6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「リドルさんは一体いつから魔法の特訓をはじめたんです?」
「3歳になった頃には、もう専門的な魔法教育を受けていたね」
「さ、3歳で!?それは……すごく才能があったんですねぇ」
『すごい……物心つき始めるかどうかの頃じゃないですか』
次の収容所へ向かっている道中、雷霆の槍を運び続けていたアズールの息があがってきたため、リドルが魔法で運ぶこととなった。
前衛で戦い続けていることでアズールとエディシアに消耗が懸念されたが、勉学と魔法を研鑽し続けていたリドルからすればできて当然なのだと言う。
そこでアズールはその研鑽とやらがいつからのことなのか疑問に思い、件の質問を投げかけた。
リドルの回答に2人は目を丸くさせたが、一方の本人の表情は曇っている。
『なぜそんな反応を?さすがに胸を張っていいことだと思いますが』
「母はボクがお腹にいた頃から、ボクを優秀な魔法士に育てるために手を尽くしていたそうだから。ボク自身に特別な才能があったかどうかは、よくわからない」
「幼少期からそれほど優秀だったなら、飛び級もできたのでは?」
「【薔薇の王国】では、飛び級は一般的じゃないんだ。ナイトレイブンカレッジに入学するまで私立の学校に通っていたのだけど、そこにも飛び級制度はなかった」
加えてリドルは続け、【薔薇の王国】では医師免許が取得できる最低年齢は24歳でもあったため、彼の両親は余計に進級を急ぐ意味がなかったと思われると説明した。
その話を聞いたアズールは、リドルの両親は魔法医術士であることを思い出す。
「ああ、たしかご両親は魔法医術士でいらっしゃるんですよね。リドルさんも卒業後は医療関係の道へ?」
「そのつもりだったんだけど……」
「おや。迷っていらっしゃるんですか?」
「迷っている……のかな。よくわからない。ハーツラビュルの寮長になってから、法律に関する職業にも興味が出てきて……」
『てっきり進路も敷かれたレールの通りに突き進むものかと思いましたが、先輩の中で変化があったんですね』
「なら、興味がある資格を全部取ってみればいいじゃないですか」
「ぜ、全部だって!?」
エディシアはリドルが母親の言う事は絶対だと言う思想の持ち主であることを知っていたため、将来の夢も母親の決めた仕事と役職に就くと想定していたが、彼なりに揺らぎが生じていたらしい。
ここに来るまでも強敵に打ち勝ったときの喜びや疲労で熟睡するなど、当たり前だがやはり彼も1人の人間なのだと感じた。
そしてアズールの強欲な提案にも驚愕している。
アズールはアズールで、とくに気にする様子もなく当たり前のように言葉を続けた。
「あなたほど優秀なら、よりどりみどりでしょう。1つだけなんてもったいない!医師、裁判官、弁護士……魔法執行官や魔法機動隊なども向いていそうです。エディシアさんも芸術以外に頭を使う仕事も向いていそうなので、1年生のうちからでも色々な資格と職種を調べてみるといいでしょう」
『え、僕もですか?』
「ええ。演奏家をしながら会計士や彫刻家というのもおもしろいのでは?過去の偉人には1人で画業、数学、建築、科学など様々な分野を網羅していた人物もいたそうではありませんか」
『それはそうですが、あれはもはや人間のバグというか……』
「ふ、ははっ。気が多くて欲張りなキミらしい意見だな」
「人生は1度きり。欲張らなければ損ですよ!僕も将来は飲食業だけにとどまらず、様々な業種にチャレンジしてみるつもりです。ですから、いざという時に頼れる資格を持ったお友だちや後輩がいれば非常に便利……いえ、心強い!フフッ」
アズールはリドルだけでなくエディシアの将来までもいくつか提案してみせる。
寮生たちの期末テストの成績をアズールは把握しており、「入学前までから相当努力されたんですね」と別人の情報だということに気付いていないままエディシアに微笑んだ。
一方ポカンと聞いていたリドルは吹き出し、自分にはない思考に関心すら覚えていたが、直後のアズールの言葉に次はエディシアと共に眉をひそめる。
「………ボクとキミが、友だち?」
「ここにきて「友だちじゃない」はナシですよ。ぶつかりあって、将来の夢も語った。友だち以外の何者でもない」
『8割はぶつかりあってましたけどね』
「ボクは友だちのルールについては詳しくないけれど、友だちというのはもっと……」
2人は怪訝な様子だが、アズールのみ胸に片手を当て自信ありげに言葉を並べる。
リドルはそこにもルールをベースに”友だち”について議論しようとするが、頭上に違和感を感じ見上げた。
「ん?上から何かが降って……」
『これは…!』
「ッ!!立ち止まるな!!」
同じく足元に落ちる何かを見たエディシアはそこから生じる瘴気に毛を逆立て、アズールは咄嗟に大声を張り上げた。
彼らの頭上にファントムが潜んでいたのだ。