6章
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この小説の夢小説設定物語の都合上、略した名前・略さない名前が2つずつあります。
ご自身の名前を使う際、ストーリー後半からになりますが
「主人公 名前」「主人公 名前略称」に登録すると読みやすいかと思います。
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「ここが、ファントムの収容所……通路よりもさらに寒いな」
『手足がかじかみそう……』
収容所はまだ解凍されて間もないことから冷気が体の芯に突き刺さる。
寮服を着ているとはいえ、元々寒さに強くないエディシアは両手をさすった。
逆に寒さに慣れているアズールは室内をよく見渡し観察する。
「この四角い箱がファントムを閉じ込めている檻、でしょうか。たった数体でも厄介だというのに、こんなにたくさん……」
「やはり、ファントムとの共存など許容できない。なんとしてでも計画を止めなくては……」
「——と、冒険者は決意を新たにしたのであった!」
「「『!?』」」
突然割り込んできた明るい口調に3人は目を見開いた。
声のした方にはオルトがおり、にこやかに手を振っている。
その愛らしさと場違いな楽し気な様子は、妙な不気味さを醸し出していた。
「やあ!リドル・ローズハートさん。アズール・アーシェングロットさん。エディシア・ファミーユさん。リアルダンジョンは楽しめてる?」
「フン。手応えがなさすぎて退屈なくらいさ」
「あはは!言うねー。でも、わかるよ。ゲームは少し手こずるくらいじゃないと、やりごたえがないもんね。……というわけで、まずは君らが使っていたIDカードを登録解除させてもらったよ」
オルトの言葉に3人は固まった。
オルトはスタッフからもらったIDカードについてしっかり認知していたようで、「最初からマスターキーを持ってたらおもしろさが半減するでしょ」とやれやれ気味に説明した。
「新しいIDカードは、ケージの中で目を覚ましているファントムの1体が持ってるよ。鍵を見つけて先に進む達成感を味わって!」
「ふざけたことを!ボクたちはゲームのキャラクターじゃないぞ!」
「あははは!それでは諸君、検討を祈る!」
『…何あれ?こっちは急いでるのに……慈悲深い海の魔女でも今のは許さないと思いますよ』
「本当ですよ全く!」
「うぎぎ……ふざけたことを!あれが映像じゃなかったら、今すぐ首をはねてやるところだ!」
オルトは言うだけ言うと高笑いをあげ消えた。
もちろん取り残されたエディシアたちはいい気がしない。
しかしIDカードを新しく探さなければならない以上、愚痴をこぼしている暇もないことは分かった。
それと同時にガリッガリッと壁を引っ掻く音と中から唸り声が響き始めた。
「……リドルさん、エディシアさん。どうやら僕たちはタイムアタックを強いられているようだ」
「くっ……確かに。時間が経過するほど、凍結の解除が進み”目を覚ましているファントム”が増える」
『実際にどんどん活性化してきてますね。フォントムたちが全快するまでに見つけないと』
「急ぎましょう」
「言われずとも!」
エディシアが注意深く耳を澄ますと他にも歩き回る音、息遣いも入ってきた。
個体差はあるもののまだ動きが鈍いファントムもいるようだ。
マジカルペンを構えた3人はさっそくIDカードの捜索にとりかかる。