6章
お名前編集はこちら
この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ぐ……これは……!?まるで別世界じゃないか」
『凄まじい瘴気ですね……』
「下から嘆きの声も聞こえる……【冥府】の門が開いていてもおかしくありません」
リドル、アズール、エディシアの3人が次の階層に辿り着くと、通信機からの通知音が空気を震わせた。
呼び出しの主は所員だった。
先導役のリドル以外にも、ヴィル、レオナも応答する。
「よかった!全員繋がったね。こちら管制室」
「一体なにが起こっているの?どうぞ」
「【冥府】の門が開き始めた。ブロットの濃度がさらに上昇を続けている。【タルタロス】下層フロアに留まるのは非常に危険だ。今すぐ離脱せよ!」
「なんだって?」
「やはり開きましたか……」
『ようやく最下層に辿り着いたのに……』
「今すぐ離脱といったって……何時間もかけて降りてきた階段を駆け上がれっていうの!?」
ヴィルが先ほどの轟音について原因がわかると踏み状況を聞くと、衝撃的な答えが返ってきた。
思わずリドルとアズールとエディシアはそれぞれ顔を見合せる。
すかさずヴィルも待ったをかけた。
最下層まで駆け抜けたエディシアたち9人全員が今だけは心が1つになっていることだろう。
しかしなんとか【チャリオット】を3台向かわせることに成功したとのことで、それに乗り帰還するよう指示がされてしまった。
「ファントムとブロットの流出を食い止めるため、現在、【タルタロス】第6層と第1層にて、所員が非常用ハッチを手動で閉鎖作業中だ。君たちが脱出次第、ハッチを完全に封鎖する!至急脱出願う!」
「……見て!【チャリオット】が来た!」
「アンタたち、すぐに乗り込みなさい!」
『…………んん?』
「………ちょっと待ってください」
「……なんだ、あれは」
「どうかしたのアンタたち?」
「下を見てください!なにかが、【冥府】の門から出てきます!!」
研究員の話から間もなくチャリオットがやって来たのをエペルがさっそく見つけた。
少し遅れてエディシアたち第3タワーチームのもとにもチャリオットが到着するが、違和感を感じた3人は帰還しようとするヴィルたちを制止した。
「【冥府】の門からなにかが這い出してきた!」
「あれは、ファントム?…………違う!あれは……イデア!!!」
「仰るとおり……僕だよ!」
『先輩……』
第3タワーチームの3人の言葉に他のチームも下を覗き込む。
視力の良いルークを皮切りにヴィルを始め他のメンバーたちも気づいた。
姿を現したのは、イデアだった。
瘴気の立ち込める冥府の方からやって来たこと、そして彼の容貌から察したエディシアは思わず声を漏らした。
「どう?いい趣味だろ?もうねぇ、最高の気分!オーバーブロットって、こんなにスカッと爽快な気分になれるものだとは思わなかったっすわ!これで拙者もSSR【前代未聞の問題児】の仲間入りってワケ!アハハハハハハ!」
「【冥府】の門からどんどん瘴気が吹き上がってくる!なんて濃度だ……!ゲホゲホッ……」
「あー。君らはちょっとムカムカするかもね。でもオーバーブロットしていれば、ブロットはバフに変わる。ってわけで拙者は今、バフ盛り盛りのATKマシマシ。君らにもう勝ち目はない。ご愁傷さま!」
オーバーブロットしたイデアはにないほどハイテンションだった。
学園で人目を避けるように過ごしている様子しか見たことの無いメンバーは、特にその変わりように驚愕する。
瘴気の濃度も今までのオーバーブロットとは比べ物にならなかった。
思わずリドルは咳き込み他のメンバーたちも瘴気に眉を潜ませるが、イデアは意気揚々としている。
「それじゃあ、はじめよう。〈ゲーム・セット・マッチ〉……【開かれた冥界の扉】」
「【冥府】の門がさらに開いていきます!」
「まさか、これが……」
『…イデア先輩のユニーク魔法……!』
イデアが詠唱し呪文を唱えると、瘴気がさらに大量に込み上げた。
アズール、リドル、エディシアは絶句する。
通信機から雑音は流れているが、これといった人の声は通ってこない。
おそらく他のタワーのメンバーたちも瘴気の濃さ、イデアのユニーク魔法の判明された全容に言葉を失っているのだろう。
何せ過去最高濃度の瘴気を身に纏う彼を、寮長クラスが大半を占めているとはいえ、たったの数人で向かい打たなければならないのだから。
「やあ、みんな。———ただいま!」
「ただいま……?どういうことだ……?」
『この声…どこかで聞き覚えあるのは僕だけでしょうか……』
「安心してください。僕もとある少年が脳裏によぎりました」
突然現れた不気味な巨体に一同は固まる。
エディシアが声を振り絞ると、アズールも冷や汗をかきながら答えた。
通信機からはエペルとヴィルのやり取りが流れている。
巨体の姿はたしかにファントムだ。しかし「ただいま」とたしかに言った。
「わからない?僕だよ、オルトさ!」
『オルト……!』
巨体本人からの名乗りにエディシア含め全員が息を飲む。
イデアがオーバーブロットし、オルトはファントムとしてエディシアたちの目の前に現れたというのだ。
冥府で友だちになったみんなが、大きく育ててくれたのだという。
彼の身にはイデアと同じくブロットを燃やす”呪い”が宿っていた。
しかし、冥府に充満したブロットを身体に取り込み燃やし続けたことで、ついに冥府そのものになったらしい。
オルトにとって、強くしてくれる”祝福”でもあったのだ。
彼の体はよく見ると大量のファントムが結合しており、各々が言葉を発している。
オルトの巨体を形作っている正体に一同が眉をひそめていると、エペルがオルトの肩のあたりを見るよう慌てて声を上げた。
「ヴヴ…………イシ……クロイイシ………」
「グリムが取り込まれてる!?」
『なんでそんなところに!?』
なんと結合されたファントムたちの中に、グリムが紛れていたのだ。
あんなところにいたとは思わず、監督生であるユウと友人のエディシアは声を荒らげた。
どう引き剥がすか思案する余裕が今はない。
とにかく目の前の兄弟を止めなければならないのが最優先事項である。
「チッ!あのでけぇの以外にも、次から次に【冥府】からファントムが湧いてきやがる!」
「まずいぞ。非常用ハッチを開閉している所員たちはほとんど非戦闘員。大量のファントムに攫われたら、ひとたまりも……!」
『まるで地獄だ……!』
ファントムはなにもオルトを纏う存在だけではない。
冥府に閉じ込められていた大量のファントムが続々と姿を現し、ハッチのところへ向かっていた所員のところへ今にも襲いかかろうとしているようで、彼らにも持たせているらしい通信機からは力む声と、悲鳴が入り交じってヴィルたちの耳に届く。
今起きている状況にしばし目を瞑っていたリドルは、目を開くと同時に各タワーの先導役であるヴィルとレオナに声をかけた。
「ヴィル先輩、レオナ先輩!【チャリオット】で上層部へ向かい、彼らの救出を!イデア先輩とオルトは、ボクとアズールとエディシアが足止めし時間を稼ぎます!」
「『……は?』」
「…………くっ、それしか方法はなさそうね。レオナ!アンタは第6層へ!アタシは第1層へ向かうわ!」
「ったく、めんどくせぇ。ひ弱なインパラらしく隠れてりゃいいものを、余計な手間増やしやがって!」
「頼んだわよ、リドル!アズール!エディシア!」
突然のリドルの指示に同じチームメンバーのアズールとエディシアは目を見開いた。
すぐさまヴィルとレオナは動き出しトントン拍子に事が進んだことで、あっという間に最深部にはリドル、アズール、エディシアの3人だけが取り残された。
「『…………』」
「『はぁああ!?』」
アズールとエディシアの驚愕の声がけたたましく響いた。