3章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「はぁ……、今年もアーシェングロットくんの"商売"を止めることができませんでした」
突然現れた学園長に驚きつつも、話を聞いてみる事になった。
「商売?どういうことですか?」
『何か知ってるようですね』
「げ…ファミーユくん…」
『スニーカーありがとうございました。で、寮長と学園長に何があったんです?』
学園長は[#da=1#]を見ると嫌そうな顔をした。
マジフト大会での解決に一役買ったことで約束通り報酬のスニーカーをこの猫に買わされたことが蘇ったのだろう。
アズールとの関係について学園長は説明を始めた。
「ローズハートくん同様、2年生にして寮長を務める非常に優秀な生徒なのですが…少し、いえ、だいぶ問題がありまして」
「問題って詐欺行為のことか?だったら学園長が命令して、やめさせればいいじゃないすか」
「それが…、私が教師だからこそ彼の行為を禁止できないのです」
生徒にばらまいたテスト対策ノートは、不正行為で作られたものではなくNRC過去百年分の出題傾向を調べ上げた彼お手製の"虎の巻"なのだそうだ。
[#da=1#]もどういうテスト対策なのか深くは聞いていなかったため初耳だ。
「…?まてよ。つまり、不正じゃない事が逆に厄介…って事か?」
「ハウルくん、良い着眼点です」
言ってしまえば、いち生徒が"合法的な努力"でテスト対策ノートを作り、"親切"で友人に勉強を教えただけということになる。
それを禁止すれば友達と協力して勉強する行為を禁止するという事になってしまう。
いかにもアズールらしい契約内容である。
「そういえば学園長、さっき「今年"も"商売を止める事ができなかった」って言ってたっスよね。まさか…去年もこんな事が?」
「えぇ。去年はまだ彼の対策ノートの評判があまり広まっていなかった分、これほど大きな騒ぎにはならなかったのですが…今年は、『テストで良い点が取りたいならモストロ・ラウンジへ』という噂が学園中に流れていたようで」
しかし契約違反をすればどんなひどい目にあうかは強固な守秘義務で広まる事は無く、結果的に良い噂だけが広まり今年はアズールと取引する生徒が続出。
そして全学年・全教科の平均点が90点を越える自体になってしまったようだ。
噂の話を聞いたユウとジャックは[#da=1#]を見た。
「…[#da=2#]、噂についても関与してないよね?」
『たしかにその噂は同じクラスの寮生と話題になってたよ。それを他の寮生が聞いてたかは知らない』
「お前の寮全体的にどうしようもねぇな……じゃあ、去年アイツとの勝負に負けたヤツは、いまだにずっと能力を取り上げられたままってことか」
ジャックの質問に対し学園長は去年、取り上げた能力を戻す事を条件に学園内で「モストロ・ラウンジ」の経営を許可するよう交渉されたらしい。
しかも売り上げの10%を学園に上納するという形で。
「アーシェングロットくんは真面目に勉強し、その知識を慈悲深くも他の生徒に教えている"だけ"…教師としてはやめるよう強く言えません。なんでこの学園にはちょっと問題がある生徒ばっかり入学してくるんでしょう!お~~~いおいおい!!」
「こ…この流れは……」
「と、いうわけで、ユウくん。こんな事はやめるよう、アーシェングロットくんを説得してくれませんか?」
「無茶振りやめてください」
出た。学園長の丸投げ雑務。
彼が無理だと言ったらオンボロ寮の食費がかさんでいる事や、ユウを元の世界に戻すためのリサーチで忙しいと返される。
「あ、いえ気にしなくてもいいんですよ。私、優しいので」
「この教師にしてあの生徒ありって感じだな…」
「うぅ…断る選択肢が無い」
『かわいそうに』
結局ユウは逃げ道が無く引き受けてしまった。
学園長は大げさにユウを褒めるとさっさと出て行ってしまった。本当に神出鬼没だ。
「…で、具体的にどうするつもりなんだ?」
「まずは…ターゲットの情報かな」
「ああ。狩りの基本は相手をよく知るところから、だ。お前、わかってんじゃねーか」
「さっそくなんだけど[#da=2#]、君の寮長について知ってる事教えてくれない?」
ユウはアズールの情報を求めた。それに対し[#da=1#]は『そんなに役立ちそうな話は知らないけど…』と考えながら口を開いた。
『…そうだな…ここまでの話で察してるだろうけど、寮長はユニーク魔法を使って契約してるよ。魔法も声も普通じゃ対価にできないものを取り上げることができる。まだ実際に見てないから仕組みは知らないけど、僕のユニーク魔法みたいに何か物体を経由してると思う。あとは自分たちでリサーチしておいで』
「[#da=2#]は来てくれないの?」
『わざわざ自分の寮長を敵にまわすのはちょっと…それにグリムたちの自業自得じゃん?これに懲りて問題起こす事も減るかもよ。シフトが減って僕ら寮生は楽できるし動くメリットがないというか』
[#da=1#]としてはこんな事に首を突っ込めば、間違いなくアズールだけでなく双子にも敵対視される。
今後の自分の学園生活のためを考えればどちらにも肩入れしないのが一番だった。
「てめぇ…あいつらが痛い目見ればいいのは同意だが、ダチなんだろ。メリットだけで決める程度の関係なのかよ」
『ジャック。僕にも動ける時と動けない時があるんだよ』
怒りを示すジャックに対して[#da=1#]が釘を刺すように返す。
彼は何かを思い出したかのような顔をし黙り込んでしまった。
「そっか…残念だけど、ジャックの時みたいに自分の先輩に不満を持ってるわけでもないみたいだしね」
『そうだね。状況が変われば考えるし話聞くくらいはするし。とりあえずラウンジのシフトが被ったら様子を見ててあげるよ』
「うん。よろしく」
主にユウとジャックが動くことが決まり、[#da=1#]とは都度状況を共有することとなった。
2人はさっそく授業をサボってアズールをチェックするようだ。