長編(メインストーリー沿い)番外編
お名前編集はこちら
この小説の夢小説設定twstメインストーリーの番外編なので、学園での呼称が多いです。
一応設定方法も長編と同じ表示にしてるので、同じように入れていただくと同じような感じで読めるかと。。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ブルーテトラちゃん、周りのやつらがどんどんフジツボの群生地みたいになってくけど、この後なにかやんの?」
「下調べしていたアズールはすでに知っているようですね」
あれから時折休憩を挟みながら他のアトラクションや催しを見て回り、気付けばあっという間に数時間が経過していた。
日も落ちライトアップされたことで、園内は日中と大きく印象を変えた姿を見せる。
フロイドは周囲の夜景を見渡しながら感じた疑問を案内役のエディシアに訊ねた。
幸いフロイドの気分屋は大きな波を立てることなく比較的上機嫌に過ごしていたので、夜にも期待を向けているようだ。
何も知らない双子に、アズールはニヤリと笑みを浮かべ眼鏡をクイと上げた。
「フフ……エディシアさん、そろそろこの哀れなウツボたちに教えて差し上げましょうか」
『そこまで偉そうにできる内容でもないんですけど……でもそうですね。これから一番の目玉を見ます。それは夜のパレードとショーです』
「パレードとショー?」
「パレードなら、日中に交通規制をかけ催されていましたよね?」
「昼のパレードも入場時間から場所取りをする、というファンがいるほど人気ですが、夜のパレードはひと味違います」
『夜のパレードは夢の国に行ったことが無い人でも知っているほどの目玉です。そしてパレード後の最後のショーでは花火やプロジェクションマッピングが見れるんです。これらを見ずに帰るのはとてももったいないかと』
「ふーん。そこまで言うなら見てみよっかな。おもしろくなければ締めるだけだし」
「ええ。陸から見る空飛ぶクラゲ……花火もおもしろそうです」
来場経験のあるエディシアと入念な下調べをしていたアズールの事前解説を聞いたフロイドとジェイドは、互いに顔を見合わせにこやかに頷いた。
一方フロイドの最後の一言を聞いたエディシアは、この後の催しの満足度に自信がありながらも静かに尾を足の間に挟んでいた。
『暗いなか人が密集するので、はぐれないように気をつけてください』
「一番はぐれそうなのがこの双子ですが…まぁあの身長とシルエットならどうにか見つけられるでしょう」
「なぁに?アズールとブルーテトラちゃん、オレたちとギュッてしたいの?」
「おやおや、揃って甘えんぼうさんですねぇ」
「『は?』」
ある程度の位置で止まり、事前にエディシアが注意を呼び掛けた。
好奇心旺盛な人魚が2人もいるなか、しばらくの時間動かずにいなければならないので油断できないのだ。
この人混みではそう簡単に動き回れないだろうが、彼らなら何をしでかすかわかったものではない。
しかしそんなアズールとエディシアの心配をよそに双子はニタニタと悪だくみを思いついたように笑った。
アズールとエディシアがあっけにとられた束の間、アズールの手をフロイド、エディシアの手をジェイドがそれぞれ握り、間に挟まれた2人の残りの手も双子によって互いに握らされ、4人で手つなぎの一列が形成された。
「はい、これではぐれないですね」
「オレたち優しい〜」
『ちょっと…!』
「そもそも頼んでいません。それにこれでは手が空かず撮影出来ないでしょう!?」
「あは、自由にできる手があるのは端っこの特権だねぇ」
「ふふ、そうですね。このように」
「『やめろ/やめてください』」
「「いででで/痛いです」」
突然の事態にアズールとエディシアは自身の手と隣の双子の片割れを交互に見た。
慌てる2人にフロイドもジェイドも変わらずニタニタを笑みを浮かべながら、空いている片方の手でおもしろおかしくイタズラを始めた。
フロイドは「ここ押すと下痢するんだってぇ」とアズールの脳天に指を押し込み、ジェイドはエディシアの頬をつんつん…なんて可愛らしいものではなく両頬を大きな手で鷲掴み「フグのようですね」と意地の悪いコメントをした。
それらを受けたアズールは持ち前の腕力でフロイドの手を握りつぶし、エディシアはジェイドの足の脛に蹴りをいれた。
「今日は大変勉強になりました。やはり最後を締めくくるには、あれぐらいはしたほうがより心に刻み込めて話題性もあるな……」
「炎も出てたよね?かっけー!」
「圧巻でしたね。パレードのライティングも大変華やかでした」
『僕も楽しかったです。ついグッズも買いすぎちゃいましたね』
問題視されていた双子は、パレードもショーも食い入るように見ていたことで無事最後まではぐれることがなかった。
様々な形に色とりどりのフロート、それに乗りパフォーマンスをするキャラクター、盛大な音楽、遠くから見ていても圧倒される演出。
ライティングされるということもあり、昼とは違った夜だからこその豪華さがあった。
終わったころには4人には、朝から活動していたことからくる疲労感と充足感に満ち溢れていた。
人混みを進むため、前方をフロイドとアズール、後方をジェイドとエディシアで2列を作り各々感想を交わしながら歩く。
その時、ジェイドが前方の2人に聞こえないよう声を抑えながらエディシアに呼びかけた。
「……エディシアさん」
『?』
「次は魔法道具を身につけていない、素の状態で一緒に行きましょうね」
『……また行きたいという意見には同意ですけど、これを外す頃にはバラバラでしょうね』
「おや。ではあなたの就職先はリーチ家がサポートいたしましょう。そうすればいつでも会えますよ」
『闇が深そうなので丁重にお断りします』
「深いのは実家の場所と慈悲の心くらいなのですがねぇ」
ジェイドの本心が読めない申し出にエディシアは苦い笑みを浮かべた。
それからも歩行が続く間、エディシアはジェイドからのからかいの被害に遭い続ける羽目となった。
後日、4人の私物には夢の国で購入したストラップが揺れていた。
各々が自分用に購入したので統一性が無く、数週間互いに気づくことがなかったのだとか。