!』
「う"っ!」
慌てて外れたベルトとズボンを持ち上げながら接近してきたことに不快感と危機感を感じ、マリシアの渾身の蹴りが相手の顎に命中した。
慌てふためいていた相手は受け身も何も取れずにみっともなく背中から倒れる。
マリシアは護身術を身に着けていて本当によかったと思った。
「……なに、して……今の、録画の音……?」
『証拠ですよ。次話しかけてきたらばら撒きます』
「ヒッ…!それだけは!」
『嫌なら今すぐ帰って』
マリシアは今後の護身のためにすぐさまスマホを取り出し撮影した。念のため写真と動画の両方で。
さきほどの蹴りといい撮影といい、ようやく懲りたようで顎とズボンを抑えながら逃げるように去って行ったのを見送る。
パチパチパチパチ
「クスクス」
『……あ』
拍手と笑い声がしてマリシアはハッとする。音のした方へ視線を向ければ例の役者だった。
いつものように水面にいるが、今日は拍手をしていることで手先や顔全体も見えた。
鋭く尖った爪も精巧な作りをしているのが近距離でなくてもよくわかる。
