3章
お名前編集はこちら
この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…なんだか外が騒がしいですね」
ある日、僕は部活動で魔法薬学室に来ていた。
いつも通りキノコの観察をしていると外から誰かを追いかける声が聞こえてくる。
ここで追う追われるような騒動は多いので、今日も誰かがイタズラでもしたんでしょうとでも思いながら何気なく窓に目を向けると、見覚えのある人物が目に入った。
「あれは…[#da=1#]さん?」
彼は魔法薬学室の前を通り過ぎ、すぐ横の植物園へ駈け込んでいく。
いつも少し大きいジャケットの下にパーカーで他の生徒より着込み、シャツも上まで留めるガードの堅さが印象的ですが、今の彼は顔に傷を負い、ベストが見えボロボロに服が乱れているような様子でした。
普段は帽子であまり見かけない陸の獣の耳がまた珍しさを増している。
そんな彼の後を2人の生徒が追いかけて同じように植物園へ駈け込んで行く。
彼らは彼らで身体を痛めているようで走り方がぎこちなかったので、恐らく[#da=1#]さんによるものでしょう。
「(ずいぶん怯えていた様子…。ここに来ていただければおもしろいものが見れたかもしれないのに…来ないなら仕方ないですね)」
ウチの寮の方針は自己責任。どこで何をしようと自由ですが、それで困っても本人のせい。対価を出さない以上、首を突っ込む必要も義理もありません。
程なくして追いかけていた生徒2人だけが植物園から出てきた。
1人の生徒には植物園に入る前と変わらず帽子が握られている…という事は負けたのは[#da=1#]さんなのでしょうか。
…そういえばあの2人、つい先日ラウンジで迷惑行為を行っていた生徒では。
最後にフロイドが絞めたはずですが、報復する元気があるとなると…仕上げの甘かったフロイドの責任でもありますかね。
ただ、ついでに彼から話が伺えるちょうどいい機会だ。
「………すみません、少々よろしいでしょうか?」
「あ?なんだよ…ってお前は、リーチ兄弟の…!」
「はい。ジェイド・リーチと申します。その手に持っている帽子ですが、ウチの寮生の物だったと記憶しています。同じ寮の僕が預かっておきますよ」
「…先輩、大人しいジェイド・リーチの方ならいけるんじゃないスか」
「あぁ。ちょうど猫野郎を逃してムシャクシャしていたところだしちょうどいい」
彼は姿を眩ませたようだ。自分の力量を判断しての行動なら彼の方が賢い。
それに比べてこの2人…素直に渡していただければ痛い目みる事もなかったかもしれないのに、見る目が無いとこうも損をする。
「ひぃっ…ごめ、ごめんなさい…!」
「もうあなたの寮生には手を出しません…!」
「そうですか……では明日の昼休みに中庭へいらしてください。貴方たちが起こしたラウンジの件で寮生が腕を痛めてしまったようで…。麓の町で有名なスイーツ…他に限定ものの何かがあればきっと喜んでくれるでしょう」
「は、はい!わかりました…!!買ってきます!!」
「必ず謝罪しに行くので許してください…!!」
「それでは、よろしくお願いしますね」
今ので少し汚れてしまった。彼の帽子も。魔法で綺麗にしておかないと。