長編(メインストーリー沿い)番外編
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この小説の夢小説設定twstメインストーリーの番外編なので、学園での呼称が多いです。
一応設定方法も長編と同じ表示にしてるので、同じように入れていただくと同じような感じで読めるかと。。
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「飽きた」
『え』
「ハァ……」
「飽きちゃいましたか」
予約の時間帯となったため縦長の建物の中に入る。ただかなりの人気アトラクションのようで、優先チケットを使ってもなかなか列に終わりがなかった。
はじめこそ内装や乗りにくる客層、荷物についてなど話し込んでいたが、フロイドは徐々に建物に入ったことに満足してきてしまっていたようだ。
そしてようやく次でアトラクションへの乗れそうというところで気まぐれが発動してしまったらしい。
[#da=1#]はここで?と固まり、アズールは溜め息を吐き、ジェイドはニコニコと反応は様々だ。
『もうちょっとで乗れますよ。もう目の前じゃないですか』
「それよりさっき走ってた列車に乗りたい」
『蒸気機関車ですね。このアトラクションが終わったら行ってみましょう』
「だからここは飽きたんだって。そのデカい耳は飾りかよ?」
「フロイド。周りに人がいるんですから騒ぐんじゃありません」
[#da=1#]がなだめるもフロイドは聞く耳を持たず、逆に[#da=1#]の耳をだるそうにつまんでみせた。
次にアズールがたしなめる。普段なら勝手にしろと放り出すが、今回は料金を払っている手前そういうわけにもいかなかったのだ。
このタコのような守銭奴でなくとも、体調不良でもない限り無駄にはしたくないだろう。
「それなら仕方ないですね。フロイドがこの建物を半壊してしまう前に離れましょうか。では……」
「せっかく全員分の追加料金を払ったのに、ここまで来て離脱なんて許しませんよ」
「うげ、アズールに腕掴まれたぁ」
「相変わらずの剛腕だ。跡が残りそうです」
「死なば諸共。僕はそう決意してここに立っていますので、絶対にこの手は離しません」
しかしジェイドは違った。すんなりとフロイドの意思を尊重し、共に列から抜けようと他のルートを探すべく室内を見渡した。
それをアズールは許さず、この場から離れぬよう双子の腕をそれぞれ掴む。
その力はそうとうなようで双子が退室することを防げたようだ。
『そもそも、さっき自分でアズール先輩のこと煽ってたじゃないですか。でもそうですね、ここのみんなに怖気づいたと解釈されてもいいならどうぞ』
「は?みんな?」
これ以上動き出そうとする様子がないことを確認した[#da=1#]は呆れながらも説得を再開した。
フロイドは[#da=1#]の後半の言葉に首をかしげ、聞き返した。
それに対し[#da=1#]は『あそこの壁際を見てみてください』と方角を指さす。
「ぐす……うえぇぇえん……」
「だから言ったのに。足元に気を付けなさいね」
「……うん……」
「あーあ泣いちゃったね」
「次はリベンジできるといいねぇ」
「…もしかしてあの背の高いイケメンも離脱する感じ……?」
「はははまさか~」
『列から引き返すと一発でリタイアだって思われます。あんな感じでエレメンタリースクールくらいの子が泣きながら出ていくことはありますけど……男子高校生はちょっと聞いたことないかな……』
「………………」
[#da=1#]の指さした先には男の子の手を女性が引いて歩く姿があった。おそらく親子であろう。
2人はスタッフらしきもう1人の後に続き列とは別の道を進んでいる。
そして[#da=1#]たちのそばで並んでいた若者たちは会話が聞こえていたようで、フロイドを見上げながらコソコソくすくすと小さく盛り上がっていた。
[#da=1#]の言う”みんな”とは、この建物内で並んでいる数百人のことを指していたのだ。
静かになったフロイドにジェイドは名前を呼んだ。
「フロイド……?」
「普段周りの雑魚とか知らねーけど、ソイツらにオレが雑魚って思われるのはムカツク。ジェイドもそう思わねぇ?」
「…ええ。そうですね」
「おや?ジェイド、いつもより笑顔が固いんじゃないですか?」
「そうでしょうか」
フロイドのやる気を出させることには成功したようで、同じ退室派だったジェイドは意見を求められた。
引くに引けなくなったジェイドは笑顔を保ったまま少し遅れて同意したが、見逃さなかったアズールは日頃の恨みとばかりに指摘してやった。
最終意思を聞いた[#da=1#]もアズールと同じく嫌な笑みを浮かべる。
『……へぇ。では2人ともリタイアはしないということですね。本当にいいんですか?』
「ブルーテトラちゃん、オレらのことナメてない?ニヤついてんじゃねーぞ」
『(こっわ……)いえいえそんな。ただみんなで一緒にアトラクションに乗れるのが嬉しくてつい』
「ではもう目と鼻の先ですから、あと少し待てますね?」
「はいはい」
「かしこまりました」
[#da=1#]の付け上がった態度にフロイドはヌッと上から覗き込むように顔を近づけた。
笑顔で語尾にはハートがつきそうな声色だが、目は笑っていないし声にもどことなく圧を感じる。まずいと感じた[#da=1#]はそれらしい言葉を並べ終わらせた。