6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「…このケージからする音……猫が爪を研ぐ音に似ている。グリムかもしれない。開けてみよう」
「グリムさんって、爪とぎするんですか?」
いくつかケージを開け調べるもIDカードは出てこず、近場のケージからカリカリと引っ掻くような音がしていることに気付いたリドルが次に開ける場所を提案した。
しかし猫の爪とぎ=グリムと結び付けたことにアズールが疑問を感じ首をかしげる。
それに対しリドルとエディシアは心当たりがあるようで、グリムのこれまでの行動について思い返した。
「ハーツラビュルの談話室にあるソファで爪をといだ日には、首をはねてやったよ」
『オンボロ寮へ行くたびにソファや柱がボロボロになってます。僕からしてみれば、グリムはいくつか猫に当てはまりますね』
「よく猫じゃないと否定していますが、やはり彼は猫なのでは……?」
「猫であろうがなかろうが、ソファで爪とぎをするのは重罪だ!」
『あの…結局開けないんですか?』
「……ハッ、そうだったね。今はそんなことはどうでもいい。開けるぞ!はぁッ!!」
「ヒヒヒッ!アタし の コネコちゃン!おサンぽ ノ 時カンよォ!」
「ギィイイィィ!!」
『グリムじゃなかったか…!』
「きますよ!」
本人は猫でも狸でもないと言うが、行動はそれらに近いところがある。
特に日向ぼっこ、爪とぎ、ツナ缶好きなど猫を彷彿とさせる共通点はいくつか持ち合わせていた。
リドルとエディシアの話を聞いたアズールは、ますますグリムの存在を疑問に感じた。
エディシアの問いでリドルが状況の軌道修正をするべく、怪しいとされるケージを勢いよく開けた。
そこから飛び出してきたのはグリムではなく、女性の姿を模したファントムと、猫のような姿を模したファントムだった。
「おソトに いけル と 思ったのニ……」
「猫の躾はこちらのほうが成っていましたね」
『人と獣で比べないでください。名誉棄損で訴えますよ…あれ?今何か落ちて……』
「!!IDカードだ。じゃあ、今のが研究員を襲った個体だったんだね。グリムではなかったか……」
戦闘を終えると2体のファントムは消滅し、そこから何か乾いた音が床にぶつかり響いた。
アズールとエディシアのオクタヴィネルペアのやりとりに、リドルは目もくれずにIDカードを拾い上げる。
IDカードを持つリドルの元に集まったアズールとエディシアは、先ほどのファントムについて今までとかなり違った様子に眉を僅かにひそめた。
「あのヒト型のファントム……小型の個体を使役しているようでした。IDカードを奪わせ、外に出るつもりだったのかも……」
『はい、かなり知性が高かったですね。どんどん高くなってきているというのが正解でしょうか』
「ファントムが連携をとることなんか、あり得るのか?」
「忘れたんですか、リドルさん。ファントムはかつて僕らのような”優秀な魔法士”だったんですよ」
「……なるほど。とにかく、IDカードは手に入った。研究員を逃がしたら、ボクらもすぐにここを出よう」
「ええ」
『わかりました』
今後のファントムの襲撃が一辺倒ではなくなっていくことが想定され、エディシアはより魔力の消耗が増えないか懸念を抱いた。
しかしそう何度も休憩を挟んでいられないため、リドルの言葉に2人は頷くとただちに行動に移った。