1章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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『(寮長のこいつがあの寮生たちに指示していたのは十分に考えられるのに、どうしてそんな顔………このライオン、本当に助けただけ……?)』
治療されている間、エディシアはレオナの表情に違和感を持っていた。
眉間に皺を寄せ、なにやら悔しそうな顔つきをしていたからだ。
怪我の状態の確認も含め手際が良く、簡単なものとはいえ治癒魔法をかじっているエディシア自身としても、魔法に集中しているからというわけではないことが伺える。
「よし、もう大丈夫だ。ただ治癒魔法も万能じゃねぇ。数日で消えるし目立たないが少し痕が残っちまった。よりにもよって顔だなんて…虫唾が走る」
『……ありがとう、ございます…』
「アイツらにはバレたのか…って……まだどこか痛むか」
治癒魔法による暖かい光がきっかけになったからか、緊張の糸が切れエディシアから涙が一気にボロボロと溢れてきた。
大量の涙が出ていてもレオナの質問は聞こえていたようで、話せない代わりに顔を横に振って伝える。
「そうか……うちのがすまなかった。あとで対処しておく」
「レオナさーん頼まれたもの買ってきましたよ。全く急にメッセージ送ってきてほんと人使いが……は?何これ?たしかこの子スマホ忘れたオクタヴィネルの1年っスよね?」
「ラギー、それよこせ」
「え?は、はぁ…」
『………』
なかなかエディシアの涙が止まらない中、以前レオナといた生徒が紙袋を片手にやって来た。
突然の参入にエディシアは固まり、ラギーと呼ばれたその生徒はレオナとエディシアを交互に見て立ち尽くしている。
わけが分からないままにラギーはレオナに袋を渡し、レオナは袋から取り出したティッシュをエディシアへ差し出した。
数秒前のラギーと同じようにティッシュとレオナを交互に見たエディシアは受け取り、そのティッシュで鼻をかみ涙を拭く。
「レオナさん、そろそろ状況説明してもらっても?あとお釣りはもらっていいんスよね?」
「釣りはやる。…ついさっきうちの寮のやつらと喧嘩して負けたんだとよ。俺が昼寝してる最中でうるさかったから全員黙らせた」
『………』
「あららーそれはどんまいっスね……あ、それでこれも買ってこいって事だったんスか。ほい家猫くん、ホットココアですよー」
再び寮生が来たことでエディシアのレオナへの疑念は少しずつ膨らんでいったが、嘘の情報を伝えたことでエディシアは俯いたまま目を見開いた。
そしてここまででこの男は会って間もない、しかも自身と別の寮の生徒が抱えている面倒事に本気で協力しているのだと確信した。
エディシアの目の前でしゃがんだラギーは、もう1つ頼まれていたらしいホットココアを渡した。ココアの甘さと温かさが身に染みる。
やがて時間も経ち、ココアと鼻がすっきりしたことでいくらか気持ちが落ち着いてきた。
「でもレオナさんがここまで慰めてやるなんてやっさしー。普段なら喧嘩に出くわしても無視してるのに」
「いつまでもニャーニャー泣かれてうんざりしてたんでな。どうせ初めての喧嘩でビビり倒したんだろ」
『………すみませんね』
レオナは引き続き打ち明けることはなかったが、偽の説明の内容にエディシアは不機嫌になった。
仕方ないとはいえ自身が言うのとそれ以外が言うのとではやはり違う。
しかしラギーからすればついさっきまで泣きべそかいていた下級生。
明らかに不機嫌な様子のエディシアなんてお構いなしに追い打ちをかけた。
「経緯は知らないけど、家猫くんみたいな温室育ちがうちの寮のヤツと喧嘩なんてそりゃ泣きたくもなるか」
『……でもいい経験になりました。今度本人たちにお返しするので先ほどの寮生お借りしますね』
「調子戻って来たじゃねぇか。俺の邪魔さえしないなら好きにしろ」
「絶対報復してやるって感じがさすがオクタヴィネルっつーかアズール君の躾が行き届いてるっつーか……」
そこそこに良い時間になったことで互いの寮へ戻ることになり、そのまま3人で鏡舎へ向かった。
今回の借りについてエディシアに聞かれたレオナは、面倒そうに「返してもらうタイミングはこっちが決める」と言い保留ということになった。
「ったく、元気になった途端タコ野郎みたいに借りだなんだ言いやがって可愛げねぇな」
『………あ』
「どうしたんスか?」
『あ、いえ……でもあの物騒なリーチ兄弟に比べたらずっとましだと思うんですけど』
「……まぁせいぜい上手くやることだな」
アズールがタコの人魚と知ってからエディシアはどこか引っかかりを感じていたが、以前にもレオナがタコ野郎と言っていたことでハッとした。
あのときはアズールの事を指していたようだ。