3章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『………ジェイド先輩…?』
グリムたちと解散してから、ラウンジに戻った[#da=1#]は見渡すがジェイドが見当たらない。
誰もいないのでラウンジ内に[#da=1#]の声と足音がむなしく響く。
まだ見ていないのはVIPルームか、と思い向かおうとするとどこからかノックの音が鳴った。
音の位置からしてガラス側…外の水中からという事になる。
恐る恐る音のした方へ視線を向けると、そこには非常に長い尾びれを持った人魚…ジェイドが手を振っていた。
『は!?ジェイド先輩!?…………そっちに進め?』
驚く[#da=1#]にお構いなしで少し泳いで見せるとある方向を指さした。
先にジェイドがその方向へ向かってしまったので後を追う。
裏手のところまで来ると長身特有の非常に大きなサイズの靴が置かれていた。そばには床下へと続く扉が。彼はここの下に降りたという事だろう。
『……綺麗…こんなところがあったんだ…』
「どうぞ、こちらへ」
床下への扉を開くと、そこには広大な地下空間が広がっていた。
長い階段、その先に水。鼻腔を海水独特の塩水の香りが突き抜ける。外とそのまま繋がっているようで辺りは小魚や海藻も見える。
夜は建物内だけでなく水中にもライトアップがされるが、そこに一緒に淡く照らし出される人魚姿のジェイドと地下空間でより普段の寮よりも幻想的に感じた。
人間の姿でも美人だが、人魚の姿も神秘さがプラスされ[#da=1#]は目を奪われる。
呆然としていると階段に腰かけていたジェイドが手招きをしたのでとりあえず降りる。
徐々に水面が近くなってくることで足元にひんやりと冷気をまとっていくのを感じる。
『…ラウンジに来いってこういう事だったんですね』
「えぇ。他寮のユウさんたちが見れて寮生でいつも会う自分は見れていない…と妬いてらっしゃるようでしたので」
『どんな感じなのかなとは思ってたけど妬いてはないです』
「ふふふ。触ってみます?」
『じゃ、じゃあ失礼します…』
ジェイドは[#da=1#]の返答を全く気にしていない様子で腕を差し出した。
まだ水から出たばかりで水滴が滴っている。
そっと触れてみるとひんやり冷たく、少ししっとりとしたぬめり気があった。腕や背中から生えているヒレと同じように泳ぎやすくするためだろうか。
『わ…不思議な感触』
「一緒に泳いでみますか?サポートしますよ」
『それは結構です。……魔法薬を飲んで人間になるって言ってましたよね。その尾びれが人間でいう脚になるってことですか?』
「そうですよ。今までこの1本の尾びれで泳いで移動していたので、陸での歩行はそれはもう苦労しました」
そう言ってジェイドは尾びれをユラユラと揺らしたり水面から出して見せた。
人間の姿も十分すぎるほど身長が大きいが、本来の姿はさらに大きい。人間のときより倍近くありそうだ。
今はただ美しく見えるが、このサイズが2人同時に水中で追いかけて来たらちょっとしたホラー映画だろう。捕食待った無しだ。
「実は夜、息抜きでここから外に出て泳ぐことがあるんです。僕もフロイドも」
『そうだったんですか』
「はい。なので見かけるチャンスはあったんですよ。でもあなたすぐに帰られるので…普段もどこか壁を作ってらっしゃいますし、僕悲しいです。しくしく」
『ここまで見事に隠す気ゼロの嘘泣きは初めて見ました…それなら単刀直入に聞きます』
初めて見る人魚、幻想的な空間に気分が高まったのもあるのだろうか。
今この場所は地下で誰もいない…そう考えた[#da=1#]は意を決して口を開いた。