6章
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ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『到着しました。リドル先輩の意識は?』
「まだ戻りません。………脈と呼吸は問題無いようなので、とりあえず僕たちは休息に徹しましょう。また戦闘やあなたのユニーク魔法が必要になるかもわかりませんから」
最初に戦闘したリドル、アズール、エディシアの1チーム目だけではシュラウド兄弟を止めきれず、魔力と体力の枯渇により離脱を余儀なくされた。
移動した現在もリドルの意識は戻っていないが、特別命に別状は無いようだ。
リドルだけ冥府に近付いたわけでもないのに生命力を枯渇させてしまったのは、魔力を使い切ったかどうかが原因だった。
全力で倒しきる、という考えはもちろん素晴らしいことだが、すぐ目の前に冥府があるのに自分の身を守るための最低限の魔力も考えずに使ってしまうのは何が起きるかわかったものではない。
そう考えていたアズールとエディシアは正しかったようで、おかげで離脱の成功、情報の伝達も完遂させることができた。
「!!オルトが再び【タルタロス】の壁を登り始めた。戦いを長引かせすぎれば、こちらの生気が奪われてしまう……引き際の見極めが肝心ですね」
「はっ。戦う前から引き際ばっかり考えてるから器用貧乏になるんだよ、テメェは」
「うぐっ……」
「獅子は兎を狩るにも全力を尽くす。ここでアイツらの夢を、砂に変えてやる」
アズ―ルとエディシアが息をついていると、無線機から音声が流れてきた。
聞こえてきた音声から残り2チームのどちらの番なのかがわかり、2人は目を合わせる。
次はレオナとジャミルのペア。
彼らも寮が別で突然組まされたということもあり、喧嘩の1つどころではないだろうと誰もが想定していたが、案外平和なやりとりであった。
『……音声しか状況がわかりませんが、レオナ先輩の火力はさすがですね。リドル先輩のように音の厚みが違う』
「そうですね。獣人属の耳を持たない僕でもわかります。さすが英才教育を受けた彼らだ。そしてジャミルさんは指示を受けた箇所へ的確に魔法を当てるだけでなく、レオナさんを生かした立ち回りを進んでしているのでしょう」
『僕の魔力量ではメインを張れないのでサポートに回りがちですが、こんなに合わせられないと思います。これが1年の差なんですね……』
「いい目標ができたんじゃないですか?僕としてもジャミルさんとはさらに親睦を深めたいと思っていますし、喜んで協力しますよ」
『自分のペースで知識と経験をつけていくので大丈夫です』
アズールとエディシアは壁にもたれかかり休憩をしていたため階下からの戦闘音しか確認できずではあったが、それでもわかるレオナの頭一つ抜けた攻撃力に関心する。
しかしそれにしっかりついていくジャミルの腕もさすがと言える。
並の魔法士がレオナとペアを組めば、彼にとってのノイズにしかならないか、居ても居なくても変わらずお役御免とされるだろう。
そこは副寮長を張るだけでなく、大富豪アジーム家の跡取りに仕えるだけある。
アズールは僅かにエディシアの声色に憧れが含まれているのを見逃さずすぐに笑顔を向けた…が、商売の匂いを嗅ぎつけているのはエディシアにお見通しのようでキッパリ断られてしまった。
そんなやり取りをしていると無線機からレオナとジャミルの会話が流れてきた。
「……チッ!やはり俺たちもこの槍を使うしかねェか。おい、テメェも手を貸せ!ありったけの魔力を槍に注ぎ込め!」
「わかりました!いきますよ!」
「おや、レオナさんたちも槍を使うようですね」
『さてこれで終わるのかどうか……ちょっと見てきます。…………え!』
「どうしたんです?………な!?」
雷霆の槍を使うということはこれで最後の攻撃となるはず。そう考えたエディシアは、決着だけでも確認しようと鉛のように重く感じる体でだるそうに階下を覗き込んだ。
しかしそこに広がる光景に思わず驚愕した。
エディシアの反応に興味を示したアズールも覗き込むと、同じように目を見開く。
「僕たちは3人で支えていたというのに……」
『僕は先端のみなので実質2人ではありましたが。もしかしてタイタン戦のときにもこんな離れ業を……?』
そこには本来の大きさとなり攻撃を放とうとしている雷霆の槍がかなりの高さで浮いている。
近くでジャミルが魔力を槍に注いでいるらしいのは確認できるが、レオナは見当たらない。
つまりは槍の真下にいるのだろうということが容易に想像できた。
ジャミルはあくまでも魔力を注いでいるだけの様子。ということはあんな重量と魔力を要するじゃじゃ馬を扱っているのはレオナ一人のみ、ということになる。
2人の開いた口が閉じないまま固まっているうちに槍から攻撃が放たれ、強烈な爆風が巻き上がった。
「虫けらどもがァ!1度ならず2度までも!許さないぞ!!」
「……チッ!とどめはさせなかったか」
「はぁ、はぁ……でも、今の一撃で多少の足止めにはなったはずです」
「だめでしたか……まだ相手は動けるようですね」
『ということは、ヴィルさんのチームで今度こそ倒しきらないと』
槍の攻撃が見事にファントムに直撃したが、イデアのオーバーブロットは解けていないようだ。
先ほど同様に怒りの感情をむき出しにし、髪の毛を真っ赤に揺らめさせている。
さすがに2人の勢いは落ちてきてはいるが、もし最後のチームでこの島唯一まともに動ける戦力となったヴィルたちでも止めきらなければ、世界中にファントムが解き放たれてしまう。
エディシアたちと同様に離脱をすることになったレオナからヴィル宛に無線が入った。
あくまでもヴィル宛ではあるが状況の情報共有ということも兼ねるため、エディシアたちのチームの無線機にもやり取りが聞けるのだ。
「ヴィル!それから管制室のギークども、聞こえてるか?」
「ええ。大きな口を叩いた割に、撃破には至らなかったみたいね?」
「はっ。これだけ待たせておいて出番を回さなかったら、どこかのめだちたがり屋に後で恨まれちまいそうだからな」
「それはそれは……お気遣いどうも」
「化粧直しはもう済んだのか?」
「リップを塗り直す時間があれば御の字だと思ってたけど、おかげさまでヘアセットまで完璧よ。フィナーレを飾る準備はできてる。アンタたちは袖に下がって、カーテンコールを待っていなさい」
『…………』
「…………エディシアさん?なんとも形容しがたい表情ですが大丈夫ですか?」
『体調は大丈夫です……ただ、あんなおしゃれなやり取りをあのヴィルさんと交わせるのが恨めしい気持ちと、ヴィルさんの最高の言い回しを生で聞けて感謝したい気持ちがぶつかって情緒が……気持ちを静めたいので今からの戦いをここに壁画として彫ってきます』
「やめなさい」
レオナとヴィルの、映画やドラマの1シーンを彷彿とさせるようなやり取りにエディシアは口を抑え固まっていた。
その様子にアズールは思わず二度見し声をかける。
しかしまともではない返事とともに小石を手に取ったエディシアが立ち上がろうとしたので、すかさず首根っこを掴み制止した。