1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『…わー…』
翌日の昼休み。大食堂に来るとそこは生徒でごった返していた。
大量の様々な料理が食べ放題のビュッフェスタイル、それは食べ盛りの男子高校生にはたまらないだろう。
購買から持ち寄って来た生徒もいるため、いくら大食堂とはいえ程よい空席がなかなか見つからない。
『…購買部に行って別の場所で食べた方がいいかな…』
「今購買部に行ってもショボイのしか残ってないと思うよぉ?」
『そうか…でも場所に困るよりはましかも…って、うわ!?』
「フロイド、突然上から声をかけては驚かせてしまうでしょう」
『、あ…』
「だってー邪魔だったついでに遊んでやろうかなって」
頭上を見上げると黒メッシュが特徴の生徒が笑顔で見下ろしていた。
その彼を呼び止めた声の方には黒メッシュの生徒とそっくりの顔が。入学式で寮長の後ろに控えていたのを思い出す。
突然の事と情報量であっけに取られたが、邪魔という単語に少し遅れて眉をしかめた。
通路の真ん中で突っ立っているのもよくないが、言い方というものがあるだろう。
「でもよかったですね。このまま彼が気づかなかったら、あなたの体格ではぺしゃんこになっていたかもしれません」
『ぺしゃ…』
「そうそう。イクラみたいにプチって潰れて無くなっちゃうところだったよぉ?」
『潰れる…』
「2人とも、その辺にしておきなさい」
『…!寮長』
オブラートに包みながらも物騒な言葉を約2mの2人に挟まれながら次々と並べられ、非捕食者のように固まっていると聞き覚えのある声に耳がピクリと動いた。オクタヴィネル寮の寮長だ。
「突然怖がらせてすみません。新入生ですね?場所取りにお困りでいるようですが…僕たちでよろしければ一緒に昼食をとりませんか?」
『悪いですよ、僕なんかがお邪魔するなんて』
「かまいませんよ、僕たち困っている人は見過ごせない質なので」
「ねぇーどうすんのー?オレ腹減ってしにそーなんだけど」
『……じゃあ、お願いします(たった今脅してた人たちと食べるのか…)』
寮長の言動は些か胡散臭さを感じさせるが、流れで白猫も昼食に混ざることになった。
状況が進み上機嫌になったのか、最初に話しかけた方の双子は鼻歌まじりにヒョイヒョイ料理を乗せどんどん先を行く。
寮長からは残った双子よりも先に並んだ方がいいと言われ、とりあえずその通り好きなものを取っていく。
先頭を切っていた鼻歌の双子が席を人数分確保したようで難なく全員座ることができた。
『すごいですね、この混雑してる中4人分も空いてる席見つけるなんて』
「うん、お願いしたらいいよぉって」
「食事を終えていそうな方達に譲って頂く事はありますね」
「譲り合いの精神ですよ。ねぇ?ジェイド、フロイド」
『(さっきの件といい、周囲の雰囲気といい、なんとなくわかってきた)』
NRCは我の強い生徒が多いというのは聞いていたが、彼らを警戒しながらチラチラ見る生徒が何人かいた様子からカーストに近いものが存在しているのだろうか。
4人が席につくと寮長から口を開いた。
「自己紹介がまだでしたね。僕とジェイドの場合は改めてになると思いますが、2年オクタヴィネル寮長のアズール・アーシェングロットです。そしてこの双子の身なりが整ってる方がジェイド。だらけてるのがフロイドです」
「改めまして2年のジェイド・リーチです。副寮長を務めております」
「フロイドでぇす。よろしくね」
『…1年のエディシア・ファミーユです』
副寮長のジェイドは物腰が柔らかそうだが、先ほど一番に脅してきたのはこの人物である。
そんな彼は山盛りのメニューたちをニコニコと綺麗に食べ進めていく。
エディシアはアズールの先に料理を取っていった方がいいという意味をここで理解した。
それからは今回の入学式の騒動…3人の入学式のときはフロイドが問題を起こしたことや、部活についての話などもして昼食を終えた。
ジェイドの山を愛する会は名前こそ変わってるが、みんなアズールが入学時に話していた通り普通に学生生活を謳歌しているようだ。
『…ありがとうございました。おかげで午後も頑張れます』
「いえいえ。入学したての、しかも我が寮の後輩が困っているなどみすみす見過ごせませんから」
「午後の授業も頑張りましょう」
「じゃーねー」
午後は無事空腹とは無縁だったが、満腹による睡魔と戦ったのは言うまでもない。