1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「お待たせしましたエディシアさん」
『いえ。お疲れさまです』
迎えた約束の昼休み、購買前に到着すると少ししてジェイドもやってきた。
落とし物を届けたことへのお詫びということでジェイドの分の昼食代を肩代わりするためだった。
食事は中庭のベンチでとることになった。
外で食べるとより美味しく感じるなんて当たり障りのない会話をしているとジェイドが別の話を振ってきた。
「今度行われるマジフト大会、エディシアさんは選手枠へ立候補するんですか?」
『?いえ…まだ箒の扱いに慣れていないし、走り続けられる体力も多くはないので…あれって立候補制なんですか?』
マジフトの授業はあるものの座学の成績のようにわかりやすく残るわけではないので、基本的には立候補者や推薦から選出するようだ。
あとは名前が挙がっていなくても体力育成の成績が良い生徒が選出される場合もあるらしい。
マジフト部や他の寮もグラウンドを使うため時間も決まっているのだが、カフェ運営の関係で一度にマジフトの実践から見極めるという手法も難しいため、頭脳派らしくデータで決めているとのことだ。
『的を狙うようなのは得意な方なんですけど、箒の扱いに慣れたところでって感じが…見てるほうが好きなんですよ』
「おや…そうなんですか。来年にはお気持ちも変わってるかもしれないので、参加をお待ちしておりますね」
『(参加したいように見えたのかな)』
参加を考えていないことに対してジェイドは意外そうな顔をした。
運動好きや目立ちたがりの生徒には「代表選手」という名前はさぞ魅力的であろう。
あいにくエディシアにはプロチーム入りを夢みているわけでも目立ちたいわけでもなく、さらに体力面的にも全く考えていなかった。
「勉強はいかがですか?ラウンジの仕事に慣れていない間は勉強との両立に苦労するでしょう」
『それは今のところ問題なく授業にもついていけてます。課題の量は名門なだけあって多いなと思いましたけど』
「…そうですか。問題なさそうでよかったです」
バイトをこなしながら課題や復習を両立するのは、苦手科目や勉強自体が好きでない人には授業についていけなくなる可能性もあるだろう。
エディシアにとっては運動より座学の方が苦手意識はないので、現状は特につまづいている科目も無い。仮につまづいてもむしろ知的好奇心が沸くので結果的に苦手も解消されやすい。
「そういえば、エディシアさんのご実家は音楽一家だそうですね」
『…なぜそれを?』
「知り合いに熱心なファンがいまして」
『そんな詳しい人がいるって事は先輩の家族に音楽関係の人がいるんですか?』
「僕らの家は普通の自営業です。といっても取り扱ってる商売は広いかわりに浅いので特別おもしろい話もないですよ」
『ふ、普通ですか…』
家族のプライベートまで赤裸々にされてたまるかという事で、母の結婚や子どもの存在については誰もどこにも公表していない。知っているのはごく僅かなのだ。
実家の仕事にわざわざ「普通の」と付け足している事に違和感を覚えつつ、幅広いなら音楽関係の仕事仲間でもいるのだろうか、と考えた。
『(何か変だ…マジフト大会に参加できるほどのポテンシャルはないはずだし、勉強に苦労してるような言い方もされるし。世間話としてあるあるだから言ってるだけかもしれないけど)』
妙に引っかかるような話やエディシアに関する未公開の情報を知っていたり、どこか探りを入れられているような感覚になる。
そうだとしたらいきなり避けるのも逆効果だし、相手の立場上関わらないわけにもいかない。
これからのジェイドとの付き合い方を考えているとある人物が声をかけてきた。